水色とやさしいパステルカラーの作り方|絵の具とデジタルで淡い色を楽しむ

水色とやさしいパステルカラーの作り方

ふんわりした水色やパステルカラーを作りたいのに、思ったより濃くなったり、くすんでしまったりして悩むことは多いですよね。

特に絵の具では「白をどれくらい入れるか」「水でどこまで薄めるか」が感覚頼りになりがちで、毎回同じ色が作れないと不安になりやすいです。

デジタルでも、スライダーをなんとなく動かして「それっぽい色」にしているだけだと、作品全体で色のトーンがバラつきやすくなります。

実は、水色やパステルの「やさしさ」は、絵の具でもデジタルでも共通して「明度」と「彩度」のコントロールでかなり安定させることができます。

ここでは、アナログとデジタルの両方で使える考え方と、具体的な混色レシピや数値の目安をまとめていきます。

【この結論まとめ】

  • 水色やパステルは「明るく・彩度をやや抑える」ことで安定してやさしく見えます。
  • 絵の具の水色は、シアン系の青に白をたっぷり足し、水で硬さを調整すると扱いやすいです。
  • ピンク・ミント・ラベンダーなども「ベース色+白+少量の別色」というパターンで考えると再現しやすくなります。
  • にごりの多くは「色を混ぜすぎ」と「補色を入れすぎ」から生まれるので、色数を絞ると失敗が減ります。
  • デジタルではHSBやHSLを使い、彩度を中くらい以下、明度を高めに設定すると、簡単にパステル調が作れます。
目次

水色とパステルカラーの作り方の全体像|淡い色は「明度と彩度」で決まる

最初に、水色やパステルが「なぜ淡く見えるのか」という仕組みから整理しておくと、絵の具でもデジタルでも応用しやすくなります。

ここでは色の三属性をざっくり押さえながら、「淡い色」をどうコントロールするかの大枠をつかんでいきます。

水色やパステルカラーが「やさしく見える」理由|色相・明度・彩度の関係

色は「色相(どの色か)」「明度(明るさ)」「彩度(あざやかさ)」の3つで考えると整理しやすくなります。

水色やパステルカラーがふんわり見えるのは、色相そのものよりも「明度が高くて、彩度がやや低めである」という組み合わせが効いていることが多いです。

逆に、同じ青でも明度を下げて彩度を上げると、濃いビビッドな青になり、爽やかですが「やさしい印象」とは少し離れていきます。

この組み合わせを目で確認しやすいように、明度と彩度ごとのざっくりした見え方を表にしておきます。

【淡い色の見え方チェック表(明度×彩度の違い)】

明度の高さ彩度の高さ見え方の目安
高い高い明るくはっきりしたビビッドカラー
高い中くらいふんわりしたパステル調の色
中くらい低い落ち着いたくすみカラー
低い高い濃くて強い印象の色

(出典:DICカラーデザイン)
※本内容は執筆時点。最新情報は公式サイト確認。

「淡い色を作りたい」ときは「明度を上げる」「彩度を上げすぎない」という2点を意識するだけでも、狙いがぶれにくくなります。

ここがポイント:
明度と彩度のバランスを意識しておくと、どんな色相でも「パステル寄り」「くすみ寄り」を狙ってコントロールしやすくなります。

絵の具とデジタルに共通する「淡い色」の考え方

絵の具では、白い絵の具や水を足すことで明度を上げたり、塗りの濃さを調整したりします。

デジタルでは、HSBやHSLのスライダーで明度と彩度を直接いじれるので、数値で「淡さ」を管理することができます。

アナログは感覚的に、デジタルは数値で扱うことが多いのですが、どちらも「明るくて、やや彩度低め」というゴールは共通です。

そのため、「アナログで作った淡い色をデジタルで近づけたい」ときも、写真から色を拾ってHSBの値を見れば、おおよその位置関係がつかめます。

結論:
絵の具でもデジタルでも、淡い色は「明度を上げる」「彩度を上げすぎない」という2つの要素で共通してコントロールできます。

淡い色を作るときの大前提|色数を増やしすぎないこと

淡い色を作ろうとして、あれこれ色を足しているうちに、いつの間にかグレーがかったにごり色になってしまうことはよくあります。

多くの場合、ベース色と白にもう1色か2色足したくらいで止めておく方が、発色がきれいに保てます。

特に絵の具の場合、チューブの段階で複数の顔料が混ざっている色も多く、何色も足すと顔料どうしが補色関係になりやすくなります。

その結果として彩度が落ち、狙っていない「くすみ」や「濁り」につながってしまうので、「色は少なく」が淡い色作りの大前提になります。

失敗しないコツ:
水色やパステルを作るときは「ベース色+白+せいぜいもう1色」程度にとどめて、色数を増やしすぎないようにするのが安心です。

絵の具で水色を作る黄金バランス|青+白+水の比率

ここからは、具体的に絵の具で水色を作るときの混色バランスを見ていきます。

「どの青を使うか」と「白と水をどれくらい足すか」で、作りやすさと発色の印象がかなり変わります。

基本の水色は「シアン系の青+白」が作りやすい

一般的に、セルリアンブルーやシアン系の青は、白と混ぜたときににごりが出にくく、素直な水色になりやすいです。

ウルトラマリンのようなやや赤みのある青は、白と混ぜたときに少しだけ紫寄りに転ぶことがあり、落ち着いた水色になります。

好みにもよりますが、「明るく爽やかな水色」が欲しい場合は、まずシアンに近い青を選ぶと扱いやすいです。

目安としての比率を、ざっくり整理しておきます。

【水色の混色比率の目安(青+白+水のバランス)】

水色のタイプ絵の具(青:白)の目安水の量の目安
明るい水色青1:白3絵の具がさらっと伸びる程度
標準的な水色青1:白2ほどよく伸びて筆跡が残る程度
落ち着いた水色青1:白1〜1.5やや硬めでしっかり色を置く程度

(出典:日本色彩学会)
※本内容は執筆時点。最新情報は公式サイト確認。

もちろん実際はメーカーや紙によって変わりますが、「青1に対して白を2〜3倍入れる」と覚えておくと、淡い方向には寄せやすくなります。

要点まとめ:
迷ったときは「シアン系の青+白を2〜3倍」を基本にし、そこから少しずつ青や水を足し引きして好みの水色に近づけていくと安定します。

透明水彩・不透明水彩で変わる「水色の淡さ」の出し方

透明水彩の場合は、白い絵の具を使わずに「紙の白」と「水の量」で淡さを出す描き方も一般的です。

このときは、絵の具そのものはやや濃いめに溶いておき、水を増やしたり、塗り重ねの回数を減らしたりして、軽やかな水色を作っていきます。

ガッシュやアクリルガッシュのような不透明水彩の場合は、白い絵の具をしっかり混ぜることで、マットでしっかりした水色になります。

透明感を優先したいのか、ポップでしっかりした塗りを優先したいのかで、「水で薄めるか」「白を混ぜるか」を使い分けていくイメージです。

アドバイス:
透明感を出したいときは水を、不透明でポップな水色にしたいときは白をメインに使うと、自分の作風に合う質感を選びやすくなります。

少しだけ別の色を混ぜてニュアンスを変えるテクニック

ベースの水色に、ほんの少しだけ別の色を足すと、印象を大きく変えることができます。

黄色を少し混ぜるとターコイズ寄りの爽やかな水色になり、赤をほんのわずかに足すと、少しだけ青みグレー寄りの落ち着いた水色になります。

グレーや補色を入れすぎると一気ににごりやすいので、パレットの端で「ほんの一滴だけ」様子を見ながら混ぜると安心です。

イメージとしては、青と白で作った基本の水色を用意してから、「アクセントとして別色をひとかき混ぜる」程度に留めるイメージです。

ちょっと深掘り:
雰囲気を変えたいときは「別の色を増やす」のではなく、「既に作った水色に極少量だけ足す」意識にすると、にごらせずにニュアンス調整がしやすくなります。

青以外のやさしいパステルカラーを作る|ピンク・ミント・ラベンダーなど

水色が作れるようになると、「ピンクやミント、ラベンダーも同じように作りたい」と感じることが多いです。

ここからは、代表的なパステルカラーを、どんな組み合わせで作ると安定しやすいかを見ていきます。

ピンク系パステルの作り方|赤+白+少量の黄で「肌色寄り〜青み寄り」を調整

パステルピンクの基本は「赤+白」で、赤をかなり少なめにするイメージです。

青みの強いマゼンタ寄りの赤を使うと、やや青みがかった可愛らしいピンクになります。

朱色寄りの赤に、少量の黄色を足してから白を混ぜると、肌色寄りのやわらかいピンクになります。

ほんの少しだけ黄を足すかどうかで、ピンクの「体温感」が変わるので、用途に合わせて調整してみてください。

ここがポイント:
ピンクは「赤をかなり控えめにして、白をたっぷり」で考えると安定しやすく、黄の有無で肌色寄りか青み寄りかを調整できます。

ミントグリーン・エメラルド系の淡い色を作るコツ

ミントグリーンは「青+黄+白」で作りますが、青をやや多めにして白をしっかり混ぜると、爽やかなミント色になります。

黄を多くすると黄緑寄りになり、ミントというより「若草色」に近づくので、青の比率をやや意識しておくと狙いやすいです。

ターコイズ寄りのミントにしたいときは、水色ベースに少しだけ黄を足すイメージにすると、にごりにくく調整しやすくなります。

白の量を増やすほどパステル感が強まるので、まずは彩度高めに作ってから、白で一段階ずつ淡くしていくとコントロールしやすいです。

実践ポイント:
ミントを作るときは「青を基準に少し黄を足す」イメージにすると、黄を入れすぎて黄緑になってしまう失敗を防ぎやすくなります。

ラベンダー・藤色のようなパープル系パステルの混色レシピ

ラベンダーや藤色のようなパープル系パステルは、「青+赤+白」で作りますが、青寄りの紫にしたいのか、赤寄りの藤色にしたいのかでバランスが変わります。

青みの強い紫にしたいときは、青をやや多めにして、赤を控えめに混ぜ、白をしっかり足して明度を上げます。

藤色のようにやわらかい紫にしたいときは、赤紫寄りの色をベースにして白を多くし、必要ならごく少量の青を後から足して調整します。

グレーをほんの少しだけ混ぜると、落ち着いたラベンダーグレーになり、くすみパステルとしても使いやすい色合いになります。

代表的なパステルカラーの混色パターンを、ざっくり一覧にしておきます。

【代表的なパステルカラーの混色レシピ一覧】

色の名前ベースになる色の組み合わせポイント
パステルピンク赤+白(+少量の黄)赤少なめで白多めにする
ミントグリーン青+黄+白青多めで黄を入れすぎない
ラベンダー青+赤+白青と赤のバランスで雰囲気を調整
クリームイエロー黄+白白を多めにしてやわらかく

(出典:DICカラーデザイン)
※本内容は執筆時点。最新情報は公式サイト確認。

覚えておきたい:
どのパステルも「ベース色+白+あっても1色足す程度」というパターンで考えると、レシピを整理しやすくなります。

淡い色がにごる原因と、きれいな水色・パステルを保つコツ

淡い色を作るときにいちばんストレスになるのが、「きれいに作れたはずなのに、塗っていくうちににごってしまう」という現象です。

ここでは、よくあるにごりの原因と、その対策をまとめておきます。

絵の具の混色で起こる「にごり」の仕組みと避けたい組み合わせ

絵の具のにごりは、簡単にいうと「補色どうしが混ざることで彩度が落ちる」ことが大きな要因です。

例えば、黄色に補色関係に近い紫が混ざると、鮮やかさが落ちて灰色寄りの色に傾きやすくなります。

また、チューブの段階で既に複数の顔料が混ざっている色どうしを重ねていくと、結果的に多くの色相が混ざってしまい、にごりやすくなります。

避けたい組み合わせや原因を、ざっくり一覧にしておきます。

【淡い色がにごる典型パターンと対策一覧】

原因のパターン具体例のイメージ対策の方向性
補色を混ぜすぎ黄色と紫、赤と緑を何度も重ねる補色は影やアクセントだけにとどめる
色数が多すぎ3色以上を次々に足してしまうベース+白+1色程度に絞る
乾く前に塗り重ねる濡れた絵の具の上にさらに混色乾くのを待ち、層を分けて重ねる
にごった色をさらに調整濁った色にまた別の色を足し続ける思い切って新しく色を作り直す

(出典:日本色彩学会)
※本内容は執筆時点。最新情報は公式サイト確認。

意外な落とし穴:
一度にごった色を立て直そうとすると、さらに色数が増えて悪化しやすいので、「にごったら作り直す」と割り切った方が結果的に早く仕上がることが多いです。

白や黒を入れすぎたときに起きる問題

白は明度を上げる便利な色ですが、入れすぎると「粉っぽくて平板な色」になり、思っていたよりも軽すぎる印象になることがあります。

黒は影色を作るのに便利ですが、パステルカラーに直接足すと、一気にくすみが強くなり、彩度が下がりすぎて重い印象になりがちです。

影を作りたいときは、黒ではなくベース色の補色寄りの色を少しだけ足して暗くする方が、色のニュアンスを損なわずに深みを出せます。

白と黒は「便利な調整役」である一方で、量を読み違えると一瞬で世界観が変わってしまう色でもあると意識しておくと安心です。

注意点:
パステルカラーを扱うときの白と黒は「最後の微調整に使う」くらいのイメージにしておくと、色の表情を保ちやすくなります。

紙の白さ・塗り重ね・水加減で変わる透明感

特に透明水彩では、紙の白さや表面の質感が、そのまま「淡い色の見え方」に影響します。

真っ白でツルツルした紙では、同じ水色でもはっきり明るく見え、やや生成りで凹凸のある紙では、少し落ち着いた柔らかい印象になります。

塗り重ねる回数が多くなるほど、紙の白が隠れていき、透明感よりも重厚感のある色に近づいていきます。

一度に濃く塗るよりも、薄く溶いた色を2〜3回重ねるなど、紙の白をどれくらい見せたいかを意識して塗り方を決めると、透明感をコントロールしやすいです。

一言まとめ:
「どの紙を選ぶか」「何回重ねるか」「どれくらい水を入れるか」という物理的な条件も、淡い色の透明感に大きく関わってくると意識しておくと、仕上がりを予測しやすくなります。

デジタルで水色やパステルカラーを作る|HSB・HSLとRGBの数値目安

次に、デジタルで水色やパステルカラーを作るときの考え方を整理します。

数値で管理できるぶん、仕組みが分かるとかなり狙い通りの淡い色を再現しやすくなります。

HSB/HSVで考えると淡い色作りが圧倒的にわかりやすい

デジタルの色指定では、RGBだけでなく「HSB」「HSV」「HSL」といった色の三属性に近いモデルを選べる場合が多いです。

淡い色を作りたいときは、色相を決めた上で「彩度」と「明度(輝度)」を調整できるHSBやHSLで考えると、とても分かりやすくなります。

例えば、水色なら色相を180〜200度前後の青緑付近に設定し、彩度を50〜70%程度、明度を80〜95%程度にすると、パステル寄りになりやすいです。

RGBだけで調整しようとすると「どの値をどれだけ動かせばいいのか」が直感的にわかりづらいので、HSB表示に切り替えて考えるのがおすすめです。

判断の基準:
淡い色を作るときは「HSBやHSLで彩度と明度を見る」「RGBは最終的な確認に使う」という順番にすると、迷わず調整しやすくなります。

水色・ピンク・ミントなど代表色のHSB・RGB目安

実際にどれくらいの数値にするとパステルっぽく見えるか、代表的な色の目安を一覧にしておきます。

ここでは、おおよその位置感をつかむための目安として使ってみてください。

【代表的パステルカラーのHSB・RGB例】

色の名前HSBの目安(H,S,B)RGBの目安(R,G,B)
水色H:190 S:40〜60 B:90〜95R:180 G:220 B:240前後
パステルピンクH:340 S:30〜50 B:95前後R:250 G:200 B:210前後
ミントグリーンH:160 S:30〜50 B:90〜95R:190 G:235 B:215前後
ラベンダーH:260 S:25〜45 B:90前後R:210 G:200 B:240前後

(出典:Adobe)
※本内容は執筆時点。最新情報は公式サイト確認。

数値はソフトやモニター環境によって見え方が変わるので、「だいたいこのあたり」という出発点として使うのがちょうど良いです。

要点:
HSBの彩度を50%前後、明度を90%前後に置くと、多くの色相で「パステル寄り」の印象に近づきやすくなります。

くすみパステル・ビビッド寄りパステルへの調整方法

同じパステルでも、ふんわり甘い色にしたいのか、少し大人っぽいくすみパステルにしたいのかで、彩度と明度の置き方が変わります。

くすみパステルにしたいときは、彩度を少し下げて40%前後にし、明度もやや下げて80〜85%程度にすると、落ち着いた印象になります。

逆に、ビビッド寄りのパステルにしたいときは、彩度を60〜70%程度まで上げて、明度は高めのままにしておくと、ポップだけれどやさしい色になります。

どちらも「彩度を上げすぎない」「明度を極端に下げない」という範囲に収めることで、パステルらしさを保ちながらテイストを変えられます。

ここがポイント:
HSBのSとBを少しずつ動かして、「この色相のパステルはどの範囲が心地いいか」を自分なりにメモしておくと、作品ごとに色を揃えやすくなります。

テイスト別パステルカラーパレット|ガーリー・北欧・くすみ系

同じパステルでも、組み合わせ方によって雰囲気は大きく変わります。

ここでは、よく使われるテイスト別に「こんな色をセットで使うとそれっぽく見える」というパレットを整理しておきます。

ガーリー・ポップ系パステルパレットの組み方

ガーリーな雰囲気を出したいときは、ピンクや水色、レモンイエローなどの明るいパステルを中心に、彩度も少し高めに設定するとポップな印象になります。

メインとなるピンクを1色決めたら、それと相性の良い水色と黄色を足して「3色セット」を基本にすると、にぎやかすぎずバランスが取りやすいです。

白やごく薄いグレーを背景や余白に使うと、カラフルなパステルでもごちゃつかず、スイーツや雑貨のようなかわいさが出てきます。

アクセントとして、少しだけ濃いチェリーピンクや赤を1箇所に使うと、メリハリが出て全体が締まりやすくなります。

ここがポイント:
ガーリー系では「明るいピンクを主役に、相性の良い水色と黄色を足して3色セット+白」で考えると、簡単に世界観を作りやすくなります。

北欧風ナチュラルパステルの配色

北欧風のナチュラルなパステルは、原色に近い鮮やかさではなく、少しだけグレーがかったやさしい色合いが特徴です。

ブルーグレーやくすみミント、淡いベージュやアイボリーなど、自然物を連想させる色を選ぶと雰囲気が出やすくなります。

彩度はやや低めの30〜50%程度、明度は高めにして、白や木目のようなテクスチャーと合わせると、落ち着いていて温かみを感じる配色になります。

強い黒を避け、ダークグレーやチャコールなどやわらかい暗色を使うと、全体の空気感を壊さずに引き締めることができます。

補足:
北欧テイストでは「自然の色を少し明るく、少し淡くしたパステル」を意識すると、派手すぎず長く見ていても疲れない配色になりやすいです。

くすみパステルで大人っぽく見せる配色のコツ

くすみパステルは、一般的なパステルから彩度を少し落とし、グレーやベージュを混ぜたような落ち着いた色合いがポイントです。

例えば、パステルピンクにほんの少しだけグレーを足したような「ダスティーピンク」や、くすみミント、モーブなどが代表的です。

配色としては、くすみピンク+グレージュ+チャコールグレーのように、明度と彩度の差を大きくしすぎない組み合わせにすると、大人っぽいまとまりが出ます。

アクセントとして、ゴールドやブロンズのような金属色を少しだけ入れると、くすみパステルのニュアンスがより引き立ちやすくなります。

テイスト別のパステルパレットを、簡単に整理しておきます。

【テイスト別パステルカラーパレット例】

テイスト主な色の組み合わせ雰囲気の目安
ガーリー系ピンク+水色+レモンイエロー+白明るくポップでかわいい印象
北欧ナチュラルブルーグレー+ミントグリーン+ベージュ落ち着いた温かみのある印象
くすみパステルダスティーピンク+グレージュ+チャコール大人っぽく上品な印象

(出典:DICカラーデザイン)
※本内容は執筆時点。最新情報は公式サイト確認。

要点まとめ:
パレットを組むときは「主役色1〜2色+なじませ色+アクセント色」という役割分担で考えると、テイストを崩さずに配色を組み立てやすくなります。

シーン別に使いやすいパステル配色|イラスト・デザイン・日常づかい

最後に、実際にどんな場面でどのようなパステル配色が使いやすいか、シーン別に整理しておきます。

同じパステルでも、「作品の主役」にするのか「背景や小物」にするのかで、最適な使い方が変わってきます。

イラスト・キャラクターデザインでのパステル配色

キャラクターの服や髪色にパステルカラーを使うときは、キャラ全体をパステルで埋め尽くすのではなく、「肌・髪・服のどこを淡く、どこを少しだけ濃くするか」を決めておくとバランスが取りやすいです。

例えば、髪と服をパステルにした場合は、目や小物に少しだけ濃い色を使って、視線の集まるポイントを作ると印象がぼやけにくくなります。

背景をパステルにする場合は、キャラ本体の彩度と明度を背景より少しだけ強くして、主役が埋もれないように調整するのがコツです。

線画の色を真っ黒ではなく、濃いブラウンや濃いネイビーなどに変えると、全体の空気感がやさしくなり、パステルとのなじみも良くなります。

実践ポイント:
イラストでは「どこをいちばん目立たせたいか」を決め、その部分だけパステルより少し濃い色を使うと、ふんわりしつつもメリハリのある仕上がりになります。

Web・グラフィックデザインでのパステルの使いどころ

Webや資料デザインでは、パステルカラーを背景やボタンに使うと柔らかい印象になりますが、文字の可読性には特に注意が必要です。

背景を淡い色にする場合は、文字色とのコントラストをしっかり確保し、特に重要な情報には濃いグレーやネイビーなど読みやすい色を使うと安心です。

ボタンやリンクなどの「押す場所」は、周りより少しだけ彩度を高めたり、影や縁取りを入れたりして、視線が自然に集まるように工夫すると使いやすくなります。

パステルカラーを多用しすぎると画面全体がぼんやりしやすいので、見出しやアイコンなどの一部に濃い色を残すことで、情報の階層が分かりやすくなります。

注意点:
読みやすさが最優先になる場面では、パステルは「背景や装飾」に回し、文字や重要な要素にはコントラストのはっきりした色を使うことを意識すると安心です。

手帳・雑貨・インテリアでパステルを取り入れるときのバランス感

手帳やノートでは、見出しや予定の色分けにパステルマーカーを使うと、やわらかくて見返しやすいページになります。

その際、すべての予定をパステルで塗るのではなく、「重要な予定だけは濃い色」「メモや気分の記録はパステル」など、役割を分けると情報が整理しやすくなります。

インテリアでは、クッションや小物、ポスターなど「取り替えやすい部分」にパステルを取り入れると、季節や気分に合わせて雰囲気を変えやすくなります。

大きな面積の家具や壁は、白やベージュ、グレーなどベースカラーを落ち着かせておくと、パステル小物が映えるバランスになります。

シーン別に、よく使われるパステル配色を簡単に一覧にしておきます。

【シーン別・パステル配色のおすすめ組み合わせ】

シーン主な色の役割ポイント
キャラ・イラスト服や髪にパステル、目や小物に濃い色主役部分に少し濃い色を残す
Web・資料背景にパステル、文字は濃いグレー可読性を最優先する
インテリア小物にパステル、家具はベースカラー差し色として季節感を出す

(出典:Adobe)
※本内容は執筆時点。最新情報は公式サイト確認。

迷ったらここ:
日常づかいでは「ベースを落ち着かせて、小物やアクセントにパステルを少しだけ」というバランスにすると、飽きずに長く楽しみやすくなります。

まとめ

水色やパステルカラーは、一見ふんわりしていて感覚で作っているように見えますが、実は「明度」と「彩度」のコントロールでかなり安定させることができます。

絵の具では、シアン系の青に白を2〜3倍混ぜる水色を基本に、ピンクやミント、ラベンダーなども「ベース色+白+もう1色」のパターンで考えると再現しやすくなります。

にごりの多くは、補色を混ぜすぎたり、色数を増やしすぎたりすることから生まれるので、「ベースと白を中心に、別色は少しだけ」と意識するだけでも失敗がぐっと減ります。

デジタルでは、HSBやHSLを使って彩度を50%前後、明度を90%前後に置くと、多くの色で気持ちのいいパステルゾーンに入りやすくなります。

  • 淡い色は「明るく・彩度控えめ」が基本です。
  • 絵の具では「ベース色+白+1色」くらいに色数を絞ると、にごりにくくなります。
  • デジタルではHSBやHSLのSとBを見ながら、パステルゾーンの範囲を自分なりに覚えておくと便利です。
  • テイスト別・シーン別にパレットを意識すると、作品全体の世界観をそろえやすくなります。

まずは、水色やピンクなど好きな色を1つ決めて、この記事の比率や数値を参考にしながら、自分の「定番パステルレシピ」を作ってみてください。

よくある質問(FAQ)

Q. 絵の具で水色を作るとき、どんな青を選ぶと失敗しにくいですか?
A. セルリアンブルーやシアン系の青は白と混ぜてもにごりにくく、明るい水色を作りやすいので基本の青として選ぶと安定しやすいです。

Q. パステルカラーは、水で薄めるのと白を混ぜるのではどちらがきれいに見えますか?
A. 透明感を出したいなら水で薄める方が向いていて、マットでしっかりした発色にしたいなら白を混ぜる方がきれいに見えやすいです。

Q. パステルカラー同士を混ぜたらにごってしまいましたが、立て直す方法はありますか?
A. 一度にごった色を立て直すのは難しいので、その色は影や小さな部分に回し、新しくベース色と白から作り直す方が結果的にきれいに仕上がりやすいです。

Q. デジタルで水色を作るとき、RGBとHSBではどちらで調整した方がわかりやすいですか?
A. 淡い色を狙うなら彩度と明度を直接いじれるHSBやHSLの方が直感的で、RGBは最終的な数値確認用に使うとバランスが取りやすいです。

Q. 背景にパステルカラーを使うと文字が読みにくくなりますが、どうすればいいですか?
A. 背景と文字色の明度差と彩度差をしっかりつけ、文字には濃いグレーやネイビーなどコントラストの高い色を使うと読みやすさを保ちやすいです。

Q. くすみパステルと普通のパステルの違いは何ですか?
A. くすみパステルは一般的なパステルより彩度を少し落とし、グレーやベージュが混ざったような落ち着いたトーンで、大人っぽい雰囲気になりやすいのが特徴です。

Q. アナログで作ったパステルカラーをデジタルで再現したいとき、どんな手順がおすすめですか?
A. 作品を撮影してソフト上でカラーピッカーで色を拾い、そのHSBやHSLの値を参考に近い位置の色を保存していくと、かなり近いトーンをパレットとして再現しやすくなります。

参考文献・出典

  1. DICカラーデザイン「色の三属性と色立体とは」
  2. DICカラーデザイン「カラーパレットジェネレーター『Adobe Color』をつかいこなす」
  3. Adobe「Illustrator 配色でデザインの印象を変える」
  4. Adobe「Photoshop Elements でのカラーについて」
  5. 一般社団法人日本色彩学会「色立方体を利用した色の3属性と配色効果の基礎学習」
  6. 日本産業規格「色 彩:目次(JIS Z 8105『色に関する用語』など)」
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