10月14日夜、東京スタジアムが揺れた。
日本代表がサッカー王国・ブラジルに3−2で逆転勝ち。
この瞬間、日本中のサッカーファンが「え、夢じゃないよね?」と声を上げたはずだ。
前半で2点ビハインド。誰もが厳しい展開を覚悟したが、森保ジャパンはそこから怒涛の3得点。
ブラジル代表から史上初の勝利をもぎ取った。
「勢い」「運」「奇跡」──そう言うのは簡単。でも、実はこの勝利、しっかり“理由”があった。
前半:ブラジルに2点を許したのはなぜ?
ブラジルの攻撃パターンにハマった前半
試合序盤、ブラジルは右サイドを中心に圧力をかけてきた。
スピードと個人技で勝負してくる相手に、日本の守備陣はズルズルと下がり気味。
中盤のスペースを空けてしまい、ボランチの遠藤航が広い範囲を一人でカバーする苦しい展開に。
ヴィニシウスの突破、カゼミーロの展開力、前線の連動──すべてが機能していた。
「これがブラジルか」と誰もが納得するような完成度。
日本のミスと連携のズレ
1点目はセンターバックとアンカーの間にできた“わずかな隙”を突かれ、スルーパス一閃。
2点目はサイド寄りすぎた守備からのクロス対応ミス。
ボールを持てても、プレスをかけ直すタイミングが遅れたのが痛かった。
前半データで見る苦戦ぶり
- ボール支配率:ブラジル58%、日本42%
- シュート数:ブラジル9、日本2
- パス成功率:ブラジル90%、日本85%
数字の上でも完全にブラジルペース。
でも、この流れを変える“きっかけ”がハーフタイムにあった。
ハーフタイムで何が起きたのか?
森保監督の指示は「攻める守備」
森保監督が出したのは明確な一言──
「ボールを奪いに行こう」。
前線の3人が連動して相手ボランチを追い込み、中盤の距離を詰めていく形に変更。
つまり、構える守備から“奪う守備”へシフトしたのだ。
中盤3枚の配置をやや縦に変え、遠藤を軸にプレスをかける。
この小さな修正が、試合全体をガラッと変えた。
ロッカールームの空気も変わった
キャプテン吉田麻也が中心となり、「ここからが勝負だ」と声を上げたという。
沈んでいた空気が一気に切り替わり、選手の顔が引き締まった。
まるでスイッチが入ったかのように、後半開始から動きがまるで違った。
ブラジルの疲労と対応遅れ
一方でブラジルは前半のハイテンポにやや疲れが見え始めていた。
守備の戻りが遅くなり、日本のプレスに対応できず。
そこを逃さず突いたのが、後半の森保ジャパンだった。
後半:日本が主導権を握った理由
“プレスの連鎖”がブラジルを混乱させた
後半、日本は前線からのハイプレスで完全に主導権を奪った。
特に南野、中村、上田の3人の連動は見事。
遠藤と鎌田が中央を締めることで、ブラジルのパスコースを消していった。
ボールを奪えば一気に縦。スピード感のある攻撃が次々と生まれる。
逆転の3ゴールをおさらい
1️⃣ 南野拓実(52分):前線プレスで相手DFのパスミスを誘発 → そのままゴール。
2️⃣ 中村敬斗(62分):遠藤→中村→自らこぼれ球を押し込む。
3️⃣ 上田綺世(71分):クロスから完璧なタイミングのヘディング。
どれも“狙って奪った”ゴール。偶然ではない。
ブラジルの集中が切れた瞬間
2点リードを失って焦るブラジル。守備ラインがバラバラになり、声も飛ばなくなった。
アンチェロッティ監督も苦い表情を浮かべ、「負けを簡単には受け入れられない」とコメント。
それほど、この逆転は彼らにとって衝撃だった。
アンチェロッティが語った“敗因”
采配よりも「メンタルの問題」
監督は「交代策の問題ではない」と語ったが、チーム全体の集中力が切れていたのは明らか。
「日本のプレスに困難を感じた」とも認めており、戦術的に崩されたことを率直に認めている。
選手たちのコメントにも変化
DFファブリシオ・ブルーノは「日本の組織力に感銘を受けた」と語り、
先制点を決めたパウロ・エンリケも「よく訓練されたチーム」と称賛。
相手を“技術的に”認めるコメントは、ブラジルでは異例だ。
この勝利が持つ“象徴的な意味”
アジア勢がブラジルを倒したという事実
ブラジルがアジアのチームに負けたのは26年ぶり。
そして、日本がブラジルに勝ったのは史上初。
これまでの対戦成績は「11敗2分」。ついに歴史が塗り替えられた。
世界の反応:「日本はもう格下じゃない」
ロイター通信は「Japan fight back to earn first ever win over Brazil(日本がブラジルに初勝利)」と報道。
欧州メディアでも「組織的・戦術的に成熟したチーム」と評価されている。
一夜にして、日本のサッカーが“世界基準”に近づいたのだ。
これからの森保ジャパン
この勝利は通過点にすぎない。
W杯本大会を見据えるなら、次は“継続力”と“安定感”がカギになる。
プレス強度をどれだけ維持できるか、選手層の厚みをどう作るか。
日本サッカーの課題は、まだここからが本番だ。
舞台裏の小ネタ
- 試合前の非公開練習では「高い位置でのプレス」を徹底練習していたとの噂。
- 森保監督はハーフタイム直前、スタッフと1分だけ戦術確認。その“1分”が全てを変えたとも言われている。
- 後半の観客の声援がまるで“12人目の選手”。選手たちの背中を押した。
この勝利から見える日本サッカーの未来
この試合で証明されたのは、
「技術ではなく“組織と覚悟”で強豪に勝てる」ということ。
欧州組が増え、戦術理解度も上がった今、
日本はもう“格下の挑戦者”ではない。
世界の舞台で“勝ちに行くチーム”になりつつある。
そして何より、この勝利は選手だけじゃなく、
応援するファンにとっても「自信」になったはずだ。
あの夜、ブラジルに勝った日本。
あれは“奇跡”じゃなく、“積み重ねの結果”だった。
参考ソース
- Reuters:「Japan fight back to earn first ever win over Brazil」
- 日刊スポーツ:「日本代表、ブラジルに逆転勝ち!」
- ゲキサカ:「試合速報:日本代表 vs ブラジル代表」
- 東京スポーツ:「アンチェロッティ監督『負けは受け入れがたい』」