こげ茶を作るたびに色が変わってしまったり、木や髪を塗ったら「なんだかのっぺりしてしまった」と感じたことはありませんか。
こげ茶は、少し暗くしようとして黒を足しすぎると一気に濁ってしまうので、安定させるのがむずかしい色なんです。
でも、混色のバランスと「モチーフに合う色味のゾーン」さえ押さえておけば、毎回ほぼ同じこげ茶を作れます。
さらに、木・髪・革ごとに赤みや黄みを少し変えるだけで、立体感と質感の伝わり方がぐっと変わってきます。
【この結論まとめ】
- こげ茶は「黄+赤+黒」の順で少しずつ足すと安定しやすい
- 木は黄み寄り、髪はニュートラル、革は赤み寄りのこげ茶が使いやすい
- こげ茶をきれいに見せるには、ベース・影・ハイライトの三段構成が基本
- デジタルでは暗めオレンジ寄りのブラウンを起点に、カラーコードを少しずつ動かすとブレにくい
- 濁ったときは「明るさとコントラスト」を優先して立て直すと戻しやすい
ここからは、こげ茶の混色レシピから木・髪・革の塗り方、配色や失敗の直し方まで、順番に見ていきましょう。
こげ茶色の作り方をサッと押さえる|混色の黄金バランス

まずは、どの画材でも使える「こげ茶の考え方」と、絵の具・色鉛筆・デジタルそれぞれのコツを押さえておくと安心です。
こげ茶色の基本混色レシピ|黄+赤+黒で作る安定カラー
こげ茶は「黄+赤」の温かいオレンジ系を作ってから、黒で暗くしていくと安定しやすいです。
最初から黒を大量に入れると、一気に濁って調整がきかなくなるので、黒は最後に少しずつ足すのがポイントです。
【こげ茶の基本混色レシピ早見表】
| レシピ名 | 混色の目安 | 雰囲気の目安 |
|---|---|---|
| 標準こげ茶 | 黄5:赤3:黒1 | 汎用性の高いニュートラルなこげ茶 |
| 赤みこげ茶 | 黄4:赤4:黒1 | 髪や革に向くあたたかいブラウン |
| 黄みこげ茶 | 黄6:赤2:黒1 | 木や家具に向くナチュラルなブラウン |
(出典:WEB色見本 原色大辞典)
※本内容は執筆時点。最新情報は公式サイト確認。
この表はあくまで「スタートの比率」です。
実際には絵の具のメーカーや顔料の強さで変わるので、少しずつ足しながら自分のベストバランスを探していくイメージで使ってください。
要点まとめ:
こげ茶は「黄+赤で土台を作ってから黒を少しずつ」足す流れにすると、毎回の色ブレをかなり減らせます。
絵の具・色鉛筆・デジタル別のこげ茶づくりのコツ
絵の具の場合は、水分量と重ね塗りの回数でかなり印象が変わります。
水彩なら少し薄めに塗り重ねながら濃さを調整し、アクリルや油絵具なら、最初から狙いより少し明るめのこげ茶を作っておくと、乾いても暗くなりすぎにくいです。
色鉛筆は、いきなりこげ茶を強く塗るより、黄〜オレンジ系をうっすら敷いてからこげ茶の色鉛筆を重ねると、発色がきれいでムラも目立ちにくくなります。
デジタルでは、最初から暗い茶色をスポイトで拾うのではなく、オレンジ寄りのブラウンをベースカラーにし、明度と彩度を少し下げてこげ茶ゾーンに近づけていくと安定します。
実践ポイント:
アナログは「明るめから重ねて暗く」、デジタルは「オレンジ寄りから数値で暗く」という方向で考えると、画材ごとの差を整理しやすくなります。
モチーフに合わせたこげ茶の色味調整|赤み・黄み・グレー寄り
こげ茶の「赤み・黄み・グレー寄り」を少し変えるだけで、同じブラウンでも印象が大きく変わります。
木を素朴に見せたいときは、黄みが少し強いこげ茶が合いやすく、髪はニュートラル寄り、革は赤みを足したこげ茶にすると、モチーフのイメージを出しやすいです。
画面全体が茶色っぽくなるときは、グレイッシュ寄りのこげ茶を一部に使って、コントラストを整理すると落ち着きが出てきます。

判断の基準:
「木=黄み寄り」「髪=ニュートラル」「革=赤み寄り」を出発点にして、描きたいシーンごとに少しずつ振り分けていくと迷いにくくなります。
木材のこげ茶をリアルに見せる塗り方|年輪と木目の描き分け

木をこげ茶で塗るときは、色そのものよりも「木目の方向」と「ベースと影の差」が大事になります。
ベース色の選び方と塗り重ねの順番を決めておくと、どの木でも安定して描きやすくなります。
木のベース色を決める|赤みブラウンか黄みブラウンか
床や家具、アンティーク木材など、木のシーンによってベースのブラウンを変えると雰囲気が出しやすいです。
ナチュラルで明るい印象にしたいときは黄み寄り、落ち着いた重厚感を出したいときは赤み寄りのこげ茶が向きます。
【木のこげ茶 色味バリエーション一覧】
| シーン | ベースの傾向 | イメージ |
|---|---|---|
| フローリング | 黄みこげ茶 | 明るくナチュラルな室内 |
| アンティーク家具 | 赤みこげ茶 | 重厚感と温かさのある雰囲気 |
| 古びた柱・梁 | グレイッシュこげ茶 | 使い込まれた渋い印象 |
(出典:日本色彩学会)
※本内容は執筆時点。最新情報は公式サイト確認。
同じこげ茶でも、背景に白やベージュを多く置くと柔らかく見え、グレーや黒が増えると落ち着いた印象が強まります。
ここがポイント:
木を塗る前に「明るいリビングなのか」「アンティーク調なのか」を先に決めて、ベースの黄み・赤みを選ぶと、色選びがスムーズになります。
木目の流れを意識したこげ茶の塗り重ね
木目を描くときは、細い線をたくさん描こうとするより「木目が流れている方向」を意識する方がうまくいきます。
ベースのブラウンを木目の方向に沿って大きく塗り、その上にこげ茶で「太めの筋」から先に描いていくと、木らしさが出やすくなります。
一番暗い筋だけをこげ茶で描き、その間を中間ブラウンで埋めていくイメージにすると、情報量を増やしすぎずに木目の雰囲気を出せます。
一言まとめ:
細い線を増やすより「木目の大きな流れ」を優先し、こげ茶の筋を少なめに絞ると、木目がうるさくなりすぎずにまとまりやすくなります。
年輪・節・傷をこげ茶で描き込むときの濃淡
木の節や年輪、傷を描き込むときは、こげ茶を少しだけ濃くして「ポイントだけ暗くする」意識が大切です。
節の外側はベースより少し暗いブラウン、中心の線だけをこげ茶で強く描くと、さりげなく目立たせることができます。
使い込まれた木の傷は、傷の「影側」をこげ茶で暗くし、逆側を明るいブラウンで細く縁取ると、表面の凹凸が伝わりやすくなります。
失敗しないコツ:
節や傷を全部こげ茶一色で塗りつぶさず、「一番暗い部分だけこげ茶」「周りは少し明るいブラウン」に分けると、情報量を増やしながらも画面が重くなりにくくなります。
髪のこげ茶を立体的に描くコツ|束感とツヤの出し方

こげ茶の髪が「ぺったり見える」「真っ黒にしか見えない」と感じる場合は、ベースの明るさとハイライトの位置を見直すと改善しやすいです。
髪は「束感」と「面」を意識して、こげ茶を影として使うと立体感が出やすくなります。
髪の束を意識したベースの塗り方
まず、髪全体を少し明るめのブラウンで塗りつぶし、髪の流れに沿って「束の方向」を意識したストロークを入れます。
この段階では、こげ茶はまだ使わず、ブラウンだけで髪の流れをざっくりつかんでおくイメージです。
分け目や毛先の方向が決まったら、そこに合わせてこげ茶の影を「束の根元側」にだけ入れていくと、自然なボリューム感が出てきます。
初心者がつまずく点:
いきなりこげ茶で全体を塗ってしまうと立体感が出にくくなるので、必ず「明るめブラウンのベース→こげ茶の影」という順番を守ると安定しやすいです。
こげ茶の影・中間色・ハイライトの三分割
髪のこげ茶をきれいに見せるには、「影・中間・ハイライト」の三つにざっくり分けて考えると整理しやすくなります。
影はベースより暗いこげ茶、中間はベースと影の中間くらいのブラウン、ハイライトは少し黄みのある明るいブラウンなど、役割ごとに色を変えておきます。
影を塗る範囲は、顔に近い部分や髪の内側などに絞り、ハイライトは「光が当たって一番丸く見える位置」に細く入れると、立体感がぐっと強くなります。
【こげ茶ヘアの描き方タイプ別の目安】
| 髪型 | 影の範囲 | 明るさのバランス |
|---|---|---|
| ロングヘア | 内側と毛先中心 | ベース明るめ・影しっかり |
| ショートヘア | 後頭部と耳まわり中心 | ベースやや暗め・ハイライト広め |
| 巻き髪 | カールの谷側中心 | 影は控えめ・ハイライト多め |
(出典:WEB色見本 原色大辞典)
※本内容は執筆時点。最新情報は公式サイト確認。
見逃せないのが:
影の範囲を広げすぎると髪全体が暗く見えるので、「影は内側メイン」「ハイライトは外側メイン」と役割分担をはっきりさせると、こげ茶でも重くなりにくくなります。
巻き髪・ショート・ロングでブラウンを描き分ける
ロングヘアは髪の量が多いため、ベースをやや明るめにして、こげ茶の影は内側に集中させると、重さと軽さのバランスがとりやすいです。
ショートヘアは頭の形が出やすいので、後頭部や耳まわりにこげ茶を集め、つむじ近くに丸いハイライトを入れると立体感が強調されます.
巻き髪はカールの谷側にだけこげ茶を入れ、山側に明るいブラウンとハイライトを重ねると、動きとツヤが両立しやすくなります。
大事なところ:
髪型ごとに「こげ茶をどこに集めるか」を決めておくと、毎回同じパターンで塗れるので、迷いが減りやすくなります。
革小物のこげ茶で質感を出す|バッグ・靴・ベルトの描写

革をこげ茶で塗るときは、「ツヤの強さ」と「エッジのコントラスト」が質感を左右します。
同じこげ茶でも、ツヤ革かマット革かでハイライトの形や色を変えると、リアルさがぐっと増えます。
革の種類別に合うこげ茶のトーン
ツヤの強い革は、少し深めで赤みのあるこげ茶にすると高級感が出やすいです。
マットな革は、彩度を落としたニュートラルこげ茶で、ハイライトも控えめにすると落ち着いた印象になります。
【革のこげ茶 質感別の塗り分け】
| 革の種類 | ベースこげ茶 | ハイライトの特徴 |
|---|---|---|
| ツヤ革 | 赤みこげ茶・暗め | 白寄りで輪郭くっきり |
| マット革 | ニュートラルこげ茶 | ベースより少し明るい程度 |
| ヌメ革 | 黄みこげ茶・明るめ | 広めに柔らかく入れる |
(出典:日本色彩学会)
※本内容は執筆時点。最新情報は公式サイト確認。
要点:
同じこげ茶でも「ツヤが強い革=コントラスト強め」「マットな革=コントラスト控えめ」と覚えておくと、質感を描き分けやすくなります。
エッジ・ステッチ・シワをこげ茶で立体的に見せる
革のエッジ部分は、光が当たる側と影側で明るさがはっきり分かれます。
光の反対側のエッジにこげ茶で細く線を入れ、光側のエッジにベースより明るいブラウンを沿わせると、厚みがあるように見えます。
ステッチまわりは、縫い目の片側だけをこげ茶で少し暗くすると、縫い目が沈み込んだような立体感が出てきます。
見逃せないのが:
エッジやステッチを全部濃いこげ茶で囲ってしまうと重くなるので、「光と影で片側だけこげ茶を強くする」イメージで描くと、すっきりした立体感になります。
使い込んだ革の色あせ・ムラの足し方
使い込まれた革は、一色で塗るよりも「ムラ」を意図的に作ることで雰囲気が出ます。
こげ茶のベースを塗ったあと、赤みのあるブラウンや黄み寄りのブラウンを薄く重ねて、部分的に色が抜けたようなムラを作ると自然です。
角やよく触れる部分は少し明るく、あまり触れない部分は暗めのこげ茶のまま残すと、使用感の差が出てリアルになります。
ちょっと深掘り:
「よく触れる場所=明るく」「触れない奥まった場所=暗く」と考えると、ムラの入れ方に迷わずに済み、こげ茶の革にストーリーが生まれます。
こげ茶色の幅とカラーコード|ブラウンレシピ早見表

デジタルで描く場合や、配色全体を設計したいときは、「こげ茶に見える明度と彩度の範囲」とカラーコードの目安を持っておくと便利です。
ここでは、こげ茶と感じやすいゾーンと、使いやすいカラーコードの例を整理します。
こげ茶に見える明度・彩度の目安
こげ茶として自然に見えるのは、「オレンジ〜赤寄りの色相で、明度は低め、彩度は中くらいまで」というゾーンが中心です。
明度が高すぎると普通のブラウンやベージュに見え、彩度が低すぎるとグレーに近づいてしまいます。
逆に彩度が高すぎると、赤茶色やオレンジ色の印象が強くなり、「こげ茶」から離れていきます。
補足:
デジタルの色選びでは、色相を大きく動かすより「明度と彩度を少しだけ下げる」操作でこげ茶ゾーンに寄せていくと、バランスが崩れにくくなります。
Webカラーで使いやすいこげ茶のカラーコード
ここでは、イラストで使いやすいこげ茶の代表的な例として、ざっくりしたカラーコードのイメージを整理しておきます。
赤み寄りのこげ茶は、温かくやわらかい印象になり、黄み寄りのこげ茶は木や革などのナチュラルなモチーフに合わせやすいです。
ニュートラルなこげ茶は、髪や衣服など、どの用途にも使いやすい万能カラーとして持っておくと便利です。
【こげ茶のカラーコードと用途早見表】
| タイプ | ざっくりしたRGBイメージ | 向いている用途 |
|---|---|---|
| 赤みこげ茶 | R120 G80 B60 前後 | 髪・革小物・あたたかい背景 |
| 黄みこげ茶 | R120 G95 B60 前後 | 木・家具・紙や箱の質感 |
| ニュートラルこげ茶 | R100 G80 B60 前後 | 汎用的な影・衣服全般 |
(出典:WEB色見本 原色大辞典)
※本内容は執筆時点。最新情報は公式サイト確認。
1分で要点:
どのツールでも、「赤み用」「黄み用」「ニュートラル用」の三つのこげ茶をあらかじめ登録しておくと、モチーフごとの色選びがとてもスムーズになります。
目的別ブラウンレシピ|木・髪・革で基準色を変える
木・髪・革を同じイラストに描く場合は、すべてを同じこげ茶にしてしまうと、画面が単調になりやすいです。
木には黄み寄り、髪にはニュートラル、革には赤み寄りのこげ茶を基準色として決めておき、それぞれの影やハイライトを少しずつ変えると、自然な差が出てきます。
たとえば、木の影は少しグレイッシュ寄り、髪の影は純粋なこげ茶、革の影はわずかに赤みを足したこげ茶にするなど、影の段階でも差をつけると効果的です。
覚えておきたい:
「木・髪・革で基準こげ茶を分ける→影とハイライトも少しずつ変える」という二段階の描き分けを意識すると、ブラウンだらけの画面でも自然にメリハリが生まれます。
こげ茶と相性の良い配色|背景と差し色の選び方

こげ茶は落ち着いた色なので、背景や差し色しだいで印象が大きく変わります。
ナチュラル、高級感、ポップさなど、欲しい雰囲気に合わせて配色を選ぶと、こげ茶が主役としてぐっと活きてきます。
こげ茶×ベージュ・アイボリーでナチュラルに見せる
こげ茶と相性抜群なのが、ベージュやアイボリーといった明るいニュートラルカラーです。
木の家具や紙、布物などを描くときは、こげ茶の周りをベージュ系で囲んであげると、柔らかくナチュラルな印象になります。
背景を真っ白にするより、少し黄みのあるアイボリーにしておくと、こげ茶の強さが和らぎ、全体がやさしくまとまりやすいです。
結論:
「こげ茶をやわらかく見せたい」ときは、真っ白よりもベージュやアイボリーを背景に使う方が、ナチュラルで目に優しい配色になります。
こげ茶×青・緑で落ち着いた雰囲気を出す
こげ茶は、青や緑と組み合わせると一気に落ち着いた印象が強くなります。
深い青や深緑と合わせると、大人っぽい雰囲気や静かな空気感を出したいときにぴったりです。
青や緑の彩度を少し落とし、こげ茶との明度差をつけてあげると、画面に重さは出しつつも見やすい配色になります。
注意点:
青や緑の彩度が高すぎると、こげ茶よりもそちらが主役になってしまうので、落ち着いたブラウンと組み合わせるときは、青・緑側の鮮やかさを少し抑えるとバランスがとりやすくなります。
こげ茶×差し色の赤・オレンジで温かさを足す
こげ茶をメインにしつつ、少し華やかさや温かさを足したいときは、赤やオレンジを差し色に使うと効果的です。
革のタグやマグカップの縁、スカーフなど、小さな面積だけ赤やオレンジを入れてあげると、全体の印象がぱっと明るくなります。
差し色の明度は少し高めにしておくと、こげ茶とのコントラストで視線が自然にそちらへ向かいやすくなります。
【こげ茶と相性の良い配色例】
| イメージ | メイン | 背景・サブ | 差し色 |
|---|---|---|---|
| ナチュラル | こげ茶 | ベージュ・アイボリー | くすみグリーン |
| 高級感 | 深いこげ茶 | ダークネイビー | 赤みブラウン |
| カジュアル | こげ茶 | 明るめベージュ | オレンジ・レンガ色 |
(出典:WEB色見本 原色大辞典)
※本内容は執筆時点。最新情報は公式サイト確認。
意外な落とし穴:
差し色を増やしすぎると「こげ茶が主役」のはずなのに視線が散ってしまうので、「差し色は1色だけ」「面積は少なめ」を意識すると、配色がすっきりまとまりやすくなります。
こげ茶でよくある失敗とリカバー|濁りと黒つぶれ対策

こげ茶は使い勝手が良いぶん、「黒を足しすぎた」「気づいたら泥色になっていた」という失敗も起こりやすい色です。
ここでは、よくある失敗パターンと、そこから戻すときの考え方を整理します。
黒を入れすぎて沈んだこげ茶になったときの戻し方
黒を入れすぎてしまったこげ茶は、明度が下がりすぎて「どこが影か分からない状態」になっていることが多いです。
少しだけ白か明るいブラウンを足して明度を戻し、その上から赤や黄を少量重ねると、泥っぽさが和らぎます。
デジタルの場合は、レイヤーの不透明度を下げるか、レベル補正やトーンカーブで「暗いところだけ少し持ち上げる」と、こげ茶ゾーンに戻しやすくなります。
アドバイス:
黒を足しすぎたと感じたら、いったん「明るさを戻す→色味を足す」の順で立て直すと、闇雲に色を重ねるよりも早く落ち着いたこげ茶に戻りやすくなります。
赤み・黄みが強すぎるこげ茶の調整方法
赤みが強すぎるこげ茶は、画面全体が温かくなりすぎてメリハリがなくなりがちです。
少量の青やグレーを足すと、赤みが落ち着いてニュートラルに近づきます。
黄みが強すぎるこげ茶は、少し赤を足してオレンジ寄りに寄せるか、グレー寄りのブラウンを上から重ねると、落ち着いた印象に調整しやすいです。
ここがポイント:
赤み・黄みが強くなりすぎたときは、「補色寄りの色で落ち着かせる」「グレー寄りの色で中和する」という二つの方向を意識しておくと、感覚で迷いにくくなります。
質感が伝わらないこげ茶を立て直すチェックリスト
こげ茶で塗ったのに質感が伝わらないときは、色そのものより「光と影の設計」が原因になっていることが多いです。
まず、光の向きをもう一度はっきり決めて、光源側にハイライト、反対側に影がちゃんと分かれているかを確認します。
次に、こげ茶の影部分とベースの明るさの差が十分あるか、ハイライトが「一番明るい色」としてちゃんと際立っているかを見直してみてください。
判断の基準:
色を変える前に「光源の向き」「影の濃さ」「ハイライトの位置」という三つのチェックをしてから直すと、こげ茶の質感トラブルの多くは解決しやすくなります。
まとめ
ここまで、こげ茶の作り方から木・髪・革の塗り方、配色や失敗の立て直しまで一気に見てきました。
こげ茶は「黄+赤+黒」で作る温かい暗い色ですが、ほんの少しの配合と塗り方の違いで、印象が大きく変わる色でもあります。
こげ茶を上手に使えるようになると、木や髪、革だけでなく、影や背景、インテリアなど、イラスト全体の説得力がぐっと増えていきます。
ここで、押さえておきたいポイントをもう一度整理します。
- こげ茶は黄と赤でベースを作り、最後に黒を少しずつ足す
- 木は黄み寄り、髪はニュートラル、革は赤み寄りのこげ茶が使いやすい
- 髪や革は「ベース・影・ハイライト」の三段構成を意識する
- デジタルでは赤み・黄み・ニュートラルの三種類のこげ茶を登録しておくと便利
- 濁ったときは、まず明るさとコントラストを整えてから色味を調整する
このあたりを意識しながら、まずは自分の好きな木・髪・革のモチーフから、こげ茶のレシピをひとつずつ試してみてください。
よくある質問(FAQ)
Q. こげ茶色の絵の具を持っていなくても、混色だけで再現できますか?
A. 黄・赤・黒の三色があれば、混色だけで十分こげ茶を作れます。
市販のこげ茶を持っている場合も、微妙な色味を調整したいときは混色レシピを一つ覚えておくと安心です。
Q. 木と髪と革を同じこげ茶で塗るのはおかしいですか?
A. 全て同じ色でも成立しますが、少しずつ赤みや黄みを変えると質感の違いが出やすくなります。
木は黄み寄り、髪はニュートラル、革は赤み寄りなど、小さな差をつけるだけでも画面の説得力が違ってきます。
Q. デジタルでこげ茶のカラーコードが毎回ブレてしまいます。どう管理すればいいですか?
A. 赤み・黄み・ニュートラルの三種類のこげ茶をパレット登録して、そこから調整するのがおすすめです。
「木用」「髪用」「革用」など用途ごとに名前をつけておくと、あとから見ても迷いにくくなります。
Q. 髪をこげ茶で塗ると、どうしても黒髪に見えてしまいます。
A. ベースを明るめブラウンにして、こげ茶は影にだけ使うとブラウンヘアらしく見えやすくなります。
ハイライトも少し広めに入れて、こげ茶の範囲を絞ることで、黒髪との違いが出てきます。
Q. こげ茶で塗った革が、ツヤなのかマットなのか分かりにくくなります。
A. ツヤ革はハイライトをくっきり細く、マット革は広く柔らかく入れると、質感の違いが伝わりやすくなります。
同じこげ茶でも、ハイライトの形とコントラストを変えるだけで印象がはっきり分かれます。
Q. 失敗したこげ茶の上から、塗り直しても大丈夫ですか?
A. アナログでは重ねすぎると紙が傷みやすいので、広い面を直すときは一度明るい色でならしてから薄く塗り重ねるのがおすすめです。
デジタルの場合は、別レイヤーで調整しながら不透明度を変えると、やり直しがしやすくなります。
参考文献・出典
- WEB色見本 原色大辞典「HTMLカラーコード」
- 原色大辞典「ブラウンの配色パターン 色の組み合わせ」
- Branding Lab「高級感のある色の組み合わせ 茶色・ブラウン カラーコード」
- 一般社団法人日本色彩学会「日本色彩学会公式サイト」
- 日本色研事業株式会社「新訂版 色彩ワークショップ」




