北海道日本ハムファイターズの古林睿煬(グーリン・ルェヤン)投手が、2025年10月19日のパ・リーグCSファイナルステージ第5戦で先発を任され、5回途中2安打無失点の好投を見せました。2024年台湾プロ野球でMVP・最優秀防御率を獲得した「火球男」が、日本ハムの9年ぶり日本シリーズ進出に貢献しています。そこで本記事では、古林睿煬投手のプロフィールや読み方、台湾MVPの実力の秘密、父親の死を乗り越え「第二の父」と慕う林岳平監督との絆、そして侍ジャパン相手の完全試合など、日本ではまだ知られていない古林睿煬投手の魅力を詳しく解説します。
古林睿煬プロフィール|読み方・年齢・出身まとめ
古林睿煬投手のプロフィールを見ていきましょう。古林睿煬は「グーリン・ルェヤン」と読み、2000年6月12日生まれの25歳、台湾・台中市出身のプロ野球投手です。
古林睿煬という名前の特徴として、「古林」は2文字の複姓ではなく、両親の「古」姓と「林」姓を組み合わせた双姓です。これは台湾でよく見られる命名方法で、両親の姓を大切にする文化が反映されています。
古林投手は台湾原住民のタイヤル族出身で、台湾では「火球男」「台灣金孫」「府城金孫」という愛称で親しまれています。「火球男」の由来は、最速157km/hの剛速球を武器とする投球スタイルから来ています。
2018年、台湾プロ野球(CPBL)のドラフトで統一セブンイレブン・ライオンズから1位指名を受けてプロ入り。2024年11月、ポスティングシステムを利用して北海道日本ハムファイターズに移籍しました。契約内容は3年契約で総額170万ドル+出来高払い、日本ハムの落札金額は100万ドルと推定されています。
基本情報は以下の通りです。
- 名前:古林睿煬(グーリン・ルェヤン)
- 年齢:25歳(2000年6月12日生まれ)
- 出身地:台湾・台中市
- 身長・体重:184cm・81kg
- 投打:右投右打
- 背番号:37
- 所属:北海道日本ハムファイターズ(2025年~)
- 前所属:統一セブンイレブン・ライオンズ(2019年~2024年)
- 民族:タイヤル族(台湾原住民)
このような古林睿煬投手のプロフィールから、台湾野球界を代表する若き実力派投手という魅力が見えてきます。
古林睿煬の成績・実績|台湾MVP獲得の軌跡
古林睿煬投手の代表的な実績をまとめます。
古林投手が日本の野球ファンに衝撃を与えたのは、2024年の台湾プロ野球での圧倒的な成績でした。21試合の先発登板で10勝2敗、防御率1.66という驚異的な数字を記録し、150奪三振を挙げました。
2024年台湾リーグでの主な実績:
- シーズンMVP獲得(台湾人投手として18年ぶり)
- 最優秀防御率獲得(防御率1.66)
- ベストナイン選出
- 21試合登板で10勝2敗
- 150奪三振
- FIP(守備独立防御率)1.778
特筆すべきは、21試合のうち19試合を2失点以下に抑えるという抜群の安定感です。この圧倒的なパフォーマンスが評価され、台湾人投手としては2006年の林恩宇以来、実に18年ぶりとなるシーズンMVP受賞という快挙を成し遂げました。
日本プロ野球での成績:
- 2025年4月23日:日本プロ野球初登板(対楽天戦、5.2回7失点で敗戦投手)
- 2025年5月1日:来日初勝利(対ソフトバンク戦、7回2失点)
- 2025年5月11日:プロ初完封勝利(対楽天戦、9回無失点、マダックス達成)
- 2025年6月:左内腹斜筋損傷で離脱(約8週間)
- 2025年10月19日:CS第5戦で好投(5回途中2安打無失点)
日本プロ野球での初登板は苦い結果となりましたが、わずか8日後には来日初勝利を挙げ、さらにその10日後にはプロ初完封を達成するという適応力の高さを見せました。特に5月11日の完封勝利は、台湾リーグを通じても初めての完封で、しかも球数が少なく効率的な投球を意味する「マダックス」も同時に達成しています。
これらの古林睿煬投手の実績から、台湾野球界を代表する実力と、日本プロ野球への高い適応力が分かります。
古林睿煬の投球スタイル|最速157km/h「火球男」の実力
古林睿煬投手が「火球男」と呼ばれる理由は、その圧倒的な投球スタイルにあります。ここでは、台湾MVPを獲得した古林投手の投球の秘密を詳しく見ていきましょう。
古林投手の最大の武器は、最速157km/hに達するフォーシームです。平均球速も約147km/hと非常に高く、投球全体の約68%をストレートが占めています。この「ストレート主体」という大胆な配球が、かえって打者を翻弄する結果につながっています。
古林睿煬の球種構成
- フォーシーム(約68%):最速157km/h、平均147km/h
- フォーク(約17%):台湾では「絶殺球種(必殺技)」と呼ばれる決め球
- カーブ(約10%):打者のタイミングを外す
- ツーシーム(約5%):左打者の内角攻め
特に注目すべきは、フォークボールの威力です。台湾では「絶殺球種」つまり「必殺技」と呼ばれるほどの決め球で、被打率が極めて低く、打者が長打を打ちにくい変化をします。左打者の内角を攻める際にも効果的に使われ、2024年のポストシーズンでは投球の27%を占めるまで使用頻度が上がりました。
古林投手の投球スタイルで特徴的なのが、四球を与えないことへの強いこだわりです。球数が不利な場面では、ストライクゾーンに速球を使うことが多く、打者に対して常にプレッシャーをかけ続けます。2024年シーズンの速球のRV(球価:ボールの価値を示す指標)は18.7という高い数値を記録しており、ストレート一本で勝負できる実力の高さが証明されています。
さらに古林投手は、ピンチに強い投手としても知られています。ランナーなし時の被打率が.253であるのに対し、得点圏では.178と大幅に下がります。5回の被打率の低さや高い勝率から、試合の要所でギアチェンジできる投手です。新庄剛志監督が「優しい顔をしているのに、度胸満点」と評したのは、まさにこの冷静な投球術を指しています。
このように、古林睿煬投手の「火球男」という愛称は、単に球が速いだけでなく、戦略的な配球と冷静な判断力を兼ね備えた本格派投手であることを示しています。
古林睿煬を育てた「第二の父」林岳平監督との絆
古林睿煬投手の成長を語る上で欠かせないのが、統一ライオンズの林岳平監督との深い絆です。父親の死を乗り越え、MVP獲得に至るまでの感動的な師弟物語があります。
古林投手がプロ入りを果たした2018年、人生最大の試練が訪れました。祖父と父が相次いで他界したのです。若き投手にとって、プロの世界で戦う喜びと、大切な家族を失った悲しみが同時に押し寄せる過酷な状況でした。
この苦境を支えたのが、当時投手コーチとして古林投手の育成役を担っていた林岳平氏でした。林氏は後に統一ライオンズの監督に就任しますが、古林投手にとっては指導者という枠を超えた存在となりました。
林岳平監督が古林投手にしたこと
- 投手コーチとして技術面を徹底指導
- なかなか結果が出ず自信を失いかけた時期も、先発として独り立ちできるよう何度もチャンスを与えた
- 厳しい外部の声から守り続けた
- 精神面でも支え、家族を失った悲しみに寄り添った
2024年11月、台湾プロ野球の年間表彰式でシーズンMVPを受賞した古林投手は、涙ぐみながらこう語りました。
「今、この場所に立てているのは、当時、投手コーチとして自分の育成役となってくれた林岳平監督のお陰です。自分にとって林監督は指導者という存在のみならず、第二の父親のような存在です」
そして続けて、「なかなかいいパフォーマンスができず、自信を失いかけたこともありましたが、林監督は先発として独り立ちできるよう、何度もチャンスを与えてくれ、厳しい声からも守ってくれました。MVP受賞を林監督、そして天国の祖父と父が誇らしく思ってくれると嬉しいです」と感謝の言葉を述べました。
この表彰式は、古林投手が日本ハムへの移籍を目指すポスティングシステムへの申請が発表された直後に行われました。「今後どこでプレーをするにしても、この栄誉を胸に自分への挑戦を続けていきます」という決意表明に、会場からは大きな拍手が送られました。
古林睿煬投手は、父親の死という悲しみを、林岳平監督という「第二の父」との出会いによって乗り越え、台湾人投手18年ぶりのMVPという偉業を成し遂げたのです。この感動的な師弟物語が、古林投手の投球に込められた強い想いの源となっています。
古林睿煬が侍ジャパンに挑んだ完全試合|日本進出のきっかけ
古林睿煬投手の名前が日本の野球ファンに知れ渡ったのは、2023年11月に東京ドームで開催されたアジアプロ野球チャンピオンシップでの衝撃的な投球でした。
日本代表「侍ジャパン」との一戦で先発を任された古林投手は、力強いストレートを制球良く投げ込み、打者を次々と抑えていきます。1回、2回、3回、4回と完璧な投球が続き、5回までなんと打者15人を完全に封じ込めました。5回までパーフェクト(完全試合)という快挙です。
6回、ついに巨人の門脇誠選手に初安打を許しましたが、古林投手の集中力は途切れません。結果として6回2/3を投げ、3安打1失点という快投を披露しました。7回には阪神の森下翔太選手にソロホームランを被弾しましたが、それまでの投球内容は日本の野球ファンに強烈な印象を残しました。
この試合、X(旧Twitter)では「台湾のピッチャー」というワードがトレンド入りするほどの話題となり、多くの日本の野球ファンが「この投手は誰だ?」と注目しました。
東京ドームを訪れていた台湾野球の伝説、郭泰源氏もこの投球を目の当たりにし、「日本で通用すると思う」と絶賛しました。郭泰源氏は1980年代に読売ジャイアンツで活躍した台湾出身のレジェンドで、その郭氏からの評価は大きな意味を持ちました。
この衝撃的なパフォーマンスが、日本ハムのスカウト陣の目に留まるきっかけとなります。栗山英樹チーフ・ベースボール・オフィサー(CBO)は後に、「今季は春先から数度、台湾へ足を運び、グーリン投手の動向を伺っていました」と語っており、この試合以降、日本ハムは古林投手の獲得に向けて本格的に動き出していたことが分かります。
侍ジャパン相手に5回まで完全試合という偉業は、古林睿煬投手にとって日本進出への大きな転機となったのです。
古林睿煬の日本シリーズへの挑戦|ダルビッシュへの憧れ
2025年パ・リーグCSファイナルステージで、古林睿煬投手は日本ハムの9年ぶり日本シリーズ進出に貢献しました。この快挙の背景には、幼少期からの憧れであるダルビッシュ有投手への想いがあります。
2024年11月20日、日本ハム入団の記者会見で、古林投手にとって忘れられないサプライズがありました。幼少期からの憧れであるダルビッシュ有投手からの祝福メッセージが披露されたのです。古林投手はこの瞬間、夢が現実になった喜びを噛みしめていました。
古林投手は記者会見で、「まずは北海道日本ハムファイターズに声をかけていただいた事に感謝します。ファイターズに入団することと、日本プロ野球でプレーできることをとても光栄に思います。ファイターズは良い選手がたくさん集まっているし、私が好きな選手もいます」と語り、日本でのプレーへの期待を示しました。
新庄剛志監督は古林投手について、「今年から本格的にルェヤンを意識し始めたけど、とにかく、一目惚れ!これは素晴らしい投手だと思いました。優しい顔をしているのに、度胸満点だものね。これまでは『台湾を代表するピッチャー』だったかもしれないけど、これからは『世界で通用するピッチャー』になっていきますよ」と絶賛しています。
さらに新庄監督は、古林投手のおばあちゃんに向けて「ルェヤンのおばあちゃん、我々がお孫さんのことをしっかり守っていきます!」とメッセージを送り、家族を大切にする姿勢を示しました。
2025年シーズン、古林投手は日本プロ野球への適応に苦労する場面もありました。6月には左内腹斜筋損傷で約8週間の離脱を余儀なくされましたが、復帰後のCS第5戦という重要な場面で結果を出し、チームの日本シリーズ進出に貢献しました。
憧れのダルビッシュ投手のように、世界で通用する投手になるという夢に向かって、古林睿煬投手の挑戦は続いています。
まとめ:CS好投と古林睿煬の成長物語
古林睿煬投手が2025年10月19日のパ・リーグCSファイナルステージ第5戦で5回途中2安打無失点の好投を見せ、日本ハムの9年ぶり日本シリーズ進出に貢献しました。本記事では、古林睿煬投手のプロフィールや読み方、台湾MVPの実力の秘密、林岳平監督との感動の師弟物語、侍ジャパン相手の完全試合をご紹介しました。
古林睿煬投手は2024年、台湾プロ野球で防御率1.66という驚異的な成績を残し、台湾人投手18年ぶりのシーズンMVPを獲得しました。最速157km/hの「火球男」は、ストレート主体の大胆な配球と、「絶殺球種」と呼ばれるフォークで打者を翻弄します。
特に、プロ入り時に父親と祖父を相次いで亡くし、林岳平監督を「第二の父親」と慕う感動的なストーリーは、古林投手の投球に込められた強い想いを物語っています。2023年の侍ジャパン戦で5回まで完全試合を継続した衝撃の投球が、日本進出のきっかけとなりました。
憧れのダルビッシュ有投手のように、世界で通用する投手を目指す古林睿煬投手。今回のCS好投をきっかけに、日本シリーズでの活躍と、今後のさらなる成長に注目していきたいですね。
よくある質問(FAQ)
Q1. 古林睿煬とは何者ですか?
A. 古林睿煬(グーリン・ルェヤン)は25歳の台湾出身のプロ野球投手で、北海道日本ハムファイターズに所属しています。2024年に台湾プロ野球でシーズンMVP・最優秀防御率(防御率1.66)を獲得し、台湾人投手としては18年ぶりの快挙を成し遂げました。最速157km/hの剛速球から「火球男」と呼ばれ、2025年10月19日のCS第5戦で5回途中2安打無失点の好投を見せ、チームの日本シリーズ進出に貢献しました。
Q2. 古林睿煬の読み方は?
A. 古林睿煬は「グーリン・ルェヤン」と読みます。「古林」は2文字の複姓ではなく、両親の「古」姓と「林」姓を組み合わせた双姓です。台湾原住民のタイヤル族出身で、台湾では「火球男」「台灣金孫」「府城金孫」という愛称で親しまれています。最速157km/hの剛速球を武器とする本格派右腕投手です。
Q3. 古林睿煬の投球スタイルは?
A. 古林睿煬投手の最大の武器は最速157km/h、平均147km/hのフォーシームで、投球全体の約68%をストレートが占めます。さらに台湾で「絶殺球種(必殺技)」と呼ばれるフォーク、タイミングを外すカーブ、左打者攻略のツーシームを投げ分けます。四球を与えないことにこだわり、ピンチに強い投球が特徴で、ランナーなし時の被打率.253に対し得点圏では.178と大幅に下がります。
Q4. 古林睿煬の「第二の父」林岳平監督とは?
A. 林岳平監督は統一ライオンズの監督で、古林投手にとって「第二の父親」のような存在です。古林投手は2018年のプロ入り時に祖父と父を相次いで亡くしましたが、当時投手コーチだった林岳平氏が育成役として支え続けました。なかなか結果が出ず自信を失いかけた時期も、先発として独り立ちできるよう何度もチャンスを与え、厳しい声からも守ってくれました。2024年のMVP授賞式で古林投手は涙ぐみながら感謝の言葉を述べています。
Q5. 古林睿煬が侍ジャパンに挑んだ完全試合とは?
A. 2023年11月、東京ドームで開催されたアジアプロ野球チャンピオンシップで、古林投手は日本代表「侍ジャパン」戦に先発し、5回まで打者15人を完全に封じ込めました。6回に巨人の門脇誠選手に初安打を許しましたが、最終的に6回2/3を3安打1失点の快投を披露。X(旧Twitter)で「台湾のピッチャー」がトレンド入りするほどの衝撃を与え、この投球が日本ハムのスカウト陣の目に留まり、日本進出のきっかけとなりました。
参考情報・出典
- 【日本ハム】日本Sに逆王手 崖っぷちから3連勝!清宮幸が先制打&3打点 田宮は絶妙スクイズ決める 古林5回途中2安打無失点の好投
配信元:TBS NEWS DIG Powered by JNN(Yahoo!ニュース) - 古林睿煬 – Wikipedia
- 古林睿煬投手と契約合意|北海道日本ハムファイターズ
- 台湾MVP情報:【台湾プロ野球だより】古林睿煬、シーズンMVPを置き土産に「台南から世界へ」|パ・リーグ.com
- 侍ジャパン戦情報:日本ハム入団、台湾の157km剛腕・古林睿煬はあの郭泰源も推す逸材|THE ANSWER
- 入団経緯:日本ハム、”台湾MVP”古林睿煬の獲得を発表|Full-Count
- 成績情報:【公式】古林睿煬(北海道日本ハム)|パ・リーグ.com
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