ウラジロの正月飾り方|意味と鏡餅の置き方・処分と地域差の完全ガイド

ウラジロの正月飾り方

お正月に向けて飾りを用意するとき、「ウラジロをどう飾ればいいのか」「鏡餅にはどう添えるのが正しいのか」迷うこと、多いですよね。ウラジロの飾り方には、大きな失敗を避けるための基本の型があり、そこさえ押さえれば安心して飾れるようになります。

「葉の白いほうを上にするって本当?」「鏡餅の下に敷くのと上に乗せるの、どっちが正しいのかな?」「地域によって違うなら、うちはどうしたらいいんだろう?」と感じている方もいるはずです。

そんな不安をほどいていくために、ここではウラジロの飾り方の基本から意味、地域差や処分マナーまでを、迷わず決めやすい順番で整理していきますね。

このページを読み終えるころには、次のようなことがスッキリ整理できるはずです。

  • 自分の家の鏡餅に、ウラジロをどう置くか決められる
  • ウラジロに込められた縁起や歴史が、自然と人に説明できる
  • 飾る時期・片付け方・処分方法まで、一連の流れがイメージできる

昔から伝わってきた意味を尊重しながら、今の暮らしにもなじむ形でウラジロを取り入れていきましょう。

目次

ウラジロの正月飾り方の基本と鏡餅への置き方

最初に押さえたいのは、「どこに・いつ・どんな向きで」飾るかという実務的な部分です。ここが決まると、年末の準備がぐっと楽になります。

ウラジロを飾る場所とタイミングの目安

ウラジロを飾るタイミングは、一般的な正月飾りと同じく「年末〜松の内」に合わせる形が多いです。飾る場所は、年神様を迎えるとされる場所を軸に考えると迷いにくくなります。

多くの家庭では、次のような場所が候補になります。

  • 神棚や仏壇の前の鏡餅
  • 居間やリビングの床の間・飾り棚の鏡餅
  • 玄関まわりのしめ飾り・小さな門松

イメージとしては、「家の中心や出入口で、年神様やご先祖をお迎えする場所に添える」という考え方なんです。神棚がない家も多いので、今はリビングの飾り棚やテレビボード上に鏡餅を置いて、その下にウラジロを敷くスタイルもよく見られます。

タイミングの目安を、ざっくり表にまとめるとこんなイメージです。

項目目安の時期・タイミングポイントの一言メモ
飾り始め12月26日〜30日頃29日・31日を避ける考え方が主流
避けたい日12月29日・12月31日語呂や「一夜飾り」を嫌う考え方
外すタイミング1月7日頃(または15日頃)地域の松の内に合わせる
主な設置場所神棚周り・床の間・玄関・リビング年神様を意識した場所を優先

「この日を過ぎたら絶対にダメ」という強い決まりではなく、昔からの縁起を参考にしながら、自分の生活リズムに合わせて早めに準備しておく、というスタンスで考えるとラクです。

結局のところ、「年神様を丁寧に迎えたい」という気持ちが伝わる飾り方になっていれば、大きく外れることはないと考えられます。

鏡餅に添えるウラジロの向き・枚数・表裏の考え方

鏡餅まわりのウラジロは、いちばん迷いやすいポイントですよね。ここは「型」を覚えてしまうと、毎年同じ手順で迷わず置けるようになります。

よく見られる基本形は、こんな流れです。

  1. 三方(さんぽう)やお盆の上に半紙や奉書紙を敷く
  2. その上にウラジロを左右一対で置く
  3. さらにその上に鏡餅を重ねる
  4. 橙(だいだい)などを最後に飾る

このときのポイントを整理すると、次の3つです。

  • 葉の白い面を上に向ける
  • 葉先が手前に向かって末広がりになるように置く
  • 左右一対で「八の字」のように少し開く

表と裏のイメージを、簡単に整理しておきますね。

部位見た目の特徴正月飾りで見せる面
表(おもて)濃い緑色でツヤがある下側になることが多い
裏(うら)白く粉っぽい・ロウ質のような質感上側にして見せるのが基本

「裏を見せるって大丈夫?」と感じる方もいますが、ここは言葉の印象に引っ張られすぎなくて大丈夫です。ウラジロは“裏が白い”こと自体が「心に裏表がない」「清らか」という意味につながっていて、その清らかさを見せて飾る、というイメージなんですよ。

枚数については、鏡餅用なら左右一対で2枚がよく使われます。小さな卓上用の鏡餅なら1枚だけを下に敷くこともありますし、大きな神棚用なら2枚以上を重ねてボリュームを出すこともあります。

迷ったときは、「白い面を上」「葉先を手前に末広がり」「左右一対で2枚」を基本形と考えておくと、ほとんどの場面で無難におさまる型になります。

飾り方の型が定まると、あとは毎年同じ感覚でさっと準備できるようになっていきます。

しめ飾り・門松にウラジロを使うときの飾り方

ウラジロは鏡餅だけでなく、しめ飾りや門松の一部として使われることも多いです。ここでは、よくある組み合わせ方のイメージをつかんでおきましょう。

しめ飾りに使う場合は、次のようなスタイルがよく見られます。

  • わらの輪の下部から、ウラジロの葉先が斜め下に広がるように差し込む
  • 紙垂(しで)や稲穂、橙などと一緒に束ねる
  • 小ぶりなしめ飾りでは、ウラジロ1枚をシンプルに添える

門松では、松・竹・梅などの足元部分にウラジロを数枚添えて、全体を引き締める役割を持たせることが多いです。

しめ飾り・門松の場合も基本は同じで、

  • 白い面を手前に見せる
  • 葉先が下向きまたは斜め下に向かって広がる
  • 全体が左右で大きく偏らないよう、バランスを見る

という3点を意識しておくと、見た目が落ち着きやすくなります。

しめ飾りや門松は、地域やお店ごとにかなりデザインの幅があるので、購入した飾りに最初からウラジロが組み込まれていることもあります。その場合は、基本的にそのままの配置を尊重して問題ありません。

飾り方の型が見えてきたところで、「そもそもなぜウラジロを飾るのか」という意味の部分も押さえておきましょう。

ウラジロが正月の縁起物とされる意味と由来

飾り方だけでなく、ウラジロそのものに込められた意味を知っておくと、「せっかくなら大事に飾ろう」という気持ちも自然と湧いてきます。ここでは、ウラジロが縁起物とされる理由を整理していきますね。

葉裏の白さと左右対称の形に込められた願い

ウラジロという名前は、そのまま「裏が白い」ことから付いたとされています。葉の裏側が白く見えるのは、細かな毛やロウ質の層におおわれているためで、この白さが「清らかさ」や「けがれのなさ」を象徴する、と考えられてきました。

また、ウラジロの葉は左右対称に大きく広がる形をしています。この姿から、

  • 夫婦が向かい合っているように見える
  • 2枚の葉で「共に歳を重ねる」姿を表している

といったイメージで、「夫婦円満」「家族円満」の縁起を担ぐ植物として扱われてきた歴史があります。

さらに、ウラジロは毎年新しい葉を伸ばしながら生長していくシダ植物です。この“更新され続ける”性質が、「代々続く家」「長寿」「子孫繁栄」といった願いにも重ねられてきました。

少しイメージしてみてください。白い葉裏が手前に見えるように末広がりで飾られたウラジロは、まるで「新しい一年を清らかな気持ちで迎えましょう」と語りかけてくれているような雰囲気があります。

先祖の依り代としての役割と歴史的な背景

ウラジロは、先祖の霊や神様が一時的に宿る「依り代(よりしろ)」として扱われてきたともされています。これは、日本の年中行事に共通する考え方で、特定の植物や道具を通じて目に見えない存在をお迎えする、というイメージです。

お正月は「年神様」を家にお迎えする行事とされることが多く、その年神様の座として鏡餅が用意されます。そして、その鏡餅を支える存在として、清らかさを象徴するウラジロが敷かれる、という位置づけなんです。

歴史資料や民俗学の分野でも、ウラジロは古くから正月行事と結びついて語られています。武将の甲冑や兜の飾りにウラジロが用いられた例も伝わっており、「魔除け」「厄除け」の力を持つとされてきた側面もあります。

つまりウラジロは、「年神様の座を清らかに整える植物」であり、「家族と家を守る象徴」として長く使われてきた、とまとめられます。

意味を知っておくと、ただの飾りではなく、年初めの気持ちの整え方そのものにつながってくる感覚が少し出てきますよね。

橙・ゆずり葉・松など他の正月の植物との意味の違い

正月飾りにはウラジロ以外にも、さまざまな植物が登場します。それぞれに役割や願いが分かれているので、違いを軽く押さえておくと、飾りの組み合わせを考えやすくなります。

代表的な植物を、ざっくり整理すると次のようなイメージです。

植物主な意味・願いよく使われる飾り
ウラジロ清らかさ・夫婦円満・長寿・家の繁栄鏡餅・しめ飾り・門松の足元
橙(だいだい)代々続く家・子孫繁栄鏡餅のてっぺん・しめ飾り
ゆずり葉親から子へ、世代交代の円滑さ鏡餅・しめ飾りの添え葉
冬でも青い常緑=不老長寿門松・しめ飾り
まっすぐ伸びる成長・しなやかさ門松
南天「難を転ずる」厄除け玄関周りの植栽・飾り物

ウラジロは、これらの植物の中で「土台を支える清らかさ」を象徴する役割を担っています。橙やゆずり葉が“家系や世代のバトン”をイメージさせるのに対し、ウラジロは“家族関係や心のあり方”のほうに重心がある、というイメージです。

こうして意味を並べてみると、「うちの家族にとって大事にしたい願いはどこかな?」と考えながら飾りを選ぶ楽しさも出てきます。

意味や背景が見えてきたところで、次は「地域差」や「組み合わせ方」の実践に移していきましょう。

地域差と家庭で選びやすいウラジロ・縁起物の組み合わせ

ウラジロの飾り方は、日本全国で一律というわけではありません。住んでいる地域や、実家のしきたりによっても少しずつ違います。ここを知っておくと、他の家との違いに戸惑いにくくなりますよ。

関東と関西で異なるウラジロの飾り方の傾向

よく言われる違いの一つが、「鏡餅とウラジロの位置関係」です。関東・関西で細かなルールが決まっているわけではありませんが、傾向としては次のようなスタイルが知られています。

地域のイメージ鏡餅との位置関係よく見られるスタイルの例
関東寄り鏡餅の下にウラジロを敷く三方+半紙+ウラジロ+鏡餅
関西寄り鏡餅の上や横にウラジロを添える鏡餅の上に橙+ウラジロを一緒に飾る

「どちらが正しい」「どちらが間違い」という話ではなく、地域や家ごとの習慣の違いなんです。

実家のやり方が関東型でも、今住んでいる地域が関西寄りなら、スーパーや和菓子店などで売られている鏡餅のセットが関西風になっている、というケースもありますよね。

迷ったときの考え方としては、

  • 実家や親族のやり方がある場合は、それをベースにする
  • 特に決まりがなければ、三方の上に半紙とウラジロを敷く“関東寄りの型”を基本にする

という2つの軸で選ぶと決めやすくなります。

鏡餅・しめ飾りでの橙やゆずり葉との組み合わせ例

ウラジロに加えて、橙やゆずり葉をどう組み合わせるかも悩みどころですよね。ここでは、家庭で取り入れやすいシンプルなパターンをいくつかイメージしてみましょう。

鏡餅の組み合わせ例

  • ベーシック型
  • 三方+半紙+ウラジロ(左右一対)+二段重ねの鏡餅+橙1個
  • コンパクト型
  • 皿+ウラジロ1枚+小さめの鏡餅+葉付きの橙またはみかん1個
  • 少し華やか型
  • 三方+半紙+ウラジロ2〜4枚+鏡餅+橙+ゆずり葉2〜3枚

しめ飾りの組み合わせ例

  • ウラジロ+紙垂(しで)+橙(または橙色の飾り)
  • ウラジロ+ゆずり葉+稲穂少量
  • シンプルな既製のしめ飾りに、ウラジロだけ1〜2枚追加

大切なのは、「意味を全部盛りにする」ことではなく、家の雰囲気や飾る場所の広さに合うバランスを選ぶことです。

ここ、ちょっと気になりますよね。「どこまで整えたら十分なんだろう?」という点ですが、一般的には「ウラジロ+橙」が整っていれば、鏡餅として十分に“形になる”と考えられます。

本物と造花・代用品を選ぶときの考え方と注意点

最近は、生のウラジロだけでなく、造花やプリザーブド加工されたものも増えています。毎年の準備を少しラクにしたいとき、選び方に迷うところかもしれません。

それぞれの特徴を簡単に整理しておきますね。

種類メリット注意したい点
生のウラジロ香りや質感を含めて本来の雰囲気が出る乾燥しやすい・毎年新しく用意する必要
造花タイプ繰り返し使える・手に入りやすい神事としては好まない考え方もある
プリザーブド生に近い質感で長持ちする価格がやや高めになることが多い

神社や本格的な神事では、生の植物を用いることが基本とされるケースが多いです。ただ、一般家庭での飾りとしては、現実的な生活事情もありますよね。

「できる範囲で生のウラジロを用意しつつ、どうしても難しいときは造花で雰囲気を整える」といった柔らかいスタンスで考える家庭も増えています。

代用品として、一般的なシダやフェイクグリーンを使いたくなる場面もあるかもしれませんが、ウラジロは意味を込めて選ばれている植物なので、可能であれば“ウラジロとして販売されているもの”を選ぶほうが安心かなと思います。

どのタイプを選ぶにしても、「一年のはじまりを丁寧に迎えたい」という気持ちを大切にできるかどうかが、いちばんのポイントです。

地域差や選び方が見えてきたら、次は実際に飾ったあとの「扱い方」と「処分マナー」も押さえておきましょう。

ウラジロの扱い方と処分マナー

ウラジロは飾って終わりではなく、片付けまで含めて一つの行事になります。最後まで丁寧に向き合うことで、気持ちよく新年の区切りをつけられますよ。

飾る前に確認したいウラジロの状態と保管のコツ

ウラジロは乾燥に弱く、環境によっては葉が丸まったり、欠けたりしやすい植物です。手に入れてから飾るまでの間に、ちょっとしたひと手間を加えると、見た目がきれいな状態を保ちやすくなります。

飾る前に、次のようなポイントをチェックしてみてください。

  • 葉が折れていないか、極端に変色していないか
  • 葉裏の白さがある程度残っているか
  • 葉柄(茎の部分)が極端に乾きすぎていないか

購入後〜飾るまでの保管は、直射日光と暖房の風を避けた涼しい場所がおすすめです。過度に湿らせる必要はありませんが、エアコンの風が直接当たる場所に放置すると、パリパリになりやすいので注意したいところです。

飾ったあとは、「葉が大きく丸まってしまった」「ボロボロになってしまった」など、明らかに見た目が気になるときは、年末〜松の内の早い段階で新しいウラジロに替えることもあります。必ずしも“一度飾ったら変えてはいけない”という考え方ではないので、清潔感を優先して調整していくとよいですよ。

お焚き上げと家庭で処分する場合の手順とマナー

松の内が終わったら、ウラジロを含む正月飾りは片付けのタイミングを迎えます。処分の方法は、大きく分けて「神社などでのお焚き上げ」と「家庭での処分」の2つがあります。

お焚き上げ(どんど焼き・左義長)に持っていく場合

  • 神社や地域の集まりで実施される火祭りに正月飾りを持参する
  • ウラジロを含むしめ飾りや門松、書き初めなどを一緒に焚き上げてもらう
  • その火で焼いた団子や餅を食べる風習がある地域もある

家庭で処分する場合の一般的な流れ

  • ウラジロやしめ飾りから金属やプラスチックを外す
  • できれば白い紙や布で包む
  • 少量の塩で軽く清める(盛り塩の要領でさっと振る程度)
  • 自治体のルールに従って、可燃ごみとして出す

お焚き上げに出すかどうかは、地域の行事の有無や生活スタイルにもよります。近年は環境面への配慮から、神社側が“紙やプラスチックを取り除いたものだけ”を受け付けるケースも増えています。

家庭で処分する場合も、「一度神様をお迎えした飾りとして丁寧に扱う」ことが意識できていれば、失礼にあたると考える必要はあまりありません。

片付けまで丁寧に終えることが、次の一年をすっきり始めるための、ひとつの区切りになります。

毎年の入れ替えタイミングと再利用を避ける理由

ウラジロを含む正月飾りは、基本的に「毎年新しいものを用意する」考え方が一般的です。生のウラジロはもちろん、造花タイプであっても、“まったく同じ飾りを何年も連続で使い回す”ことには抵抗を感じる人も少なくありません。

その背景には、

  • 年神様を毎年新たにお迎えする行事であること
  • 「新しい年=新しく整えた飾り」で迎える意味合いが強いこと

といった考え方があります。

ただし、近年は環境への配慮やコストの観点から、

  • ベースとなる三方や飾り台は毎年同じものを使う
  • 一部の飾りは長く使えるものを選び、ウラジロなど“命あるもの”だけを新しくする

というような折り合いのつけ方も広がっています。

生のウラジロをそのまま翌年まで保管して再利用するのは、見た目の点でも衛生面でも現実的ではありません。基本的には、その年の役目を終えたら丁寧に処分し、新しい一年には新しいウラジロを迎える形が、もっともすっきりした考え方になります。

扱い方と片付けまでの流れが見えたところで、次は「よくある誤解」や「似た植物との違い」についても整理しておきましょう。

ウラジロについてよくある誤解と素朴な疑問

ここからは、「なんとなく気になっているけれど聞きづらい」ポイントを一つずつ解いていきます。細かな疑問が解消されると、飾るときのモヤモヤも減っていきますよ。

ウラジロと他のシダの違いと見分け方

ウラジロはシダ植物の一種ですが、すべてのシダがウラジロというわけではありません。山や庭にあるシダを見て、「これで代用できるのかな?」と迷う場面もあるかもしれません。

ウラジロの特徴を、よく見かけるシダと比較してみます。

植物名葉裏の色・質感葉の形・大きさのイメージ
ウラジロ裏が白く粉っぽい・ロウ質大きめで二回羽状に分かれ、扇状に広がる
コシダ裏も緑〜淡い色ウラジロより小さく、細かく分かれる
その他のシダ種類によりさまざま一般に葉裏が白くないことが多い

「裏がはっきり白い」「大きく扇状に広がる」という2点が、ウラジロらしさを見分けるポイントです。お店や花材として販売されているものは、名前が表示されていることが多いので、購入時に確認しておくと安心です。

自分で山から採取する場合は、見分けに自信がないときは無理に使わず、店頭で「ウラジロ」として売られているものを選ぶほうが無難です。

裏側を見せて飾るのは失礼にならないのか

「裏を見せる」という言葉の印象から、なんとなく失礼な感じがしてしまう方もいますよね。ここは、言葉のイメージと植物の意味をきちんと分けて考えるとスッキリします。

ウラジロの場合、裏側が白いこと自体が「心に裏表がない」「清らかである」という象徴になっています。その“清らかな面”を年神様のほうに向けて見せる、という考え方なので、「裏を見せるから失礼」という解釈にはなりません。

むしろ、「何も隠しごとがない、素直な心で新年を迎える」という願いを込めて、白い面を見せるとイメージしておくと、迷いが減るはずです。

もしどうしても気になる場合は、ウラジロの角度を少し調整して、表の緑色もちらりと見えるように整える、という折り合いのつけ方もあります。大切なのは、飾る人の気持ちが落ち着く形に仕上がっているかどうか、という点です。

ウラジロが手に入りにくいときの代わりのアイデア

地域やタイミングによっては、どうしてもウラジロが手に入りにくいこともあります。そんなとき、完全にあきらめるのではなく、“できる範囲で雰囲気を整える”発想を持っておくと気がラクになります。

代わりのアイデアとしてよく挙げられるのは、次のようなものです。

  • ウラジロ付きのしめ飾りをひとつ用意し、鏡餅はシンプルに飾る
  • ウラジロの造花やプリザーブドを一時的に利用する
  • 難を転ずる意味を持つ南天の実や葉を、鏡餅の近くに添える
  • 正月らしい葉物(ヒバや松の小枝など)で足元の雰囲気を整える

もちろん、ウラジロそのものを使えればいちばんスムーズですが、「ウラジロがないから正月飾りをしてはいけない」というところまでは考えなくて大丈夫です。

その年の環境や体調、住まいの状況に合わせて、無理のない範囲で“気持ちを込めて飾る”ことが、一番大切なポイントになります。

ここまでで、ウラジロについての疑問はだいぶ整理できてきたと思います。最後に、よくある質問をコンパクトにまとめておきますね。

よくある質問(FAQ)

Q. ウラジロはいつからいつまで飾るのがよいですか?
A. 多くの場合は12月26日頃から松の内まで飾ります。 地域によって松の内が1月7日までの場合と15日頃までの場合があるので、地元の風習や神社の案内も参考にしながら決めると安心です。

Q. 鏡餅にウラジロを敷く向きが逆でも問題になりますか?
A. 大きな失礼とまでは考えられていません。 基本は白い面を上、葉先を手前に末広がりですが、気づいたときに直せば十分で、気持ちを込めて飾っていることのほうが重視されます。

Q. ウラジロは1枚だけでも大丈夫でしょうか?
A. 小さな鏡餅なら1枚でも問題ありません。 一般的には左右一対で2枚がよく使われますが、飾る場所の広さや鏡餅の大きさに合わせて、バランスを見ながら枚数を決めるとよいとされています。

Q. ウラジロなしで正月飾りをすると失礼になりますか?
A. ウラジロが用意できなくても、必ずしも失礼にはあたりません。 橙やゆずり葉など、他の縁起物を丁寧に飾って年神様を迎えようとする気持ちがあれば、形にとらわれすぎなくても大丈夫と考えられます。

Q. ウラジロを山や公園で採ってもよいのでしょうか?
A. 場所によっては禁止されている場合があります。 国有林や公園、私有地では勝手に採るとルール違反になる可能性があるため、採取してよい場所かどうか事前に確認し、必要最小限だけをいただく配慮が求められます。

Q. 飾ったウラジロは必ずお焚き上げに出すべきですか?
A. 必ずお焚き上げに出さなければならないわけではありません。 近くにどんど焼きがない場合は、白い紙などで包み、塩で軽く清めたうえで、自治体のルールに沿って家庭ごみとして出す方法も一般的になっています。

Q. 来年も同じウラジロを飾ってもよいですか?
A. ウラジロは毎年新しく用意する考え方が基本です。 生の植物は劣化しやすく、「新しい年には新しい飾りで」という意味合いもあるため、その年の役目を終えたら丁寧に処分し、翌年は新しいウラジロで迎えるのが一般的です。

まとめ

ウラジロの正月飾りは、細かな作法がたくさんあるように感じられますが、実際には「白い面を上に」「末広がりに」「鏡餅やしめ飾りのそばに清らかさを添える」というシンプルな考え方に集約されます。

  • 鏡餅には、三方や皿の上に半紙を敷き、その上にウラジロを左右一対で広げてから鏡餅を乗せる型が基本
  • 葉裏の白さや左右対称の形には、清らかさ・夫婦円満・家族の繁栄などの願いが込められている
  • 関東・関西など地域によって飾り方の傾向は違っても、どちらかが正解・不正解ということではない
  • 飾ったあとは、松の内を目安に、お焚き上げや家庭での丁寧な処分で締めくくる

こうして流れで整理しておくと、毎年の準備が“決まりごとに追われる時間”ではなく、“新しい一年に気持ちを整える時間”に変わっていきます。

ウラジロは、ほんの数枚の葉ですが、そこに込められた願いや歴史を知ることで、鏡餅やしめ飾り全体の意味もより立体的に感じられるはずです。無理のない範囲で、自分と家族にしっくりくる飾り方を見つけていきましょう。

参考文献・出典

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