お正月が近づくと、鏡餅を買ったものの「どの順番でどう並べればいいんだろう」と迷いやすいですよね。鏡餅の飾り方や順番は、実は昔から決まった基本形があって、それさえ押さえれば難しくありません。いきなり完ぺきを目指す必要もないので、今年は“これだけやれば形になる”ラインから見ていきましょう。
たとえば、次のようなことが気になっていませんか。
「三方も四方紅もないけど、家にあるお盆で代用していいのかな?」
「飾り始めるのは28日がいいって聞くけど、29日や31日は本当にダメ?」
「神棚も床の間もないマンションだと、どこに置くのが正解なんだろう?」
そんな不安をほどいておくと、年末の準備がぐっとラクになります。
- 今年から鏡餅の基本の順番を迷わず再現できる
- 自分の地域に合った飾る時期と鏡開きの日が分かる
- マンションや賃貸でも失礼にならない置き場所を選べる
昔からの考え方をベースにしつつ、今の暮らしに合わせた“現実的な正解”も交えながら、一緒に整理していきましょう。
鏡餅の飾り方と順番の基本(まずは「これだけ」でOK)

最初に知っておきたいのは、「正式な形」と「今年から無理なくできる最小セット」を分けて考えることなんです。全部そろえられたら理想的ですが、ポイントを押さえれば簡易版でもきちんとお正月の形になります。
ここを押さえておくと、「どこまで省略しても大丈夫か」が分かるようになるはず。順番に見ていきましょう。
最低限そろえたい鏡餅セットと全体像
いきなり細かい作法に入る前に、「これが基本のワンセット」という全体像をイメージしておくとグッと分かりやすくなります。
一般的な基本セットは、次のようなイメージです。
| 位置 | もの | 役割のイメージ |
|---|---|---|
| 一番下 | 三方(またはお盆・台) | 神さまへの台座 |
| 紙 | 四方紅・奉書紙・半紙 | 台と餅の間を清める |
| 紙の上 | 裏白・譲り葉 | 家族の長寿・家の継続を願う葉 |
| 中央 | 二段の丸餅 | 年神様が宿る「本体」 |
| 中~上 | 昆布・紙垂など | 縁起物・清めの飾り |
| 一番上 | 橙(だいだい) | 代々続く繁栄の願い |
「全部そろえないとダメなのかな」と心配になるかもしれませんが、一般的には
- 二段の鏡餅
- 台になるお盆やお皿
- 紙(白い紙や半紙)
- 柑橘(橙が理想だが、みかんやプラ製でも可)
このあたりがそろっていれば、最低限の形は作れます。裏白や譲り葉、昆布などは、余裕があれば足していくイメージで大丈夫なんですよ。
「正式版」と「今年できる範囲」を分けて考えると、準備が一気にラクになります。
まずは、自分の家にあるものを思い浮かべながら、どこまで揃えられそうか確認してみてください。
正式な飾り方の順番|三方〜橙・昆布までステップ解説
次に、「正しい順番」をひとつの流れとして押さえておきましょう。細かく見えても、実際にやることはそこまで多くありません。
飾る順番は、おおまかにいうと次のステップです。
- 台を置く(三方・折敷・お盆など)
- 紙を敷く(四方紅・奉書紙・半紙など)
- 紙の上に裏白を置く
- 裏白の上に譲り葉を重ねる
- 大きい丸餅を置く
- その上に小さい丸餅を重ねる(二段重ね)
- 餅の上や間に昆布・紙垂などを添える
- 一番上に橙を乗せて仕上げる
イメージしやすいように、順番と意味を簡単に整理してみます。
| 順番 | 置くもの | 一言イメージ |
|---|---|---|
| 1 | 三方・台 | 神さまへの「特別席」 |
| 2 | 四方紅・紙 | 清めと災い除け |
| 3 | 裏白 | 清らかな心・夫婦円満 |
| 4 | 譲り葉 | 代々続く家の繁栄 |
| 5 | 大きい餅 | 大きな「年」を受け止める土台 |
| 6 | 小さい餅 | 今年重ねる新しい年 |
| 7 | 昆布・紙垂など | 喜び・清めのしるし |
| 8 | 橙 | 子孫繁栄・代々続く家 |
実際に飾るときは、「台 → 紙 → 葉 → 餅 → 飾り → 橙」という流れさえ頭に入っていれば、そこまで迷いません。細かい向きや枚数は地域差もあるので、あまり神経質になりすぎなくて大丈夫です。
ここを押さえておくと、次の「それぞれの飾りの意味」も入ってきやすくなります。
各飾りの意味一覧|願いごとと結びつけて覚える
飾りひとつひとつの意味を知っておくと、「なんとなく置く」から「願いを込めて飾る」に変わるんですよね。難しい言い方は置いておいて、どんな願いに対応しているかで覚えるのがおすすめです。
| 飾り | 主な意味 | どんな願いに近いか |
|---|---|---|
| 裏白 | 心に裏がない/長寿/夫婦仲 | 家族みんな健やかに長く暮らしたい |
| 譲り葉 | 新しい葉が出てから古い葉が落ちる=代替わり | 子どもや孫へ、家が続いていくように |
| 橙 | 「代々」に通じる/実が長く木に残る | 家が代々繁栄しますように |
| 昆布 | 「喜ぶ」の語呂合わせ/おめでたい食材 | うれしいことがたくさん起きますように |
| 紙垂 | 神さまをまつる清めの紙 | 悪いものを寄せつけないように |
| 四方紅 | 四方の縁を紅で囲って災い除け | 一年を通して平穏でありますように |
「これは何のためにある飾りなんだろう」と思っていたものも、意味とセットで覚えると、家族にも自然と説明できるようになります。
特に、小さなお子さんがいる家庭では、「この橙はね、“代々元気で暮らせますように”っていう意味なんだよ」など、一言そえてあげるだけでも、行事への印象がぐっと変わります。
市販のプラスチック鏡餅を飾る時の注意ポイント
最近は、スーパーやコンビニで売っているプラスチック容器入りの鏡餅を使う家庭も多いですよね。手軽で衛生的ですが、「ケースから出すべき?」「中の切り餅はどうするの?」と迷うところかもしれません。
よくあるやり方を、シンプルにまとめるとこんな感じです。
- 容器ごとそのまま三方やお盆に乗せて飾る
- 容器の下に半紙や四方紅の代わりの紙を敷く
- 飾りの橙や飾り紐は、そのまま活かす
- 鏡開きのタイミングでケースから切り餅を取り出し、食べる
もしケースの見た目が気になる場合は、次のようなアレンジもあります。
- 容器ごと白い布や紙で包み、上だけ見えるようにする
- 容器の上に、小さな本物のみかんや橙を乗せて“二重に”飾る
- ケース入りをメインにしつつ、別に小さな生餅の鏡餅を玄関などに飾る
大切なのは、「年神様へのお供えを整える気持ち」なので、市販の鏡餅だからといって失礼にあたるわけではありません。暮らしに合う形を選べるのは、今の時代ならではの良さといえそうです。
正式な形を意識しつつ、市販品とうまく折り合いをつけるのが、続けやすさのコツです。
飾り方の流れが見えてきたところで、次は「いつ飾るか」「いつ下げるか」というスケジュールを整理していきましょう。
鏡餅を飾る時期と鏡開きの日|関東・関西の違いも整理
飾り方と並んでよく聞かれるのが、「いつからいつまで飾ればいいの?」という疑問です。時期には地域差があるので、ざっくりでも自分のエリアの考え方を押さえておくと安心なんですよね。
ここでは、縁起の良い日・避けたい日・鏡開きのタイミングをまとめて見ていきます。
いつ飾り始める?縁起の良い日と避けたい日
年末の予定を立てるときに、まず目安にしたいのが「飾り始めの日」です。一般的には、次のような考え方がよく知られています。
- 12月13日以降なら飾ってもよいとされる
- 実務的には、12月28日ごろに飾る家庭が多い
- 29日は「二重苦」「苦」に通じるとして避けられがち
- 31日は「一夜飾り」といって、急ごしらえで失礼とされることが多い
とくに意識されるのは、28日・29日・31日の3つです。
| 日付 | イメージ | 一般的な扱い |
|---|---|---|
| 12月28日 | 末広がりの「八」が入る | 縁起が良いのでおすすめ |
| 12月29日 | 「二重苦」「苦」との語呂 | できれば避けることが多い |
| 12月31日 | 一夜飾り | 慌てて飾る印象で避けられやすい |
とはいえ、仕事の都合で28日までに飾れないこともありますよね。その場合は、30日に整えるケースもあります。「完ぺきでないと意味がない」というよりは、「無理のない範囲で、できるだけ早めに整えておく」という感覚でとらえると良さそうです。
どうしても29日・31日しか時間が取れない年もあるものです。そのときは、「来年はもう少し早めに準備しよう」くらいの気持ちで、慌てずに整えておくと心が軽くなります。
いつまで飾る?松の内と鏡開きの日付
次に気になるのが、「いつ片づけるか」というタイミングです。ここは、関東と関西で考え方が分かれやすいポイントなんですよ。
ざっくりまとめると、次のようなイメージです。
| 地域の目安 | 松の内 | 鏡開き |
|---|---|---|
| 関東 | 1月7日まで | 1月11日 |
| 関西(大阪など) | 1月15日まで | 1月15日または20日ごろ |
| 京都など一部地域 | 1月15日まで | 1月15日を重視する傾向 |
「松の内」というのは、門松やしめ飾りなどを飾っておく期間のこと。年神様が家にいらっしゃる期間、というイメージでとらえられることも多いです。
その松の内が終わったあとに行うのが「鏡開き」。関東では11日、関西では15日前後という流れがよく使われています。
平日に当たる場合、週末に少しずらして家族で鏡開きを行う家庭も増えています。大切なのは、「お供えした鏡餅をいただく時間をちゃんととること」なので、カレンダーと相談しながら無理のない日を選んでみてください。
住んでいる地域の習慣をベースにしつつ、家族の予定に合わせて無理なく続けられる形にするのが一番です。
鏡開きのやり方とNGマナー
鏡開きの日が決まったら、当日の流れも軽くイメージしておきたいところです。特別な道具が必要なわけではなく、いくつかのポイントを押さえれば十分なんですよ。
鏡開きの基本的な考え方は、次の3つです。
- 刃物を使わない
- 「割る」ではなく「開く」と表現する
- 分けた鏡餅は、家族でありがたくいただく
刃物を使わないのは、武家社会の名残で「切る」行為が切腹を連想させるためといわれています。そのため、木槌やすりこぎ棒、手で割るなどの方法が一般的です。
カチカチになった鏡餅は、無理に大きな塊のまま砕こうとせず、少しずつ力をかけて小さめにしていくと割りやすくなります。どうしても固すぎる場合は、事前に少しだけ水を含ませておく家庭もあります。
開いたあとの食べ方としては、
- お雑煮
- おしるこ
- きなこ餅
- 揚げ餅(おかき風)
などが定番です。細かく割ったものを干しておいて、揚げるという楽しみ方もあります。
一方で、「カビが広がっている部分は無理に食べない」「捨てる場合は、感謝の気持ちと一言のあいさつを添える」ことも大切なポイントです。
飾る時期と片づけの流れが見えてきたところで、次に気になるのは「どこに置くか」ですよね。ここからは、置き場所の選び方を見ていきましょう。
鏡餅を飾る場所の選び方|神棚・床の間がない家の現実解
鏡餅の置き場所は、「神棚や床の間がないから正解が分からない」という声がとても多い部分です。昔ながらの和室がない家も増えているので、今の暮らしに合わせた考え方にアップデートしておくと安心かなと思います。
基本の考え方と、マンション・賃貸でも実践しやすい置き場所のアイデアを整理してみましょう。
基本の置き場所|神棚・床の間・仏壇・リビング
昔ながらの考え方で「正統派」とされるのは、次のような場所です。
- 神棚
- 床の間
- 仏壇の前
これらに共通しているのは、
- 清潔で片づいている
- 静かで落ち着いた空間
- 少し高い位置にある
という条件です。つまり、「年神様にゆっくりいていただく場所」としてふさわしいかどうかが軸になっている、ということなんですよね。
今の住宅事情では、神棚や床の間がないことも多いので、
- リビングのサイドボードの上
- ダイニングの棚の上
- 家族が普段よく集まるテーブルの一段高い場所
などを“現代の床の間”として選ぶ家庭も増えています。
避けたいのは、
- 足元のような低すぎる場所
- 散らかりがちな場所のすき間
- ゴミ箱のすぐそば
- 直接人がまたぐような動線の真上
といった、「神さまの居場所として落ち着かないイメージの場所」です。
目安としては、立ったときに目線より少し高い位置を意識してみると、自然とふさわしい場所が絞られてきます。
マンション・賃貸・ワンルームでの飾り方のコツ
神棚や床の間がない住まいでは、「どこに置いても何となくしっくりこない」という声もよく聞かれます。そんなときは、場所そのものではなく「条件」で考えてみると選びやすくなります。
おすすめの条件は次の3つです。
- 家族や自分がよく過ごす場所から見える
- 高さがあり、足元にならない
- 家の中心に近い、または「ここを守ってほしい」と思う場所
具体的には、こんな置き方がしやすいです。
- テレビボードの端に小さな台を置き、その上に鏡餅を飾る
- 本棚の一段を“床の間コーナー”にして、鏡餅と小さな松飾りを並べる
- ワンルームなら、机やカウンターの端に少し高さのあるトレーを置いて飾る
逆に、マンションで避けられがちなのは、
- 直射日光が強く当たりすぎる窓際(餅が劣化しやすい)
- エアコンの風が直撃する場所
- 冷蔵庫の上で、油や湿気がたまりやすいキッチンの奥
などです。縁起だけでなく、実際にカビやひび割れが出やすい環境でもあるので、少し離れた位置を選ぶと安心です。
台所・玄関・子ども部屋など複数箇所に飾る場合の考え方
鏡餅は、家の中にひとつだけでなく、台所や玄関、子ども部屋などに「小さめの鏡餅」を複数飾る家庭もあります。それぞれの場所に込める願いを意識すると、飾る意味がよりはっきりしてきます。
たとえば、次のようなイメージです。
| 場所 | よく込められる願い | サイズの目安 |
|---|---|---|
| 神棚・リビング | 家全体の安泰・家族円満 | 大きめまたは標準サイズ |
| 台所 | 火の守り・家内安全 | 小~中サイズ |
| 玄関 | 家全体のお迎え口・厄除け | 小さめの鏡餅 |
| 子ども部屋・勉強机 | 成長・学業成就・健康 | ミニ鏡餅 |
| 仕事部屋・書斎 | 仕事運・商売繁盛 | 小さめの鏡餅 |
「家の中心に一つ、大黒柱として」「その他の場所に小さな分社のように」とイメージすると、バランスを取りやすくなります。
たくさん飾ればよい、というよりは、「この場所を見守ってほしい」という気持ちがある場所だけに絞るのもひとつです。数が増えると管理も大変になるので、無理のない範囲で考えてみてください。
置き場所のイメージがつかめてきたら、「そもそも鏡餅ってどういう由来のものなのか」も少しだけ知っておくと、飾るときの気持ちが変わってきます。
鏡餅の由来と飾りの意味をもう少しだけ深掘り
ここからは、少し視点を変えて「なぜ鏡餅を飾るのか」「地域によって飾りが違うのはなぜか」という背景を見ていきます。由来を知ると、同じ動作でも感じ方が変わるものなんですよね。
鏡餅を飾る理由|年神様の依り代という考え方
鏡餅は、単なるおめでたい飾りというより、「年神様に来ていただく場所」としての役割を持っています。ここが、一番大事なポイントです。
- 年神様は、お正月に各家にやってくる神さま
- その年の豊作や家族の健康をもたらす存在
- 鏡餅は、その神さまが宿る「依り代」とされる
丸い形には、いくつかの意味が重ねられています。
- 昔の銅鏡の形(=神さまに関わる道具)
- 太陽や月を表す円
- 「円満」に通じる形としての丸
二段重ねになっているのは、「過ぎた年」と「来る年」が重なるイメージともいわれます。「福が重なる」「めでたさが重なる」というニュアンスでとらえられることも多いです。
そして、その素材であるお米は、日本では古くから神さまへの大切なお供えとして扱われてきました。鏡開きでそのお餅をいただくのは、「年神様から力を分けていただく」という感覚に近い行為とされているんです。
飾る・下げる・食べるという一連の流れには、感謝と願いの循環が込められていると考えると、毎年の行事が少し特別に感じられてきます。
関西風・三段重ね・串柿やするめなど地域の飾りの特徴
鏡餅は全国で飾られていますが、その飾り方には地域ごとの特徴があります。特に目立つのが、関西を中心に見られる三段重ねや、飾り物の違いです。
代表的な違いを、少しだけピックアップしてみます。
- 三段重ねの鏡餅
→「三世代」「天・地・人」「過去・現在・未来」などを表すとされる
→ 近畿地方の一部では、三段が一般的な地域もある - 串柿
→ 干し柿を串に刺した飾り
→ 実の数に意味を持たせる地域もあり、子孫繁栄や五穀豊穣の象徴とされる - するめ・昆布
→ どちらも縁起物の食材
→ かみしめるほど味が出るするめは、「じっくり味わう人生」になぞらえることもある - 勝栗(かちぐり)
→ 乾燥させた栗
→ 勝負事や仕事での「勝ち」を願う意味合いも込められる
こうした飾りは、「絶対にこうでないといけない」というより、その土地の信仰や暮らし方が反映されたものなんです。自分の生まれ育った地域の飾りに少し寄せてみるのも、さりげないこだわりになりそうですね。
餅花や小さな供え餅など、鏡餅まわりの正月飾り
鏡餅の周りには、ほかにもいくつかのお正月飾りが並ぶことがあります。その代表が「餅花(もちばな)」や、小さな供え餅です。
- 餅花
→ 柳などの枝に小さな餅や団子をつけた飾り
→ 田畑の実りや商売の繁盛を願う意味を持つ
→ 雪深い地域では、室内に春の訪れを先取りする飾りとしても親しまれてきた - 小さな供え餅
→ 台所や水回り、仕事場などに置くミニサイズの鏡餅
→ それぞれの場所を守っていただくイメージ - 花や松との組み合わせ
→ 鏡餅の横に、松や南天、千両などを生けた花を置く
→ 空間全体で「新年を迎える場」を演出する役割もある
餅花や花を組み合わせると、見た目にも華やかで写真映えする飾りになります。とはいえ、飾りが増えすぎると管理も大変なので、暮らしのリズムに合う範囲で取り入れていくのが良さそうです。
由来や地域差を踏まえたうえで、最後に「どうすれば失敗しにくいか」「片づけはどうするか」という実務的なポイントも押さえておきましょう。
初心者でも失敗しにくい工夫と片づけ・処分のポイント
ここからは、「最初の年にありがちな困りごと」を少し先回りしておきます。四方紅が用意できない、カビが心配、飾りの処分に迷う…といったポイントを押さえておくと、かなり安心感が違うはずです。
四方紅がない時の半紙の使い方とサイズ感
四方紅(しほうべに)は、周りが赤く縁どられた紙で、正式な鏡餅飾りではよく使われます。ただ、一般のスーパーなどではなかなか手に入りにくいことも多いんですよね。
そんなときに頼りになるのが、半紙や白いコピー用紙です。
使い方のポイントは、このあたりです。
- 三方やお盆より一回り大きく切る
- 鏡餅が中央に乗るようバランスを見ながら敷く
- 四角い紙の角が手前に来るように置くと、見た目がきれいにまとまりやすい
もし雰囲気を出したい場合は、紙の縁を赤いペンで細く縁取る方法もあります。あくまで簡易的な工夫ですが、四方紅の「四方を紅で囲って災いを防ぐ」というイメージを少しなぞることができます。
特別な道具がなくても、「整えようとする意識」が何より大事な部分です。
カビさせないための置き場所・室温・サイズ選び
鏡餅の悩みでよく聞かれるのが、「カビが怖い」という声です。特に暖房の効いたリビングに飾る場合は、どうしても乾燥や温度の影響を受けやすくなります。
カビを抑えたいときのポイントは、次のようなところです。
- 暖房の風が直接当たらない場所を選ぶ
- 直射日光を避ける
- あまり大きすぎないサイズを選ぶ
- 可能であれば、市販の包装済み鏡餅を活用する
生餅の鏡餅を選ぶ場合、家族の人数と食べきれる量をイメージしてサイズを決めておくと安心です。大きすぎると、食べきれない上にカビも出やすくなってしまいます。
どうしてもカビが心配なときは、
- メインはパック入りの鏡餅にする
- 小さめの生餅の鏡餅を、比較的涼しい場所に飾る
という組み合わせもひとつの方法です。見た目と実用性のバランスをとりながら、自分の家に合う形を探してみてください。
飾ったあとの鏡餅と飾りの処分方法
最後に、飾り終わったあとの扱い方です。鏡餅と、周りの飾りでは扱い方が少し変わるので、分けて考えると迷いにくくなります。
鏡餅(餅そのもの)
- 鏡開きの日に小さく割り、加熱してから食べる
- カビが出ている部分は広めに取り除き、無理はしない
- 全体的にカビだらけの場合は、食べるのをあきらめる選択も大切
飾り(裏白・譲り葉・紙・しめ飾りなど)
- 神社の「どんど焼き」や、お焚き上げの行事に持っていく
- 参加が難しい場合は、感謝の気持ちを込めてから家庭ごみとして処分することもある
家庭で処分する場合は、
- きれいな紙に包む
- 軽く塩で清める
- 「一年間守ってくださってありがとうございました」と一言そえる
といった形で、気持ちを込めて手放す家庭も多いです。
最後までていねいに関わることで、次のお正月にも気持ち良く鏡餅を迎えやすくなります。
ここまでで、一連の流れはだいぶ見えてきたと思います。仕上げに、よくある疑問をQ&A形式で整理しておきましょう。
よくある質問(FAQ)
Q. 鏡餅の橙はみかんで代用しても大丈夫?
A. 橙が理想ですが、みかんで代用することもよくあります。 入手しやすさを考えると、一般の家庭ではみかんやプラスチックの橙を使う場合も多く、気持ちを込めて飾ることの方が大切といえます。
Q. 三方がない場合はどんな台を使えばいい?
A. きれいなお盆や木製トレーなどで十分代用できます。 その上に半紙や紙を敷き、少し高めの位置に置けば、神さまへの台座として失礼のない形になると考えられます。
Q. プラスチックの鏡餅はケースのまま飾ってもよい?
A. ケースのまま飾る方法が一般的です。 その下に紙を敷き、台の上に置けば見た目も整いますし、衛生面でも扱いやすいので、忙しい家庭には現実的な選択肢になりやすいです。
Q. 29日・31日にしか飾れない時はどうすればいい?
A. 避けるのが理想ですが、無理せず整えることも一つの考え方です。 毎年のスケジュールの中で、翌年以降はもう少し早めに準備することを意識しつつ、その年は感謝の気持ちを込めて飾る形も現実的です。
Q. 玄関にだけ鏡餅を置くのは失礼?
A. 玄関の鏡餅も一般的な飾り方のひとつです。 ただ、家全体を見守る意味では、リビングや神棚など「家の中心」にもひとつ置き、玄関はその補助的な位置づけにする考え方が多い傾向です。
Q. カビだらけになってしまった鏡餅は食べてもいい?
A. カビが広く出ている場合は食べない方が安全です。 食品としての衛生面を優先し、感謝の気持ちを込めて処分する方が、結果的に安心して新年を過ごしやすくなります。
Q. 鏡餅はいくつまで増やしても大丈夫?
A. 数に決まりはありませんが、管理できる範囲にとどめるのがおすすめです。 家の中心に一つ、台所や玄関などに小さめを少し足す程度にとどめると、飾る意味と手間のバランスがとりやすくなります。
まとめ|鏡餅の飾り方の順番の基本をおさらい
最後に、鏡餅の基本をコンパクトに振り返っておきます。
- 飾り方の順番は「台 → 紙 → 裏白 → 譲り葉 → 餅(二段) → 飾り → 橙」の流れ
- 最低限そろえたいのは、二段の鏡餅・台・紙・柑橘の4つ
- 飾る時期は、12月28日前後に整えるのがひとつの目安
- 片づけは、松の内が明けたあとの鏡開きの日に行う
- 置き場所は「清潔・静か・少し高い場所」を条件に選ぶ
結論としては、「細部にこだわりすぎず、基本の流れと自分の暮らしに合う形を両立させる」のがいちばん続けやすいスタイルです。
今年は、できる範囲でひとつでもステップを増やしてみるだけでも十分です。来年以降、少しずつ飾りを足したり、場所を工夫したりしながら、自分の家ならではの鏡餅の形を育てていけるといいですね。
参考文献・出典
※本文中ではURLを記載していないため、詳細を確認したい場合はここから公式情報をチェックしてください。
- 農林水産省「鏡もちの由来と美味しく食べるコツ」
- 農林水産省「鏡餅って何だろう?」PDF
- 越後製菓「おもちとごはん大百科 おもちについて」
- 東京神社庁「四季の祭りと行事(鏡餅の飾り方)」
- LOVEGREEN「鏡餅はいつからいつまで飾る?鏡開きはいつ?」
- Kurashiru「鏡餅はいつからいつまで飾る?どんな意味があるの?」
- ギシ株式会社「鏡餅の飾り方での各飾りの順番について」よくある質問


