絵の具の混色表で基本12色を作る|小学生でもわかる色づくりのコツ

絵の具の混色表

絵の具の色づくりは、子どもにとっていちばんワクワクする時間ですよね。

でも「何色と何色を混ぜればいい?」と聞かれて、その場で全部を説明するのはなかなか大変です。

実は、色相環をベースにした「基本12色」の混色表を1枚作っておけば、ほとんどの色づくりがスムーズになります。

赤・黄・青の3原色と白を軸にして、オレンジや黄緑、青紫などの中間色をきちんと整理しておくイメージです。

この記事では、小学生でも使えるシンプルな混色ルールと、すぐ授業や家庭で印刷して使えるレベルの「12色混色表の考え方」を整理していきます。

最後には茶色や灰色、肌色など「応用色」へのつなぎ方もまとめるので、親記事の茶色特集とあわせて色づくりの土台にしてみてください。

【この結論まとめ】

  • 基本12色は「色相環を12等分した色」をイメージすると整理しやすいです。
  • 赤・黄・青の3原色と白があれば、小学生用絵の具でも12色は十分作れます。
  • 混色表は「何色+何色+だいたいの比率」を子どもと一緒に書き込むのが最も定着しやすいです。
  • 濁りやすい組み合わせを避けると、茶色や灰色もきれいに作れるようになります。
目次

基本12色はこの組み合わせで作れる|小学生向け混色表の全体像

まず押さえたいのは、「基本12色」がどんなメンバーなのかをざっくり共有することです。

ここでは、色相環を12等分したときによく使われる代表的な色名で整理してみます。

【基本12色の区分一覧】

グループ色の名前(代表的な呼び方)
赤系赤、赤紫
黄系黄、黄緑
青系青、青緑
オレンジ系黄みのオレンジ、赤みのオレンジ
緑系緑、青みの緑
紫系紫、青紫

(出典:一般社団法人日本色彩学会)
※本内容は執筆時点。最新情報は公式サイト確認。

基本12色は、「赤・黄・青の3原色」から左右に少しずつずらした中間色を足していくイメージです。

感覚としては、「赤〜オレンジ〜黄」「黄〜黄緑〜緑」「緑〜青〜青紫〜紫」と、色の流れをぐるっと一周させる感じになります。

基本12色とは「色相環を12等分した色のセット」

色相環というのは、虹のような色の並びを丸くつないだものだとイメージするとわかりやすいです。

この丸を12等分して、それぞれの位置に「代表選手」として色の名前を置いたものが、ここでいう基本12色です。

子どもと一緒に紙の上で丸を描き、時計の数字のように12か所に色を書き込んでいくと、混色表の土台がイメージしやすくなります。

ここがポイント:
基本12色は「12色セットの絵の具」と同じとは限らず、「色相環を12等分したときの代表色」として考えると整理しやすくなります。

基本12色を作るときに押さえたい3つのルール

混色表を作る前に、ざっくりしたルールを共有しておくと失敗が減ります。

  • 「赤・黄・青」が混色のスタートになる色だと説明しておく。
  • 12色のうち、中間色は「となり合う2色を混ぜて作る」と教える。
  • 混ぜる量は「どちらを多くするか」で名前が変わると伝える。

この3つがあるだけで、子どもが自分で混色表を書き足せるようになります。

要点まとめ:
「3原色+となり合う色同士を混ぜる」と説明しておくと、子どもが自分で12色を埋められるようになり、混色表が一度きりのプリントではなく「育っていく表」になります。

3原色と白を押さえれば色づくりはぐっと楽になる

次に、「どの絵の具を3原色として使うか」をはっきりさせると混色表が安定します。

小学生向けの絵の具セットでも、色名はメーカーごとに少し違うことがあるので、最初に例を決めてあげると安心です。

混色のスタートになる3つの絵の具

一般的な学童用絵の具では、次の3色を「混色のスタートカラー」にすることが多いです。

【3原色として使いやすい色の例】

役割パレット上の色名の例
マゼンタ、あか、ももいろに近い赤
レモンいろ、きいろ
シアン、あお、すこし緑寄りの青

(出典:サクラクレパス公式サイト)
※本内容は執筆時点。最新情報は公式サイト確認。

ここでは「マゼンタ」「レモンイエロー」「シアン」のような、少し透明感のある3色を選ぶと混色しやすいです。

手持ちの絵の具セットに全く同じ名前がなくても、「赤ならピンク寄り」「青なら緑寄り」など、近い色を1つ決めておけば問題ありません。

結論:
3原色は「この3本を混色のスタートにするよ」と最初に宣言しておくと、子どもがどのチューブを選べばいいか迷いにくくなります。

白と黒は「色を変える」より「明るさと濃さ」を変える道具

白と黒は、とても便利ですが、最初から混ぜすぎると色がすぐに濁ってしまいます。

白は「明るくにごらせずに薄めるための色」、黒は「暗く深くするための色」として紹介するとイメージしやすいです。

最初は「3原色どうしを混ぜてから、最後に少しだけ白や黒を足す」という順番を決めておくと、柔らかい発色になりやすいです。

注意点:
白や黒を先にたくさん入れてしまうと、どんな色を足してもくすんだ色になるので、「最後に少しだけ」が基本ルールになります。

基本12色の混色レシピ一覧|混色表でパッと確認

ここからは、いよいよ具体的な「混色レシピ」を一覧にしていきます。

ここで出すレシピはあくまで「目安」なので、実際には子どもの絵の具セットの色味を見ながら微調整して使うイメージです。

暖かい色(赤寄り)の6色レシピ

まずは赤〜オレンジ〜黄寄りの「暖かい色」から整理します。

【暖色系6色の混色レシピ】

作りたい色おもに使う色だいたいの比率(目安)
純粋な赤赤(マゼンタ系)そのままか、ごく少量の黄
赤みのオレンジ赤 + 黄赤2:黄1
黄みのオレンジ黄 + 赤黄2:赤1
そのまま
黄緑黄 + 青黄3:青1
黄土色寄りのオレンジ黄 + 少量の赤 + 少量の青黄3:赤1:青ごく少量

(出典:サクラクレパス公式サイト)
※本内容は執筆時点。最新情報は公式サイト確認。

比率は「だいたい」の感覚でよく、スプーンではなく「筆でとる回数」でイメージさせると小学生にも伝わりやすいです。

実践ポイント:
暖色系は「黄を増やすと明るく、赤を増やすとこっくりした色になる」と伝えると、混色表に自分で矢印やメモを書き足せるようになります。

冷たい色(青寄り)の6色レシピ

次に、青〜緑〜紫寄りの「冷たい色」をまとめます。

【寒色系6色の混色レシピ】

作りたい色おもに使う色だいたいの比率(目安)
青 + 黄青1:黄1
青みの緑青 + 黄青2:黄1
そのまま
青紫青 + 赤青2:赤1
青 + 赤青1:赤1
赤紫赤 + 青赤2:青1

(出典:一般社団法人日本色彩学会)
※本内容は執筆時点。最新情報は公式サイト確認。

紫は、使う赤がオレンジ寄りだと少しくすみやすくなります。

可能であれば、ピンク寄りの赤を選ぶと、明るいぶどう色のような紫になりやすいです。

覚えておきたい:
紫がうまく出ないときは「赤ではなくピンク寄りの色を足す」という一言を添えるだけで、失敗がぐっと減ります。

黄色をベースにした中間色の作り方

黄色は、ほんの少し他の色を混ぜるだけで印象が大きく変わる色です。

混色表では、黄色を中心に「ほんの少しだけ足すとどう変わるか」を書き込む欄を作っておくと便利です。

【黄色ベースの微調整レシピ】

作りたい黄系の色混ぜる色目安の量のイメージ
クリーム色黄 + 白白を黄と同じくらい
レモン色黄 + 少量の白白は黄の半分くらい
オリーブ寄りの黄黄 + ごく少量の青青は黄の先端についたくらい
落ち着いた黄緑黄 + 青 + ほんの少しの赤赤は青よりさらに少なく

(出典:ターナー色彩公式サイト)
※本内容は執筆時点。最新情報は公式サイト確認。

一言まとめ:
黄色ベースの調整は「別の色を増やす」のではなく「ほんの少し足す」が鉄則で、パレットの上にテスト用の小さな丸をいくつか作って試すと安心です。

混色で失敗しやすいポイントと直し方のコツ

ここからは、混色表を作るときに起こりがちな失敗を先に整理しておきます。

授業や家庭で「なんでこんな色になったの?」という声が出たときに、そのまま解説の材料にできる部分です。

濁ってしまうときの原因とリセット方法

混色でいちばん多い悩みが、「にごって、きたない色になった」というケースです。

原因は大きく分けて次の3つくらいになります。

【色が濁るときのチェック表】

状態主な原因リセットのしかた
灰色っぽくくすんでいる反対側の色を入れすぎた新しい場所で、片方の色だけで作り直す
黒っぽく重たい黒や暗い色を入れすぎた水で薄めて使うか、白を少しだけ足す
どろんとした印象でツヤがない水が少なすぎる、絵の具が厚すぎる水を足してのばし、新しい紙でやり直す

(出典:ぺんてる公式サイト)
※本内容は執筆時点。最新情報は公式サイト確認。

色が濁ったときは、あれこれ足し続けるより「いったん新しい場所でやり直す」ほうが早くきれいな色に戻れます。

失敗しないコツ:
「気に入った色ができたら、その場で混色表にメモしておこうね」と声をかけておくと、同じ失敗と同じ成功をくり返しやすくなります。

水っぽい・ムラになるときのチェックポイント

水が多すぎると紙がふやけて、色がムラになってしまいます。

逆に水が少なすぎると、筆あとが目立ってしまい、混色表が見にくくなることもあります。

混色表を作るときは、「牛乳くらいのとろみ」が一つのイメージだと伝えるとわかりやすいです。

また、筆に違う色が残ったまま次の色を作ると、意図しない混色になってにごりやすくなります。

注意点:
筆洗いは面倒に感じやすいので、「新しい色を作る前は筆をきれいに洗う」というルールを混色表の端に書いておくと、子ども自身が意識しやすくなります。

授業やおうちでできる混色練習アイデア

混色表は、「配られて終わり」にしてしまうともったいないです。

少し遊びの要素を入れてあげると、色の名前と感覚が一気に定着しやすくなります。

10分でできる色相環づくり

色相環づくりは、混色表の入門にぴったりの活動です。

授業のすき間時間や家庭でのちょっとした工作タイムにも向いています。

【色相環づくりの流れ(10分バージョン)】

手順やることの内容
1紙に大きな丸を描き、12の位置に印をつける
23原色の場所を決めて、まずは原色だけ塗る
3となり合う色同士を混ぜて、中間色を埋める
4気に入った色には星マークをつける

(出典:日本美術教育連合)
※本内容は執筆時点。最新情報は公式サイト確認。

ここがポイント:
星マークをつけた「お気に入りの色」だけを集めたオリジナル混色表を、別紙に作る活動につなげると、子どものモチベーションが上がります。

ゲーム感覚で楽しむ混色クイズ

混色表をある程度埋めたあとなら、「何色と何色を混ぜると、どの色になるか」を当てるクイズもおすすめです。

【混色クイズの例】

出題のしかたの例正解のイメージ
「黄+青でできる色は?」
「青+赤でできる冷たい色は?」青紫
「赤+少しの黒でできる色は?」こっくりした暗い赤
「黄+少しの紫でできる色は?」少しくすんだ黄〜オリーブ系

(出典:一般社団法人日本色彩学会)
※本内容は執筆時点。最新情報は公式サイト確認。

クイズの答えを混色表の中から探させると、「表を読む力」も自然と身についていきます。

迷ったらここ:
子どもからの出題も歓迎して、正解かどうかを一緒に混ぜて確かめる流れにすると、遊びながら混色表を育てていく活動になります。

基本12色から茶色・灰色・肌色へ広げる色づくり

最後に、基本12色を使って「茶色・灰色・肌色」などの応用色へ発展させる考え方を整理します。

ここは親記事の「茶色の作り方」ともつながる部分なので、セットで見てもらうと理解が深まりやすいです。

12色を混ぜて作る茶色・灰色のパターン

茶色や灰色は、「反対側の色を少し混ぜる」と作りやすくなります。

基本12色のどこからでも応用できるように、代表的なパターンを整理しておきます。

【茶色・灰色の代表的な混色パターン】

作りたい色混ぜる組み合わせの例ポイント
茶色オレンジ + 少量の青青を入れすぎると灰色寄りになる
茶色赤 + 緑赤を多めにするとあたたかい茶色に
灰色補色同士(例:黄 + 紫)似た分量で混ぜると落ち着いた灰色
灰色黒 + 白 + ごく少量の青または赤少しどちらかに寄せて表情をつける

(出典:一般社団法人日本色彩学会)
※本内容は執筆時点。最新情報は公式サイト確認。

判断の基準:
茶色は「オレンジ寄りの灰色」、灰色は「どちらにも寄っていない中立の色」とイメージしておくと、どちらに近づけたいかを子どもが自分で調整しやすくなります。

肌色は「黄+赤+少しの青」で作る

市販の「はだいろ」がなくても、基本12色から肌色は十分作れます。

おすすめのスタートは、「黄+赤」で薄いオレンジを作り、そこに「ごく少しの青」と白を加えていく方法です。

  • 黄を多めにすると、明るく元気な印象の肌色になります。
  • 赤を多めにすると、日焼けしたような色合いになります。
  • 青を少し足すと、すこし落ち着いたトーンになります。

混色表には、「自分の気に入った肌色レシピ」を子どもに自由に書き込んでもらうスペースを作っておくとよいです。

アドバイス:
肌色づくりは「正解がひとつではない」ことを伝えておくと、友だちどうしで色を見せ合いながら、お互いの違いを楽しむきっかけにもなります。

まとめ

基本12色の混色表は、「色の勉強」というよりも、子どもが自分で色をコントロールできるようになるための地図のような存在です。

3原色と白を軸に、となり合う色同士を少しずつ混ぜていくだけで、12色の世界はじゅうぶん作ることができます。

混色表を配りきりにせず、「気に入った色」や「うまくいったレシピ」をその場で書き足していくと、自分だけの色ノートになっていきます。

茶色や灰色、肌色といった少しむずかしい色も、基本12色からの「応用編」として見せていけば、子どもにとってハードルがぐっと下がります。

まずは授業やおうち時間の中で、小さな色相環づくりや混色クイズから試してみて、そこに混色表を少しずつ育てていく感覚で使ってみてください。

よくある質問(FAQ)

Q. 絵の具セットにマゼンタやシアンがない場合はどうすればいいですか?
A. ピンク寄りの赤と、緑寄りの青を3原色の代わりとして決めておくのがおすすめです。完全に同じ発色にはなりませんが、混色の考え方は同じなので、混色表も問題なく作れます。

Q. 混色表は何年生から使うといいですか?
A. 色の混ざり方を意識し始める小学校2〜3年生ごろからが使いやすい目安です。低学年では色相環づくりだけ、高学年では茶色や灰色づくりまで広げるなど、学年に合わせて深さを変えるとスムーズです。

Q. 絵の具セットの色数が多くても混色表は必要ですか?
A. 色数が多いセットでも、混色表があると「自分で作れる色」が増えるので意味があります。既存のチューブ色だけで足りない中間色や、微妙なトーンの調整に使いやすくなります。

Q. 子どもがいつも同じ色ばかり使ってしまいます。どう促せばいいですか?
A. 混色クイズや「お気に入りの色探しゲーム」として混色表を使うと、自然に新しい色にチャレンジしやすくなります。いきなり完成度を求めず、「今日は緑のバリエーションだけ作ってみよう」などテーマを絞るのも効果的です。

Q. 画用紙とスケッチブックで発色が違うのはなぜですか?
A. 紙の白さや厚み、表面のザラザラ具合によって同じ混色でも見え方が変わるためです。混色表はできれば、実際に作品を描く紙と同じ種類の紙で作ると、色の差に戸惑いにくくなります。

Q. 茶色や肌色などの応用色も、最初から混色表に入れておいたほうがいいですか?
A. 基本12色の混色に慣れてから、発展編として別の欄に足していく形がおすすめです。一度に情報量を増やしすぎないほうが、子どもにとっては理解しやすくなります。

参考文献・出典

  1. 一般社団法人日本色彩学会「色彩の基礎知識」
  2. サクラクレパス公式サイト「絵の具の使い方」
  3. ぺんてる公式サイト「水彩絵の具の楽しみ方」
  4. ターナー色彩株式会社「アクリル絵の具の基礎知識」
  5. 日本美術教育連合「図画工作・美術教育に関する資料」
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