ビジネス資料を作るとき、「とりあえず青にしておけば無難」と感じている人は多いはずです。
ただ、青をメインにしてもコントラストが足りなかったり、アクセント色が強すぎたりすると、一気に読みにくくなってしまいます。
実は、青を「どんなトーンで」「どのくらいの量」「どの要素に」使うかを決めておくと、ほとんどのビジネス資料は安定して見やすく整うんです。
この記事では、信頼感を高める青の選び方と、ベースカラーやアクセントカラーとの組み合わせ方、文字・背景・グラフまで含めた配色の考え方を一気に整理します。
営業資料や投資家向けプレゼンはもちろん、社内報告や研修資料にもそのまま使える「青ベース配色レシピ」も用意しているので、すぐに自分のスライドに落とし込めます。
【この結論まとめ】
- ビジネス資料では、白や薄いグレーを土台に、信頼感の軸として青をアクセント〜サブカラーに置くのが基本です。
- 文字と背景は、コントラスト比4.5:1以上を目安に「濃い文字×薄い背景」を徹底すると、読みやすさが安定します。
- 資料の目的別に「営業=青+オレンジ」「投資家向け=ネイビー中心」「社内報告=淡い青+グレー」など、シーン別の青ベース配色を決めておくと迷いません。
ビジネス資料で信頼感が伝わる配色と青色の基本ルール

まず押さえておきたいのは、ビジネス資料の色が「役割分担」で成り立っているという考え方です。
ざっくりと、ベースカラー・アクセントカラー・警告色の3つに整理すると、青の立ち位置が見えやすくなります。
まず押さえたい「ベースカラー・アクセントカラー・警告色」の役割
ベースカラーは、背景や大部分のエリアに使う「空気」のような色で、白やごく薄いグレーが基本になります。
アクセントカラーは、グラフの主系列や重要見出しなど、「ここを見てほしい」という場所にだけ少量使う色です。
警告色は、リスク・注意・エラーなどを示すための色で、赤やオレンジ寄りの色が担当します。
ここがポイント:
青は「ベース」よりも「アクセント〜サブカラー」として使うと、信頼感と見やすさのバランスが取りやすくなります。
青色を信頼感の軸にする理由とビジネス資料との相性
青は、冷静さ・誠実さ・信頼感と結びつきやすい色として、多くの研究やマーケティングの現場で使われています。
さらに、白やグレーと組み合わせたときに「情報が整理されて見える」効果もあり、企業ロゴやコーポレートサイトにもよく採用されています。
ビジネス資料では、数字やロジックを落ち着いて読んでもらいたい場面が多いので、青を軸にする相性はとても良いと言えます。
一言まとめ:
感情を煽るよりも「安心して読んでほしい」資料では、青をメインに据えると方向性を外しにくくなります。
青を主役にした3色パレットの黄金比(ベース7:アクセント2:警告1)
「色を何色まで使うか」に迷ったときは、まず3色構成で考えるとスッキリします。
【信頼感が出る基本配色パターン一覧】
| パレット例 | ベースカラー | アクセントカラー(青系) | 警告色・強調色 | 主な用途・印象 |
|---|---|---|---|---|
| ベーシック信頼感 | 白またはごく薄いグレー | 標準的なブルー | 落ち着いたレッド | 汎用的なビジネス資料全般で使いやすい落ち着いた印象 |
| 落ち着いた決算資料向け | ごく薄いグレー | ネイビー | ダークオレンジ | IR・決算説明などで重さと安定感を出したいときに有効 |
| 社内報告向けライト | 白 | ライトブルー | ディープレッド | 社内向けの定例報告などで柔らかさと読みやすさを両立 |
(出典:デジタル庁)
※本内容は執筆時点。最新情報は公式サイト確認。
このような3色パレットを用意しておくと、スライドごとに色を悩まずに済みます。
割合の目安としては、ベースカラー70%、青系アクセント20%前後、警告色10%以下と考えるとバランスが取りやすいです。
失敗しないコツ:
アクセントや警告色を増やすより、「青の濃淡」と「グレーの濃淡」で情報量をコントロールしたほうがプロっぽくまとまりやすくなります。
ブランドカラーやコーポレートカラーとのバランスの取り方
ブランドカラーがすでに青系の場合は、その色を「アクセント」に使い、土台には白やグレーを置くイメージで考えると安定します。
ブランドカラーが青以外でも、ロゴやタイトル周りだけブランド色を使い、本文やグラフは青×グレー系に寄せるというやり方がよく使われています。
ブランドガイドラインがある場合は、「どの場面でどの程度使うか」が指定されていることも多いので、資料の配色もそれに揃えておくと安心です。
判断の基準:
まずは「ブランドカラー>青>グレー」の優先順位ではなく、「ベースの白・グレー>青>ブランドカラー」の順に考えると、読みやすさを優先した配色にしやすくなります。
資料のタイプ別に変わる青ベース配色の考え方

同じ青ベースでも、営業資料と投資家向け資料、社内報告では「ちょうどよいテンション」が変わります。
資料の目的と読まれる場面に合わせて、青のトーンとアクセント色を少しずつ調整していくイメージです。
営業資料は「青+オレンジ」で行動を促す配色にする
営業資料では、信頼感に加えて「アクションしてほしい」というメッセージも含めたい場面が多くなります。
青をベースにしつつ、CTAボタンや料金・締切などの箇所にオレンジ系のアクセントを使うと、目線が集まりやすくなります。
ただし、オレンジの量が多すぎるとポップで軽い印象に寄りやすいので、使用量は少なめに抑えるのが安心です。
要点まとめ:
営業資料では「青で信頼感」「オレンジで行動」を分担させて、オレンジはボタンや重要数字など限られた場所だけに絞るとスッキリ見えます。
投資家向け・経営層向け資料はネイビー中心で落ち着きを出す
投資家向け資料や経営層への報告資料では、華やかさよりも落ち着きや堅実さが優先されます。
この場合は、ライトなブルーよりもネイビー寄りの青を主役にし、アクセント色も彩度を抑えたダークオレンジやダークグリーンにすると安定感が出ます。
背景は白〜薄いグレー、文字は濃いグレーかネイビーにすると、長い文章でも疲れにくい読みやすさになります。
ここがポイント:
投資家向けの場では、鮮やかな青より「少し暗めのネイビー+控えめなアクセント」でまとめると、大人っぽく信頼感のある印象になります。
社内報告・マニュアルは淡い青とグレーで情報整理を優先
社内報告やマニュアル類では、「長く読み続けても疲れにくいこと」が第一条件になります。
青を濃く使いすぎるより、淡い青とグレーで情報のグループ分けをし、文字は黒〜濃いグレーでくっきり読ませる方が実務では扱いやすいです。
見出しや重要箇所だけやや濃いブルーを使い、それ以外はグレー中心にしておくと、主張しすぎない落ち着いた資料になります。
実践ポイント:
社内資料では「青は見出しや区切り線」「本文はグレー文字」と割り切ると、地味すぎず派手すぎないちょうど良いバランスに落ち着きます。
オンライン配布資料・印刷資料で配色を変えるときのポイント
画面で見る資料と印刷して読む資料では、同じ色でも明るさやコントラストの感じ方が変わります。
オンライン用では少し明るめの青でも見やすいことが多いですが、印刷ではコントラストが弱くなるため、やや濃いめの青を選ぶほうが安全です。
印刷前提の資料では、背景を限りなく白に近づけ、文字色も黒〜濃いグレーにしておくと、モノクロ印刷になっても情報が崩れにくくなります。
注意点:
同じ資料を「画面用」「印刷用」で使い回す場合は、配布前に一度印刷してコントラストと文字の太さを確認しておくと安心です。
【資料タイプ別のおすすめ配色バランス】
| 資料タイプ | ベースカラー比率 | 青系の使い方 | アクセント・警告色 | 主なポイント |
|---|---|---|---|---|
| 営業資料 | 白:70% | 中程度の青を見出し・グラフ主系列に20% | オレンジ系をCTAや価格で10% | 行動喚起したい箇所だけオレンジで強調 |
| 投資家・経営層向け | 薄いグレー:70% | ネイビーを見出し・重要グラフに20% | ダークオレンジやダークグリーンを10% | 彩度を抑えて落ち着いた印象を優先 |
| 社内報告・マニュアル | 白:75% | 淡いブルーを見出しや区切り線に15% | レッド系の警告色を10% | 読みやすさとメリハリの両立を重視 |
(出典:デジタル庁)
※本内容は執筆時点。最新情報は公式サイト確認。
信頼感を高める青色の選び方|彩度・明度・トーンの調整

「青なら何でもOK」ではなく、トーンの選び方で印象は大きく変わります。
ここでは、ライトブルー・標準的なブルー・ロイヤルブルー・ネイビーといった代表的なトーンの違いを整理していきます。

ライトブルー・ロイヤルブルー・ネイビーの印象の違い
ライトブルーは、明るく柔らかい印象で、カジュアル寄りの雰囲気を作りたいときに向いています。
標準的なブルーやロイヤルブルーは、一般的なビジネス資料で最も使いやすい「バランス型」のトーンです。
ネイビーは、重厚感とフォーマルさが強く出るため、経営層や投資家向けの資料、長期的な信頼を訴求したい資料に向いています。
覚えておきたい:
初めて配色を整えるときは、「ライトブルー=優しい」「ロイヤルブルー=標準」「ネイビー=フォーマル」という3段階のざっくりしたイメージから選ぶと迷いにくくなります。
彩度の高すぎる青が「ポップ過ぎてしまう」場面と注意点
ビビッドな青は、画面上では映えて見えますが、ビジネス資料では少しカジュアルに寄りすぎることがあります。
特に、彩度が高い青を広い面積で使うと、目が疲れやすくなったり、資料全体がプレゼンテーションツール寄りの派手さを帯びたりしがちです。
警告色やアクセント色も同様で、彩度が高い色を複数組み合わせると、視線があちこちに分散してしまいます。
意外な落とし穴:
「元気に見せたいから」と彩度の高い青や赤を多用すると、肝心の数字やメッセージが読まれにくくなるので注意が必要です。
背景用と強調用で青のトーンを使い分けるコツ
背景に使う青は、白に近い淡いトーンにして、文字やグラフの青は一段階濃いトーンにするとメリハリが付きます。
同じ色コードを背景と文字に使ってしまうと、コントラストが不足して読みづらくなるので、最低でも明度か彩度のどちらかをしっかり変えることが大切です。
たとえば、背景が淡い水色なら、文字や線はネイビー寄りの濃い青を使うと、安全側に寄せることができます。
要点:
「背景は淡く」「文字と線は濃く」を徹底すると、青をたくさん使っても読みやすさが崩れにくくなります。
カラーパレットツールで青のトーンをそろえるときの見方
デザインツールや配色サービスには、青を中心にしたカラーパレットを自動で提案してくれるものが多くあります。
そのときは、明度と彩度の軸を意識しながら「背景用」「グラフ用」「強調用」の3つに役割を分けて選ぶと、実務で運用しやすくなります。
同じ青系でも、トーンがバラバラだと資料全体が落ち着かない印象になるので、青のトーンだけは一度決めたら資料内で統一するのがおすすめです。
アドバイス:
まずは「この資料はライト寄りか、ネイビー寄りか」を決め、その範囲内で明るさを変えることで統一感を出すと失敗しにくくなります。
【青色のトーン別・印象とおすすめ用途】
| トーン名 | 明るさ・派手さの目安 | 主な印象 | おすすめ用途 |
|---|---|---|---|
| ライトブルー | 明るくやや軽い | 親しみやすい・柔らかい | 社内研修資料の背景や、補足情報の枠線 |
| 標準的なブルー | 中程度 | バランスの良い信頼感 | 汎用的なビジネス資料の見出しやグラフ主系列 |
| ロイヤルブルー | やや鮮やか | 活動的だがきちんとしている | 営業資料の重要数字や強調箇所 |
| ネイビー | 暗めで落ち着いた印象 | フォーマル・重厚 | 投資家向け資料や経営層へのプレゼンのタイトル・ヘッダー |
(出典:ウェブアクセシビリティ基盤委員会)
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文字・背景・グラフの色分担とコントラスト比の考え方

見やすさを左右するのは、色そのものより「文字と背景のコントラスト比」と「どの要素に色を割り当てるか」です。
ここでは、青ベースの資料でも読みやすさを損なわないための基本ラインを整理しておきます。
ビジネス資料で守りたいコントラスト比の目安(4.5:1以上)
ウェブアクセシビリティの基準では、小さめの文字の場合、文字と背景のコントラスト比を4.5:1以上にすることが推奨されています。
これは紙やスライドでも考え方は同じで、青背景に白文字を使うときも、十分なコントラストを確保できているかを意識する必要があります。
特に、細い書体や小さな文字では、コントラストが足りないと一気に読みにくくなるので、文字の太さも合わせて調整していくと安心です。
大事なところ:
「見た目でギリギリ読める」レベルではなく、「一瞬で読める」レベルまでコントラストを確保しておくと、長時間の閲覧でもストレスが少なくなります。
背景色と文字色の組み合わせ例(青背景・白文字の落とし穴)
青背景に白文字は、一見するとスタイリッシュに見えますが、面積が広いと目の負担が大きくなりがちです。
タイトル1枚程度なら問題ありませんが、本文スライドがすべて青背景だと、長時間のプレゼンではかなり疲れてしまいます。
本文スライドの背景は白〜ごく薄いグレーにし、青背景は一部の見出しスライドや章区切りにとどめるのが、ビジネス資料では扱いやすいバランスです。
注意点:
青背景+白文字の組み合わせを使う場合は、「面積を絞る」「文字を太めにする」「フォントサイズを大きめにする」ことをセットで意識すると安全側に寄せられます。
グラフの線・塗り・凡例の色を役割ごとに整理する
グラフでは、主系列・比較系列・補助ラインなど、要素ごとに役割を決めて色を割り当てると整理されて見えます。
たとえば、青を主系列に、グレーを比較系列に、アクセント色を目立たせたい一点だけに使うといった具合です。
凡例や目盛りは、あえて薄いグレーにしておくと、数字そのものに集中しやすくなります。
要点まとめ:
グラフでは「主役=青」「脇役=グレー」「特別扱い=アクセント色」と決めておくと、毎回配色に迷わずに済みます。
投影用(プロジェクター)とオンライン共有で見え方が変わる理由
プロジェクター投影では、明るい会議室だとコントラストが下がり、青が薄く見えることがあります。
オンライン共有では、モニターの設定や明るさによって、同じ青でもやや濃く見えたり、くすんで見えたりします。
どちらでも問題なく読めるようにするには、文字サイズ・太さ・コントラスト比の「安全マージン」を少し多めに取っておくイメージが大切です。
チェックポイント:
重要なプレゼンの前には、可能な限り実際の投影環境やモニターで1度表示して、数字や小さな文字が読みやすいかを確認しておくと安心です。
【文字サイズ別・推奨コントラスト比と例】
| 用途・文字サイズの目安 | 推奨コントラスト比 | 代表的な組み合わせ例 | コメント |
|---|---|---|---|
| 本文(約18pt前後) | 4.5:1以上 | 白背景 × 濃いネイビー文字 | 最も基本的で疲れにくい組み合わせ |
| 小さな注釈・脚注 | 7:1以上あると安心 | 白背景 × 黒文字 | 文字が小さいほどコントラストは高めに確保 |
| タイトル(大きめの見出し) | 3:1以上が目安 | 薄いグレー背景 × ネイビー文字 | 文字が大きい場合は少し低めでも読める |
(出典:ウェブアクセシビリティ基盤委員会)
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青を主役にしたアクセントカラーと警告色の使い分け

青を主役にするときに迷いやすいのが、「ほかに何色を足すか」「警告色をどこまで強くするか」です。
ここでは、アクセントカラーと警告色の役割を切り分けながら、青と相性の良い組み合わせを整理していきます。
青+1色のシンプル構成で迷わないためのアクセントカラー候補
まずは、青と相性の良いアクセントカラーをひとつだけ決めると、資料全体の配色設計が簡単になります。
代表的には、オレンジ・黄色・青緑などが候補になり、いずれも青と補色〜近似色の関係でバランスを取りやすい色です。
ただし、アクセント色は「少量に絞る」ことがポイントで、強調したい数字やボタン、図の一部にだけ使うくらいがちょうどよくなります。
ここがポイント:
まずは「青+オレンジ」か「青+黄」をベースに決めて、資料ごとにアクセント色を増やさないことを意識すると、配色が安定します。
ネガティブ・リスク情報には赤系をどう組み合わせるか
ネガティブな情報やリスクを示すときには、赤系の色を使いたくなる場面が多くなります。
このとき、真っ赤な原色を全面に使うと強すぎてしまうので、少し暗めのレッドやダークオレンジで抑えたトーンにするのがおすすめです。
表やグラフでは、リスクの行や列だけ背景に淡い赤を敷き、文字は濃いグレーにするなど、「読みやすさを優先しつつ注意を促す」使い方が安心です。
意外な落とし穴:
ネガティブ情報に赤を使いすぎると、資料全体が「危ない印象」になりすぎてしまうので、あくまで要点だけに限定することが大切です。
強調しすぎを防ぐための「アクセント色の使用量」の目安
アクセント色は、全体の10%程度までに抑えると「必要なところだけ目立つ」状態を維持しやすくなります。
ページ数が多い資料では、1枚あたりのアクセント量ではなく、「1資料全体で何カ所アクセントがあるか」を意識すると、使いすぎを防ぎやすくなります。
特に、アクセント色と警告色が別の色の場合は、それぞれの使用頻度を決めておくと、資料全体の印象が安定してきます。
失敗しないコツ:
「アクセント色は1スライド2カ所まで」といった自分ルールを作っておくと、強調しすぎを防ぎやすくなります。
KPIや重要数値を色で目立たせるときの控えめな演出
重要なKPIや達成率を色で目立たせる場合でも、色だけに頼らず「フォントサイズ」「太字」「余白」で視線を集めるのが基本です。
青ベースの資料なら、KPIの数字だけロイヤルブルーにし、周辺は標準ブルーやグレーで抑えると、過度に派手にならずに目立たせられます。
数値の背景に濃い色を敷くときは、文字色とのコントラストを十分に確保したうえで、面積を小さめに抑えておくと読みやすさを維持できます。
判断の基準:
「色を変えなくてもパッと目に入るか」を先にチェックし、足りない部分を色で補うくらいの感覚がちょうど良いバランスになります。
【青を軸にしたアクセントカラーと用途の対応表】
| ベースの青 | アクセントカラー候補 | 主な用途 | 印象の方向性 |
|---|---|---|---|
| 標準的なブルー | オレンジ | 営業資料のCTA・価格 | 行動を促しつつも信頼感を維持 |
| 標準的なブルー | 黄色 | 重要なお知らせ・期日 | 注意を促しつつ柔らかい印象 |
| ネイビー | ダークオレンジ | 投資家向けの差分強調 | 重厚さを保ちつつ重要点を示す |
| ライトブルー | 青緑 | 研修資料やUX説明 | 柔らかく知的な印象を演出 |
(出典:デジタル庁)
※本内容は執筆時点。最新情報は公式サイト確認。
色覚多様性とアクセシビリティに配慮したビジネス配色

ビジネス資料では、できるだけ多くの人にとって読みやすい配色にしておくことが重要です。
ここでは、色覚多様性やアクセシビリティの観点から、青ベース配色で意識したいポイントを整理します。
JIS X 8341-3とWCAGが求めるコントラスト比の考え方
JIS X 8341-3やWCAGでは、文字と背景のコントラスト比や、色に頼りすぎない情報設計が推奨されています。
ビジネス資料でも、数字や重要なテキストは、色だけで状態を区別せず、文字や記号、位置関係も組み合わせて伝えるのが安心です。
特に、グラフや表で色分けをするときは、「色+線の種類+凡例ラベル」の三つを組み合わせる意識が役立ちます。
補足:
ウェブサイト向けのガイドラインですが、プレゼン資料にもそのまま応用できる考え方なので、基準として押さえておくと配色の判断軸になります。
避けたい色の組み合わせと、代わりに使いやすい組み合わせ
代表的な例として、赤と緑だけでの区別は色覚タイプによっては認識しにくくなる可能性があります。
そのため、「赤と緑」で区別していた部分を、「青とオレンジ」「青と濃いグレー」などの組み合わせに置き換えると、識別しやすさが向上します。
グラフの系列を複数色で区別するときは、色相だけでなく、明るさや線種も変えておくとより安心です。
見逃せないのが:
「赤=悪い」「緑=良い」という固定観念にとらわれず、青とオレンジ、青とグレーなど、識別しやすい組み合わせを優先することが大事になります。
色だけに頼らない情報設計(線種・記号・レイアウト)
色覚多様性に配慮するには、「色以外の手段」を増やすことが近道です。
折れ線グラフなら、線の種類を実線・点線・破線で分け、バーグラフなら塗りのパターンやハッチングで差をつけることができます。
表の中では、重要なセルにアイコンや矢印を添えたり、太枠で囲ったりするなど、色以外の手がかりを増やすと理解しやすくなります。
実践ポイント:
「色がなくても意味が通じるか」を一度イメージしてみると、自然と線種やレイアウトでの工夫が増えていきます。
チェックツールを使った配色のセルフチェック手順
配色チェックツールやシミュレーターを使うと、色覚タイプ別の見え方をある程度確認できます。
手順としては、まず現在の配色をツールで確認し、識別しづらい色の組み合わせがないかをチェックします。
次に、青とオレンジ、青とグレーなど、識別しやすい組み合わせに置き換えた案を試し、最終的な配色を決めていくと安心です。
1分で要点:
配色に不安があるときは、完成後に一度チェックツールを通し、「識別しづらい」「コントラスト不足」の箇所だけ色を差し替えると効率よく改善できます。
【色覚多様性に配慮しやすい色の組み合わせ例】
| 分けたい状態 | 推奨される組み合わせ例 | 避けたい組み合わせ例 | コメント |
|---|---|---|---|
| 良い/悪い | 青 × オレンジ | 緑 × 赤 | 色相と明るさの両方に差が出る組み合わせが安心 |
| 現状/目標 | ネイビー × グレー | 赤 × 紫 | 色だけでなく線の種類も変えるとより識別しやすい |
| A案/B案 | 濃い青 × 青緑 | 赤 × オレンジ | 近い色相同士は避け、明度差も意識する |
(出典:デジタル庁)
※本内容は執筆時点。最新情報は公式サイト確認。
すぐ使える青ベース配色レシピ|シーン別サンプル

ここまでの考え方を、そのまま実務で使える形に落とし込んだ「レシピ」としてまとめておきます。
自分の資料の目的に近いパターンを選んで、そのままスライドマスターに反映していくイメージで使ってください。
営業ピッチ資料向けの青ベース配色レシピ
営業ピッチ資料では、信頼感と行動喚起の両方を意識した配色が相性の良い組み合わせになります。
ベースは白、見出しとグラフ主系列をロイヤルブルー、CTAや料金部分だけをオレンジにする構成が扱いやすいです。
背景に大きな青ベタを敷きすぎず、「白地に青とオレンジが乗っている」状態をキープすることで、読みやすさとメリハリを両立できます。
ここがポイント:
営業ピッチでは、オレンジを「今すぐ行動してほしい箇所だけ」に絞ることで、自然と視線が集まりやすくなります。
投資家向け・IR資料向けの青ベース配色レシピ
投資家向け資料では、ネイビーをベースにした落ち着いた配色が基本ラインになります。
背景はごく薄いグレー、タイトルや章タイトルにネイビー、グラフの主系列にもネイビーを使い、差分だけダークオレンジで強調するイメージです.
文字色は黒に近い濃いグレーにしておくと、長い年月日の数字や注釈も読みやすくなります。
結論:
IR資料では「薄いグレー+ネイビー+控えめなダークオレンジ」の3点セットにしておくと、どのスライドでも安定した印象を保ちやすくなります。
社内報告・定例会議スライドの青ベース配色レシピ
社内報告や定例会議では、毎月・毎週読む人も同じことが多いため、「疲れにくさ」がとても重要です。
背景を白、見出しを標準的なブルー、グラフの主系列を同じブルー、比較系列をグレーにするシンプルな構成が扱いやすいです。
注意喚起したい箇所だけレッド系を使い、その他の部分はグレーと青で淡々と整理するくらいがちょうど良いバランスになります。
要点まとめ:
社内資料では「青とグレーをメイン」「赤は困ったところだけ」という方針にしておくと、継続的に読みやすい配色を維持できます。
研修・勉強会資料の青ベース配色レシピ
研修や勉強会の資料では、参加者が集中し続けられるように、落ち着きと適度な親しみやすさの両方が求められます。
ベースは白やごく薄いグレーにし、タイトルや重要なキーワードをライトブルー〜標準ブルーで色分けすると、堅すぎず柔らかすぎない印象になります。
イラストや図解が多い場合も、色数を絞って「青系+アクセント1色」に留めると、内容に集中しやすくなります。
アドバイス:
研修資料では、スライドによって配色を大きく変えず、「全体として青系の世界観」で統一しておくと、受講者が迷いにくくなります。
【シーン別・青ベース配色レシピ早見表】
| シーン | ベースカラー | 青系の使い方 | アクセント・警告色 | 一言メモ |
|---|---|---|---|---|
| 営業ピッチ | 白 | ロイヤルブルーで見出しと主系列 | オレンジでCTAと価格 | 行動喚起を意識した配色 |
| 投資家・IR | 薄いグレー | ネイビーでタイトルと主系列 | ダークオレンジで差分 | 落ち着きと信頼感を最優先 |
| 社内報告 | 白 | 標準ブルーで見出しと主系列 | レッド系は最小限 | 読みやすさと継続性を重視 |
| 研修・勉強会 | 白 | ライト〜標準ブルーでキーワード | 必要に応じて青緑など少量 | 柔らかさと集中しやすさを両立 |
(出典:デジタル庁)
※本内容は執筆時点。最新情報は公式サイト確認。
ビジネス資料の配色でよくある失敗とリメイクのコツ
青ベース配色の基本を押さえても、実際の資料では「なんとなく見づらい」「うるさく感じる」といった違和感が出てくることがあります。
ここでは、よくあるパターン別に、どこを直せば整うのかを整理します。
原色の使いすぎ・カラフルすぎで「資料がうるさい」ケース
複数の鮮やかな色を同じ強さで並べると、どこが大事なのか分からなくなってしまいます。
この場合は、まず彩度の高い色を「アクセント1色」に絞り、その他の色をグレーや淡いトーンに置き換えるだけでも印象が落ち着きます。
特に、グラフで5色以上の原色を使っている場合は、青とグレーを中心に組み替えてみると、一気に整理されて見えることが多いです。
要点:
「色数を減らす」「彩度を下げる」「青とグレーを基準にする」という3つのステップで整えていくと、短時間でリメイクしやすくなります。
背景が濃すぎる・コントラスト不足で「読みにくい」ケース
背景が濃い青や濃い色で埋め尽くされていると、文字が読みにくくなるだけでなく、印刷時にも情報がつぶれやすくなります。
この場合は、本文スライドの背景を白かごく薄いグレーに戻し、青は見出し帯や区切り線にだけ使うように配置を変えるのが近道です。
タイトルスライドだけ青背景にして、「本編は白地に青文字」に切り替えるだけでも、読みやすさは大きく改善します。
注意点:
背景を明るくするだけで改善するケースが多いので、「フォントを変える前に背景の明るさを見直す」という順番で調整していくと効率的です.
ブランドカラーを無理に全面に使ってしまうケース
ブランドカラーが強い赤や緑の場合、それを全面に使うと配色がきつく感じられることがあります。
このときは、ブランドカラーをロゴとタイトル、見出し線など限られた場所にとどめ、本文は青とグレーを中心に組み立てる方法が有効です。
ブランドカラーと青を両立させるなら、「ブランドカラー=印象づけ」「青=読みやすさ」の役割分担にしておくと、資料としても安定します。
覚えておきたい:
ブランドカラーは「ここぞ」という場所だけに使い、日常的な報告資料は青とグレーをベースにするほうが、読む側の負担は小さくなります。
1枚だけアクセントが強すぎるスライドを整える手順
本編の中に1枚だけ極端に派手なスライドがあると、そこだけトーンが浮いてしまいます。
その場合は、まずそのスライドで使われているアクセント色を、資料全体で使っているアクセントと同じトーンに揃えます。
次に、背景や図形の塗りを減らし、文字やグラフを青とグレーで整えることで、全体の世界観と揃えることができます。
一言まとめ:
違和感のあるスライドは、「色を足す」のではなく「色の種類と彩度を減らす」方向で調整すると、全体になじみやすくなります。
まとめ
ビジネス資料の配色は、センスの問題というより、役割分担とルールの決め方で大きく変わります。
特に青は、信頼感や落ち着きを伝えつつ、白やグレーと組み合わせることで読みやすさを保ちやすい、ビジネス向けの軸になる色です。
この記事で紹介したように、ベースカラー・アクセントカラー・警告色の3つに役割を分け、「青はアクセント〜サブカラーとして使う」考え方にすると、配色の判断がシンプルになります。
あわせて、コントラスト比4.5:1以上を目安に、文字と背景の明暗差をしっかり確保しておくことで、長時間の閲覧でも疲れにくい資料になります。
最後に、シーン別の青ベース配色レシピをひとつ選び、自分のスライドマスターに反映しておくと、次からの資料作成がぐっと楽になります。
まずは、現在よく使う資料のテンプレートを一度見直し、「青のトーン」と「アクセント色の量」から整えてみてください。
よくある質問(FAQ)
Q. ビジネス資料では、青色はどのくらいの割合で使うのがちょうどいいですか?
A. 全体の20%前後を目安に、見出しやグラフの主系列などに集中させる使い方がおすすめです。残りは白や薄いグレーで土台を作り、警告色は10%以下に絞るとバランスが取りやすくなります。
Q. 青以外のベースカラー(白・グレーなど)と組み合わせるときのコツはありますか?
A. ベースは白かごく薄いグレーに固定し、青は「線と文字」に回すイメージにすると安定します。背景を青にすると一気に重くなるので、本文スライドではベースを明るく保つことが大事です。
Q. 青背景に白文字のスライドは、ビジネスでも使って大丈夫でしょうか?
A. タイトルや章区切りのスライド1枚程度なら問題ありませんが、本文スライドでは避けるのが無難です。長時間のプレゼンでは目が疲れやすくなるため、本文は白背景に濃い文字色を基本にしたほうが読みやすくなります。
Q. 投資家向けプレゼンと営業資料で、青のトーンは変えたほうがいいですか?
A. 投資家向けや経営層向けではネイビー寄り、営業資料では標準的なブルーやロイヤルブルー寄りに分けるのがおすすめです。前者は重厚感と安定感、後者は信頼感と行動喚起のバランスを意識すると選びやすくなります。
Q. 色覚多様性に配慮した配色を簡単にチェックする方法はありますか?
A. 配色チェックツールやシミュレーターを使い、赤×緑など識別しづらい組み合わせがないかを確認するのが近道です。あわせて、色だけでなく線種や記号でも情報を区別するようにしておくと、より安心です。
Q. 印刷用の資料とオンライン共有用の資料で、配色を変えるべきタイミングはいつですか?
A. 印刷してみて「淡い色が飛んでいる」「文字が薄い」と感じたら配色調整のタイミングです。オンラインでは問題なくても印刷ではコントラストが下がることが多いので、重要な資料は必ず紙で一度確認すると安心です。
Q. コーポレートカラーが青ではない場合でも、信頼感を出す配色は作れますか?
A. ブランドカラーをロゴやタイトル周りに限定し、本文部分を青とグレーで組むことで信頼感を補うことができます。「ブランドカラー=印象づけ」「青=読みやすさ」という役割分担を意識すると、両立しやすくなります。
参考文献・出典
- ウェブアクセシビリティ基盤委員会「Web Content Accessibility Guidelines (WCAG) 2.1 日本語訳」
- WAIC「達成基準 1.4.3: コントラスト (最低限) を理解する」
- デジタル庁「カラー(アクセシビリティ) – デジタル庁デザインシステム」
- デジタル庁「ウェブアクセシビリティ導入ガイドブック」
- Broeder, P.「Persuasive colours for trust in E-commerce」Journal of Marketing Communications




