ブラウンをたくさん使ったイラストを描こうとすると、「なんだかくすんで見える」「地味で締まりがない」と感じることが多いですよね。
茶色やブラウンは安心感のある色なのに、使い方を間違えると一気に重くなってしまうのが少しやっかいなところです。
実は、ブラウン配色で迷わないコツは「役割ごとにパレットを分けておくこと」なんです。
主役のブラウン、肌や影に使うブラウン、背景や小物のブラウンといった感じであらかじめセットを用意しておくと、毎回色選びで悩まなくてすみます。
この記事では、デジタルイラスト向けにそのまま使える茶色系カラーパレットと、ブラウンをおしゃれに見せる配色の考え方をまとめていきます。
【この結論まとめ】
- ブラウンは「主役・肌・背景・小物」の4つの役割ごとにパレットを作ると迷いにくいです。
- 基準となる赤みブラウン・黄みブラウン・グレイッシュブラウンを数色だけ決めておくと配色が安定します。
- 肌や髪のブラウンは明度差と彩度差を意識すると、くすみや重さをかなり防げます。
- シーン別に「ベース・サブ・アクセント」を決めて、ブラウン+1色でまとめると世界観が作りやすくなります。
- 全体が暗い・地味に感じるときは、影を少し明るくするか、アクセントカラーを1色だけ足すのがおすすめです。
デジタルイラストのブラウン配色は「役割ごとパレット」で決めると迷わない

ブラウン配色を安定させたいときは、「どこにどのブラウンを使うか」を最初に決めておくのが一番スムーズです。
一言でいうと、主役・肌・背景・小物の4つに役割を分けて、それぞれに合うブラウンをあらかじめ用意しておくイメージになります。
ブラウンを主役・肌・背景・小物の4つに分けて考える
ブラウンをなんとなく感覚で選んでいくと、同じような色ばかり増えて、画面全体がベタっとした印象になりやすいです。
そこで、まずは次の4つの役割に分けて考えてみてください。
- 主役ブラウン(キャラの髪・服など、いちばん目立たせたい茶色)
- 肌や影用ブラウン(肌の影・チーク・まつげなどに使う茶色)
- 背景ブラウン(家具・床・壁など、大きな面積に使う茶色)
- 小物ブラウン(バッグ・靴・ベルト・木箱などのアクセント的な茶色)
役割が分かれていると、「主役は少し彩度を上げる」「背景は少しグレー寄りにする」など、判断の軸がはっきりしてきます。
ここがポイント:
どの茶色を選ぶかよりも「何のための茶色か」を先に決めると、配色全体が一気に整いやすくなります。
RGBと色相・明度・彩度で茶色の幅をイメージする
デジタルのブラウンは、実際には「赤〜黄の色相を暗くした色」が中心になります。
たとえば、色相を赤寄りにするとチョコレートのような温かいブラウンになり、黄寄りにするとウッドや革に近いカジュアルなブラウンになります。
明度を上げるとミルクティーのようなやさしい色になり、明度を下げるとコーヒーのような深いブラウンになります。
彩度を落としていくと、グレイッシュで大人っぽいブラウンになり、配色全体のトーンをそろえたいときに便利です。
一言まとめ:
「赤みか黄みか」「明るいか暗いか」「鮮やかか落ち着いているか」の3つをセットでイメージすると、ブラウンのバリエーションをコントロールしやすくなります。
70:25:5の配色バランスでブラウンを重くしすぎない
ブラウンは面積が増えるほど、重さや暗さが目立ちやすい色です。
そこで、配色の比率をざっくり 70:25:5 に分けて考えると、全体が重くなりすぎるのを防ぎやすくなります。
- 70:ベースカラー(背景のブラウンや、広い面積の色)
- 25:サブカラー(服や髪など、主役になるブラウン)
- 5:アクセントカラー(小物や差し色。ブラウン以外の色でもOK)
ベースのブラウンは少し明度を上げたり、グレー寄りにすることで、画面の「土台」として落ち着かせておきます。
サブのブラウンはそれよりわずかに彩度が高い色を選ぶと、キャラクターが自然に浮きやすくなります。
要点まとめ:
ブラウンを主役にしたいときも「画面の70%を占めるのは落ち着いた色」にしておくと、重さを抑えつつ世界観を作りやすくなります。
【ブラウン配色の役割とおすすめトーン早見表】
| 役割 | おすすめトーン | イメージ |
|---|---|---|
| 主役ブラウン | やや高めの彩度の赤みブラウン | 温かく目を引く、キャラの印象を決める色 |
| 肌・影用ブラウン | 中明度〜やや暗めのソフトブラウン | 肌になじむ柔らかい影、血色感 |
| 背景ブラウン | 明度やや高めのグレイッシュブラウン | 空間を邪魔しない落ち着いたベース |
| 小物ブラウン | 暗め・高彩度寄りのブラウン | バッグや靴など、締めとアクセントの役割 |
(出典:Adobe)
※本内容は執筆時点。最新情報は公式サイト確認。
この「役割別パレット」の考え方は、親記事で扱うブラウンの混色レシピとつなげて使うとさらに便利です。

そのまま使えるブラウンの基準色パレット|主役カラーとニュートラルカラー

ここでは、デジタルイラストでよく使う「基準ブラウン」をセットで用意しておきます。
この数色をベースに明るくしたり暗くしたりしていくと、毎回ゼロから探さなくても安定した配色が作りやすくなります。
暖かくやわらかい印象に見せる赤みブラウンのパレット
赤みのあるブラウンは、チョコレートやココアのような柔らかさが出て、キャラクターを優しく見せたいときにぴったりです。
たとえば、次のような色を基準にしておくと扱いやすくなります。
- 主役用:HEX #8B4A3A(R139 G74 B58 / C30 M70 Y65 K20 目安)
- 影用:HEX #5E3328(R94 G51 B40 / C40 M70 Y70 K45 目安)
- 線画用:HEX #3C2723(R60 G39 B35 / C45 M70 Y65 K65 目安)
主役用のブラウンは少し明るめにしておき、影や線画になるほど暗く・彩度低めにすると、自然な立体感が出てきます。
結論:
優しい雰囲気を出したいときは、赤みブラウンを「明るめの主役+暗めの影+濃い線画」の3段階で持っておくとバランスが取りやすくなります。
カジュアルで明るい黄みブラウンのパレット
黄みのブラウンは、木・革・ヘーゼルナッツなどのイメージに近く、カジュアルで元気な雰囲気を作りたいときに使いやすいです。
基準色の例としては、次のような組み合わせがあります。
- 主役用:HEX #B8753C(R184 G117 B60 / C20 M55 Y80 K10 目安)
- 影用:HEX #8A5830(R138 G88 B48 / C30 M60 Y85 K25 目安)
- 線画用:HEX #4B3324(R75 G51 B36 / C50 M70 Y80 K60 目安)
木の床や家具、革小物、秋っぽい服などに黄みブラウンを多めに使うと、画面に親しみやすさが出てきます。
アドバイス:
黄みブラウンは面積が増えると子どもっぽく見えやすいので、背景か小物どちらかに絞って使うと大人っぽさを保ちやすいです。
大人っぽく落ち着いたグレイッシュブラウンのパレット
グレー寄りのブラウンは、ローファイな雰囲気やシックな世界観を作るのに向いています。
強い色をあまり使いたくないときの「逃がし役」として、1セット用意しておくと便利です。
- 主役用:HEX #7A6A58(R122 G106 B88 / C35 M35 Y50 K20 目安)
- 影用:HEX #5B4D3F(R91 G77 B63 / C45 M50 Y60 K40 目安)
- 線画用:HEX #3A322A(R58 G50 B42 / C50 M55 Y65 K65 目安)
このあたりの色をベースにすると、他の色を少し足しただけでも全体を「ブラウン寄り」にまとめやすくなります。
要点:
グレイッシュブラウンを1セット持っておくと、背景や線画を落ち着かせたいときにすぐ使えて、配色が一気に大人っぽくなります。
【基準ブラウンパレット一覧(HEX・数値メモ)】
| パレット名 | HEX | 数値メモ(RGB / CMYKの目安) |
|---|---|---|
| 赤みブラウン主役 | #8B4A3A | R139 G74 B58 / C30 M70 Y65 K20 |
| 黄みブラウン主役 | #B8753C | R184 G117 B60 / C20 M55 Y80 K10 |
| グレイッシュブラウン主役 | #7A6A58 | R122 G106 B88 / C35 M35 Y50 K20 |
| 汎用影ブラウン | #5E3328 | R94 G51 B40 / C40 M70 Y70 K45 |
| 汎用線画ブラウン | #3C2723 | R60 G39 B35 / C45 M70 Y65 K65 |
(出典:CreativeBooster)
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肌になじむブラウン配色|人物イラストの影色とチークに使えるパレット

人物イラストでは、肌色とブラウンの相性が全体の印象を大きく左右します。
特に、影に使うブラウンが強すぎると一気にくすんで見えてしまうので、「肌トーン別の影色パレット」を決めておくと安定します。
明るめ肌に合うソフトブラウンの影色パレット
明るめ肌の場合、影色を濃くしすぎると急に血色が悪く見えてしまいます。
そこで、少しだけ赤みを足したソフトなブラウンを影の基準色にすると、なじみが良くなります。
- 肌ベース:やや黄寄りの明るいピンクベージュ
- 影用ブラウン例:HEX #C28A6A(R194 G138 B106 目安)
- さらに深い影:HEX #A0664F(R160 G102 B79 目安)
頬や鼻先など、血色を足したい部分は影色と同系統のブラウンを少しだけ彩度高めにして乗せると、自然にまとまります。
失敗しないコツ:
明るめ肌の影色ブラウンは「肌より少し暗い・少し赤い」くらいにとどめて、極端に暗いブラウンをいきなり乗せないのが安心です。
中間肌・色黒肌に使いやすいブラウンの影色パレット
中間〜色黒寄りの肌は、影を濃くしすぎなくても立体感が出やすい反面、グレーに寄りすぎると一気にくすんで見えます。
黄みと赤みの両方を少し感じるブラウンを選び、必要に応じて紫寄りの影を足すと、深さとツヤのバランスが取りやすくなります。
- 肌ベース:ミディアムトーンのオーク系ブラウン
- 影用ブラウン例:HEX #8F5A3C(R143 G90 B60 目安)
- 深い影:HEX #6B3F35(R107 G63 B53 目安)
色黒肌の場合は、ハイライト側をしっかり明るくとってあげることで、ブラウンの影を乗せても重くなりにくくなります。
判断の基準:
中間〜色黒肌の影色ブラウンは「肌のトーンから極端に離れない範囲で、少しだけ暗く・少しだけ彩度を落とす」くらいを目安にすると落ち着きます。
まつげ・眉・チークに使う赤みブラウンのポイント
まつげや眉、チークに使うブラウンは、影色よりほんの少しだけ赤みを強くしておくと、肌とのなじみが良くなります。
黒に近いブラウンでまつげを塗ると強さは出ますが、柔らかい印象にしたいときは次のような色が扱いやすいです。
- まつげ・眉:HEX #5A3A33(落ち着いた赤みブラウン)
- チーク・目元:HEX #D58D7A(明るめのサーモンブラウン)
チークは面積が小さいので、やや彩度高めでも全体を邪魔しにくいです。
ここがポイント:
まつげ・眉・チークのブラウンは「影色より赤い・少し明るい」くらいにしておくと、肌に自然に溶け込んで、表情がやわらかく見えます。
【肌トーン別・影色ブラウンパレット一覧】
| 肌トーン | 影に使うブラウンHEX | 不透明度の目安 |
|---|---|---|
| 明るめ肌 | #C28A6A | 乗算レイヤーで30〜50%程度 |
| 中間肌 | #8F5A3C | 乗算レイヤーで40〜60%程度 |
| 色黒肌 | #6B3F35 | 乗算レイヤーで30〜45%程度(ハイライト多め) |
(出典:CLIP STUDIO PAINT 公式チュートリアル)
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髪・瞳・服に映えるブラウン配色|キャラクターの印象を決める組み合わせ

キャラクターの印象は、髪と瞳と服の色の組み合わせで大きく変わります。
ブラウン系でまとめるときも、この3つをセットで見ると、キャラごとの「らしさ」が出しやすくなります。
髪と瞳のブラウンをセットで決めると印象が安定する
髪と瞳の色を別々に決めていくと、なんとなくアンバランスになってしまうことがあります。
そこで、まずは髪色を決めてから「髪より少し暗いブラウン」「髪より少し赤いブラウン」など、差をつけて瞳の色を選ぶと落ち着きやすいです。
- 髪:黄みブラウン+瞳:赤みブラウン → 温かくやさしい印象
- 髪:グレイッシュブラウン+瞳:少しだけ彩度の高いブラウン → 静かな大人っぽさ
- 髪:赤み強めのブラウン+瞳:グリーンやゴールド → 派手めで印象的な雰囲気
アドバイス:
髪と瞳は「色相か彩度どちらか一方だけ」を変えると、ちょうど良い差がついて、統一感と個性のバランスが取りやすくなります。
服や小物に入れる差し色ブラウンとアクセントカラー
服にブラウンを使うときは、すべてを茶色でまとめてしまうよりも、1〜2か所だけ明るさや色相を変えるとメリハリが出ます。
- 服本体:グレイッシュブラウン
- ベルト・ボタンなど:暗めのチョコブラウン
- スカーフ・靴など:アクセントカラー(赤・マスタード・ターコイズなど)
ブラウンはアクセントカラーとの相性が良いので、「全体はブラウン+小物だけ別の色」という構成にすると、世界観を壊さず華やかさを足せます。
ここがポイント:
服と小物をすべてブラウンで塗るのではなく、「ブラウン+1色」の構成にすると、シンプルなのに地味すぎないバランスを作りやすくなります。
キャラクタータイプ別のおすすめブラウン配色レシピ
キャラクターの性格や役割に合わせてブラウンのタイプを選ぶと、見た瞬間の印象が伝わりやすくなります。
たとえば、次のようなイメージが作りやすいです。
- ナチュラルタイプ:髪も服も黄みブラウン中心で、アクセントは白やベージュ。
- クールタイプ:グレイッシュブラウンの髪に黒寄りの服、アクセントにシルバーやブルー。
- クラシックタイプ:赤みブラウンの髪と濃いブラウンの服に、金ボタンなどゴールド系のアクセント。
判断の基準:
キャラクターの「性格」「時代感」「世界観」に合うブラウンを先に決めてから、他の色を足していくと、迷いづらくなります。
【キャラクタータイプ別ブラウン配色例】
| タイプ | メインブラウンの印象 | 差し色の例 |
|---|---|---|
| ナチュラル | 黄みで明るいブラウン | 白・ベージュ・オリーブ |
| クール | グレイッシュで暗めのブラウン | ネイビー・グレー・シルバー |
| クラシック | 赤みの強い深いブラウン | ゴールド・ワインレッド |
(出典:Canva)
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背景と小物に使うブラウン配色|木・土・革・金属・食べ物の色イメージ

背景や小物に使うブラウンは、素材のイメージと結びつけて考えると、描き分けやすくなります。
「木なら少し黄み」「土ならすこし赤み」「食べ物ならツヤと明暗の差」といった感じで、質感ごとにパレットを分けてみましょう。
木や家具に合うナチュラルブラウンのパレット
木材や家具は、黄み〜オレンジ寄りのブラウンがしっくりきます。
ただし、すべて同じ色にするとのっぺり見えるので、木目や影の部分だけ少し赤み・暗さを足してあげると立体感が出ます。
- ベース木材:HEX #C08A4A(明るめの黄土ブラウン)
- 影の木目:HEX #8E5C35
- 古い木・アンティーク:HEX #6E4A32(やや赤みのある暗めブラウン)
一言まとめ:
木や家具は「ベースは黄み寄り+木目や影は赤み寄り」にすると、自然な温かさが出てくれます。
土・石・レンガに合うざらっとしたブラウンのパレット
地面や石・レンガなどは、少しグレーを混ぜたブラウンで描くと、質感のざらっとした感じが出やすくなります。
- 土:HEX #8B6A55(少しグレーを含んだブラウン)
- 乾いた土や砂:HEX #C9A27E(明るめのベージュブラウン)
- レンガ:HEX #A5573F(赤み強めのレンガブラウン)
影や凹凸には、彩度を少し落とした暗めブラウンを重ねると、立体感が出てきます。
補足:
土や石は、あえて少し「くすんだブラウン」を使うことで、キャラクターや小物のブラウンとのメリハリをつけやすくなります。
革・金属・スイーツに合うリッチブラウンのパレット
革製品・金属・チョコレートなど、ツヤのあるモチーフは、暗め・高彩度寄りのブラウンがよく似合います。
ハイライトとの明度差をしっかり取ることで、リッチな質感が表現しやすくなります。
- 革:HEX #6A3A28(深い赤みブラウン)
- ブロンズ系金属:HEX #7A4F2E
- チョコレート:HEX #4A2A22(ほぼ黒に近いブラウン)
見逃せないのが:
ツヤを出したいときは、ブラウンそのものよりも「白〜オレンジ寄りのハイライト」をしっかり入れることが、リッチさを出す近道になります。
【質感別ブラウンと組み合わせる色】
| モチーフ | ベースブラウンHEX | 一緒に使う色の例 |
|---|---|---|
| 木・家具 | #C08A4A | アイボリー・モスグリーン |
| 土・石 | #8B6A55 | グレー・くすみブルー |
| 革・金属・スイーツ | #6A3A28 | 白・ゴールド・深いレッド |
(出典:Canva)
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シーン別ブラウン配色レシピ|昼・夜・屋内・ファンタジーで世界観を作る

同じブラウンでも、シーンによって明るさや組み合わせを変えると、世界観の「時間帯」や「空気感」が伝わりやすくなります。
ここでは、よく使うシーン別にベース・サブ・アクセントをセットでまとめてみます。
日中の屋外シーンに合う明るめブラウンパレット
日中の屋外シーンでは、光がしっかり当たっているイメージなので、ベース色はやや明るめのブラウンを使うと雰囲気が出ます。
- ベース:HEX #D1A87A(明るい黄みブラウン)
- サブ:HEX #A8744A(少し濃い黄土ブラウン)
- アクセント:HEX #F0C05A(ひかりを感じるイエロー寄り)
空や草木の色が画面に入る場合は、それらを少しだけくすませておくと、ブラウン側が主役になってくれます。
ここがポイント:
昼のブラウンは「暗さ」でコントラストをつけるより、「明るい色同士の差」を意識して、爽やかな立体感を作るのがコツです。
夜景・室内シーンのムードを出す深いブラウンパレット
夜や落ち着いた室内のシーンでは、全体の明度をぐっと落として、ブラウンをベースに光の色で雰囲気を作るイメージになります。
- ベース:HEX #3F2A24(暗いグレイッシュブラウン)
- サブ:HEX #6B4C3B(少しだけ明るいブラウン)
- アクセント:HEX #F2B37A(室内灯やランプのようなオレンジ)
ライト部分の色を強めにすると、暗いブラウンとのコントラストで空間に奥行きが出ます。
一言まとめ:
夜ブラウンは「暗い色+明るい光色」の対比を作ることで、しっとりしたムードと立体感を同時に表現できます。
ファンタジーやレトロ感を出すくすみブラウンと差し色の組み合わせ
ファンタジー・レトロ系の世界観では、くすみブラウンをベースに、少しだけ彩度の高いアクセントを足すと雰囲気が出ます。
- ベース:HEX #7D6A5A(くすんだ中明度ブラウン)
- サブ:HEX #5A463A(やや暗めブラウン)
- アクセント:HEX #B58A5A+ターコイズや深いグリーンなど
全体をセピア調に寄せたいときは、彩度を少し落としたブルー・グリーンをアクセントにすると、画面が単調になりすぎません。
ちょっと深掘り:
レトロ感を出すときは「すべての色の彩度を少しずつ下げる」のではなく、ベースだけくすませて、アクセントはある程度彩度を残しておくと、重くなりすぎません。
【シーン別ブラウン配色レシピ】
| シーン | ベース・サブ・アクセントHEX | 比率の目安 |
|---|---|---|
| 日中の屋外 | ベース#D1A87A サブ#A8744A アクセント#F0C05A | ベース70% サブ25% アクセント5% |
| 夜・室内 | ベース#3F2A24 サブ#6B4C3B アクセント#F2B37A | ベース60% サブ30% アクセント10% |
| ファンタジー・レトロ | ベース#7D6A5A サブ#5A463A アクセント#B58A5A+青系 | ベース65% サブ25% アクセント10% |
(出典:Adobe)
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くすむ・重い・地味…ブラウン配色でよくある失敗と直し方

ブラウン配色でありがちな悩みは、「全体がくすんで見える」「暗すぎて何が主役か分からない」「ただ地味になっただけ」という3つに集約されることが多いです。
ここでは、それぞれの原因と直し方を整理しておきます。
全体がどんよりするときは明度差と彩度差を一度確認する
画面がどんよりして見えるときは、色相よりも「明度差」「彩度差」が足りていないケースがほとんどです。
ブラウンの色相を変える前に、「いちばん明るい色」と「いちばん暗い色」の差を一度チェックしてみてください。
- 明るい部分が暗すぎる → ベースのブラウンを1〜2段階明るくする。
- 暗い部分が足りない → 影や線画に、もう少し暗いブラウンを足す。
- 全体の彩度が高すぎる → 背景ブラウンだけグレイッシュ寄りに置き換える。
要点:
まずはブラウンの「明るさと鮮やかさの階段」を作り直すイメージで調整すると、一気にどんより感が抜けていきます。
肌や白目が汚く見えるときはグレー寄りブラウンを避ける
肌の影や白目周りに、グレー寄りの暗いブラウンを乗せすぎると、にごった印象が強くなります。
その場合は、影色を少し赤寄りか黄寄りに振るだけでも、かなり健康的な印象になります。
- 白目の影に使う色は、真っ黒ではなくほんのり赤みのあるブラウンやグレーにする。
- まぶたの影は、肌よりほんの少しだけ赤みを足したブラウンで塗る。
- クマやくすみを描きたいときも、彩度を落としすぎない。
注意点:
「汚れ」を描きたくても、グレー寄りブラウンを広範囲に使いすぎると全体が老けて見えるので、必ず明るい部分や血色の良い部分もセットで描き足すのがおすすめです。
アクセントカラーを1色だけ足してメリハリを作る
どうしても地味になってしまうときは、ブラウンの調整だけで頑張ろうとせず、アクセントカラーを1色だけ足してみてください。
- 暖かいブラウンには、ターコイズやくすみブルー。
- 黄みのブラウンには、ディープグリーン。
- グレイッシュブラウンには、白・ゴールド・ワインレッドなど。
小物・背景の一部・瞳のハイライトなど、面積の小さい場所にだけ入れると、ブラウンの世界観を壊さずにメリハリが出ます。
失敗しないコツ:
アクセントカラーは「1色だけ」にして、あとはすべてブラウン系でまとめると、色数を少なく保ちながら印象を強くできます。
【ブラウン配色の失敗パターンと対処】
| よくある悩み | 主な原因 | 試したい修正 |
|---|---|---|
| 画面がどんよりして見える | 明度差・彩度差が足りない | ベースを明るく、影と線画を少し暗くして階段を作る |
| 肌や白目が汚く見える | グレー寄りブラウンを広く使いすぎ | 影色を赤み・黄みに寄せて、ハイライトを足す |
| 全体が地味で締まりがない | ブラウン以外の色がほぼない | アクセントカラーを1色だけ小さい面積に足す |
(出典:CLIP STUDIO PAINT 公式チュートリアル)
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まとめ
ブラウン配色は一見むずかしそうに感じますが、「役割ごとにパレットを分ける」「明度差と彩度差を意識する」の2つを押さえるだけでも、かなり扱いやすくなります。
主役ブラウン・肌や影のブラウン・背景ブラウン・小物ブラウンをあらかじめセットにしておくと、その日によって色の気分が変わっても、全体のトーンがぶれにくくなります。
人物イラストでは、特に肌と髪と瞳のブラウンの関係が大切です。
肌トーン別の影色パレットや、キャラクタータイプごとのブラウン配色を用意しておくと、「らしさ」の出し方がぐっと楽になります。
背景や小物では、木・土・革・金属・スイーツなど、質感ごとにブラウンの種類を使い分けてあげると、同じ茶色でも情報量のある画面に仕上がります。
最後にもう一度ポイントを整理すると、次のようなイメージになります。
- ブラウンは「主役・肌・背景・小物」の4役でパレットを分けると迷わない。
- 赤み・黄み・グレイッシュの3系統から基準色を決めておく。
- 肌の影には、肌より少し暗く・少し赤いブラウンを使うとくすみにくい。
- シーン別レシピで、ベース・サブ・アクセントの比率をざっくり決めておく。
- くすむ・重い・地味なときは、明度差・彩度差とアクセントカラーを見直す。
まずはこの記事のパレットをそのままスポイトして使いながら、自分の好みに少しずつ近づけていく感覚で触ってみてください。
よくある質問(FAQ)
Q. デジタルイラストでブラウンを使うと全体が暗くなってしまいます。どう調整すればいいですか?
A. いちど明るい色と暗い色の差をはっきりつけ直すと改善しやすいです。ベースのブラウンを少し明るくするか、ハイライト用の色を増やして、影と線画だけを少し暗くすると、重さを抑えつつメリハリを出せます。
Q. 肌の影に茶色を乗せると、くすんで見えてしまいます。影色ブラウンはどう選べばいいですか?
A. 肌色より少し暗く、少しだけ赤いブラウンを選ぶのがおすすめです。グレー寄りや黒に近いブラウンを広く使うと一気にくすむので、乗算レイヤーの不透明度を抑えつつ、赤み寄りのブラウンで少しずつ重ねてみてください。
Q. 髪・瞳・服を全部ブラウン系にすると地味になります。どこにアクセントカラーを入れるといいですか?
A. 小物や背景の一部など、面積の小さい場所に1色だけ足すとバランスが取りやすいです。バッグ・靴・スカーフ・瞳のハイライトなどに、ターコイズや深い赤などを少しだけ入れると、ブラウンの世界観を崩さず印象を強くできます。
Q. 背景の木や家具のブラウンと、キャラクターのブラウンがケンカしてしまいます。どう描き分ければいいですか?
A. キャラクターと背景で「色相か明度のどちらか」をずらすと分離しやすくなります。たとえばキャラクターを赤みブラウン・背景を黄みブラウンにする、またはキャラクターを少し明るく、背景を少し暗くすると、自然に前後が分かれて見えます。
Q. モノクロに近いブラウン系イラストでも、寂しく見えないコツはありますか?
A. 3段階以上の明度差をしっかり作ることがいちばん効きます。明るいブラウン・中間のブラウン・かなり暗いブラウンの3段階を用意して、さらにハイライトとしてほぼ白に近い色を少しだけ足すと、色数が少なくても情報量を出せます。
Q. ブラウン配色を決めるとき、先にキャラクターと背景どちらから決めたほうがいいですか?
A. 基本はキャラクターのブラウンを先に決めてから、背景をそれに合わせてずらすほうが扱いやすいです。キャラクターが決まっていれば、背景の明度や色相をあえて変えることで、主役が埋もれないように調整しやすくなります。
Q. クリスタやProcreateなどソフトが違っても、このブラウンパレットはそのまま使えますか?
A. HEXやRGBの値を指定すればほぼ同じ色になりますが、モニターによる見え方の違いは出ます。表示環境によっては少しだけ色味が変わるので、パレットを読み込んだあと、自分のモニターで見て明るさや彩度を微調整すると安心です。
参考文献・出典
- Adobe Creative Cloudブログ「色の組み合わせと基本ルール」
- Canva「ブラウン系の色の組み合わせアイデア」
- NarrowColor「Brown Color Palette: A Guide for Designers」
- CreativeBooster「100+ Shades of Brown Color」
- CreativeBooster「20 Brown Color Palettes with Names and Hex Codes」
- アタムアカデミー「配色の黄金比 70:25:5 の考え方」
- CLIP STUDIO PAINT 公式チュートリアル「配色テクニック紹介」




