「いろはのいって何となく聞いたことはあるけれど、正しく説明してと言われると自信がない」ということは多いです。
特にビジネスシーンで上司や取引先がさらっと口にすると、意味を取り違えたまま使ってしまわないか不安になります。
実は「いろはのい」は、物事のごく初歩や入り口をやわらかく表す便利なことばで、日常会話から会議・メールまで幅広く使える表現なんです。
この記事では「いろはのい」の意味と背景をおさえつつ、ビジネスと日常での具体的な使い方、似たことばとの違い、シーン別のおすすめフレーズまで丸ごと整理していきます。
いくつかパターンを覚えておくと、会話やメールの一言がぐっとこなれた日本語になっていきますよ。
【この結論まとめ】
- 「いろはのい」は物事の初歩や基本の入り口を示すことば。
- ビジネスでは「基礎からていねいに」という前向きなニュアンスで使うと自然。
- 日常会話では「まだ始めたばかり」という自己紹介や雑談フレーズとして役立つ。
- 似た意味の「基礎」「入門」などと使い分けると、大人の語彙力として印象がよくなる。
『いろはのい』の意味をひとことでつかむ

最初に「いろはのい」がどんな意味かを、イメージと一緒にスッとおさえておくと後の使い方がぐっと楽になります。
物事の初歩を表す「いろはのい」の基本の意味
「いろはのい」は、物事のごく基本的なところや一番最初の段階を表すことばです。
「いろはのいの字も知らない」のように使うと、ある分野についてまったくの初心者であることを強調するニュアンスになります。
一方で「この分野はまだいろはのいなんです」と自分のことに使えば、へりくだって「勉強中です」と伝えるやわらかい表現としても働きます。
ここがポイント:
「いろはのい」は初歩という意味に加えて自分を低くする表現にもなりやすく、誰に向けて言うかで印象が大きく変わる。
「い」の字・いろは歌・いろは順とのつながり
いろはの並びは「いろはにほへと」で知られるいろは歌から来ていて、ひらがなを順番に覚えるときの型として長く使われてきました。
その一番最初の文字「い」にあたるところから、「物事の始まり」「入口にあたる部分」という意味が生まれたと考えられます。
五十音順が一般的になった今でも、いろは順やいろは歌は日本語の文化として教科書やかるたなどに残っていて、そこから「いろはのい」という言い回しも受け継がれています。
ちょっと深掘り:
ひらがなの並びかたという日常的な仕組みから生まれた言い回しなので、堅苦しいことばではなく親しみやすい印象で使いやすい。
ポジティブにもネガティブにも振れるニュアンスの幅
「いろはのい」は、そのまま使うと「まだ入口にすぎない」「まだまだこれから」という含みがあることばです。
「いろはのいの字も知らない」と人に向けて言うとかなりきつい評価になり、「基本すらわかっていない」という否定的な響きが強くなります。
一方で「これからいろはのいから一緒に学んでいきましょう」のように使うと、相手を責めずにスタート地点を共有する前向きな誘いかけになります。
判断の基準:
人を評価する形で使うとネガティブに、自分や一緒に学ぶ仲間に向けるとポジティブにもなることを意識しておくと安心。
【『いろはのい』の意味と基本パターン早見表】
| 用い方の種類 | 主なイメージ | 例文のイメージ |
|---|---|---|
| 自分に使う | まだ勉強中であると伝える控えめな表現 | この分野はまだいろはのいなので、ご指導いただきたいです。 |
| 相手と一緒に使う | 一緒に基礎から取り組むスタート地点 | 今日はプロジェクトのいろはのいから共有していきます。 |
| 相手を評価する | 初歩すら身についていないという厳しい評価 | それではまだいろはのいのいと言わざるをえません。 |
(出典:国語辞典)
※本内容は執筆時点。最新情報は公式サイト確認。
ビジネス会話でスマートに使える『いろは』ことば

ビジネスシーンで『いろは』ことばを使うときは、ていねいさと距離感のバランスを意識すると自然に聞こえます。
「いろはのいからご説明します」のOK/NGライン
会議や打ち合わせで「いろはのいからご説明します」という表現は、「基礎から順に説明します」という前向きな案内としてよく使われます。
ただし相手の前提知識を低く見ているように伝わる可能性もあるため、初めてのテーマや新任メンバーが多い場など、明らかに基礎共有が必要な場面で使うのが安全です。
目上の人に対しては「基本的なところから順に整理させていただきます」のような言い換えにした方が、余計な誤解を避けやすくなります。
注意点:
「いろはのいから」は便利だが、相手の理解度を決めつけているように聞こえないかを一度頭の中でチェックしてから口にするのが安心。
会議・プレゼンでの『いろは』ことばの切り出し方
会議の導入では「まずはいろはのいの部分を共有させてください」と言うと、これから基本事項の確認に入ることが伝わりやすくなります。
スライドの構成として「いろはのい」「現状」「今後の方針」のように段階を区切ると、聞き手も流れをつかみやすくなります。
長時間のプレゼンでは「ここまでがいろはのいで、ここからが本題です」とまとめることで、一度頭をリセットして話を切り替える効果も期待できます。
ここがポイント:
プレゼンでは「どこまでが基礎でどこからが本論か」を言葉で区切ることで、聞き手の集中をリセットしやすくなる。
上司・部下・取引先別の丁寧な言い換えパターン
上司に向けては「いろはのいから」と言い切るより「基本的なところから順に整理します」と言い換えた方が、相手への配慮が前面に出ます。
部下や新しいメンバーに対しては「今日はこの仕事のいろはのいを押さえる時間にしたいと思います」のように、学びの場を共有するイメージで使うとやわらかく伝わります。
取引先とは「前提条件のいろはのいの部分を一度合わせさせてください」のように言うと、お互いの理解のズレをなくすための建設的な表現として機能します。
実践ポイント:
上司や取引先には「基本」「前提」という語を添えて落ち着いたトーンにし、部下には「一緒に」というニュアンスを加えると関係性に合った表現になる。
【ビジネス会話での『いろは』ことば例一覧】
| シーン | 表現例 | トーンの目安 |
|---|---|---|
| 上司・目上に説明 | 本題に入る前に、基本的なところから順に整理させていただきます。 | かしこまった丁寧な言い方 |
| 同僚との共有 | まずはいろはのいの部分だけサッと共有しておきますね。 | 軽やかなフランク寄り |
| 部下・新メンバーへ | 今日はこの業務のいろはのいを一緒に押さえていきましょう。 | 寄り添いのある柔らかさ |
(出典:ビジネス日本語解説書)
※本内容は執筆時点。最新情報は公式サイト確認。
日常会話でさりげなく使える『いろは』フレーズ集

日常の雑談や家族との会話では、固くなりすぎない範囲で「いろはのい」を混ぜると、ちょっとした言葉の遊び心が出てきます。
友人・家族との会話で使いやすいライトな表現
趣味や新しく始めた勉強について話すときに「まだいろはのいだけど、少しずつ楽しくなってきたよ」と言うと、初心者感と前向きさが程よく伝わります。
家族との会話では「料理はまだいろはのいだから、今日の味は大目に見てね」のように、失敗を軽く笑いに変える言い回しとして使えます。
相手に教えるときも「今日はギターのいろはのいだけでも覚えようか」のように、ハードルを高くしすぎない誘いかけになります。
一言まとめ:
日常会話では自分のことや共通の挑戦に使うと、「まだまだこれからだけど楽しんでいる」という空気が自然に出る。
雑談や自己紹介で「学び始め」を伝える一言
オンライン勉強会や習い事の自己紹介タイムで「プログラミングはまだいろはのいですが、よろしくお願いします」と添えると、肩の力を抜いた自己紹介になります。
飲み会やランチの雑談では「最近、投資のいろはのいを本でかじり始めたところで」といった具合に、話題の入り口としても使いやすいです。
「いろはのい」を入れることで、専門家ではないけれど興味を持って学び始めている段階だと、やわらかく伝えられます。
ここがポイント:
自己紹介ではスキルの高さを誇るよりも「いろはのい」という一言で学びの姿勢を見せると、相手との距離が縮まりやすい。
子どもに「基礎の大切さ」を伝えるときの言い回し
子どもに勉強やスポーツの練習を促すとき、「まずはいろはのいのところをしっかりやろうね」と伝えると、基礎練習の意味づけがしやすくなります。
「いきなり難しいところからじゃなくて、いろはのいを大事にするほうが上手になるよ」という形で、土台作りの重要性を具体的な言葉にできます。
かるたやことわざと一緒に「いろはのいって、スタートのいの字っていう意味なんだよ」と教えると、日本語文化への興味づけにもつながります。
補足:
子どもには「スタートの『い』」というイメージをセットで伝えると、基礎=つまらないではなく基礎=出発点という前向きな印象になりやすい。
【日常会話シーン別の『いろは』フレーズ】
| シーン | 相手 | フレーズ例 |
|---|---|---|
| 自己紹介 | オンライン勉強会の参加者 | プログラミングはまだいろはのいですが、よろしくお願いします。 |
| 家庭内 | 家族・パートナー | 料理はまだいろはのいだから、味見係をお願いしてもいいかな。 |
| 教える場面 | 子ども | 今日はまず九九のいろはのいをしっかり覚えよう。 |
(出典:国語教育関連資料)
※本内容は執筆時点。最新情報は公式サイト確認。
メール・チャットでの『いろは』表現の書き方

文字だけでやりとりするメールやチャットでは、言い回しひとつで印象が大きく変わるので、『いろは』ことばも慎重に選びたいところです。
ビジネスメールの件名・本文での自然な使い方
件名に「新プロジェクトのいろはのいの共有について」と書くと、内容が基本事項の説明であることが一目でわかります。
本文では「本件につきましては、いろはのいから順にご説明いたします」のように、ていねい語と組み合わせて使うのが無難です。
対外的な相手に対しては、「基本的な部分から順を追ってご説明いたします」という表現に置き換えると、よりフォーマルな印象になります。
ここがポイント:
件名や本文では、相手との関係性に応じて「いろはのい」と「基本」という語をうまく入れ替えると、くだけすぎずにニュアンスを保てる。
チャット・社内SNSで砕けすぎない書き方のコツ
社内チャットでは「このツール、いろはのいだけ先に共有しておきますね」のように、軽めのトーンで使いやすくなります。
ただし絵文字や強いカジュアル表現と組み合わせすぎると、ふざけた印象につながるため、文章自体は落ち着いた敬体にしておくとバランスが取れます。
スタンプだけで済ませず「このあたりはまだいろはのいなので、試しながら覚えていきましょう」のような一文を添えると、協力姿勢も伝わります。
実践ポイント:
チャットでは文体が崩れがちなので、「ですます」を維持しつつ『いろは』ことばを少し混ぜるくらいがちょうどよい。
「上から目線」に聞こえないための言い換え候補
相手の理解度について言及するときは、「いろはのいもわかっていない」という形を直接相手に向けるのは避けた方が安全です。
代わりに「前提条件の共有から始めさせてください」「基本的な整理から入らせてください」のように、主語を自分側に置いた書き方にすると柔らかくなります。
どうしても『いろは』ことばを使いたい場合は、「このテーマはまだいろはのいの段階ですので、一つずつ一緒に整理していきたいと考えています」のように共同行為として描くと角が立ちにくくなります。
失敗しないコツ:
「あなたはいろはのいも知らない」という構造になっていないかを意識し、主語を自分やチーム側に置くと印象が穏やかになる。
【メール・チャット文の『いろは』フレーズ文例集】
| 用途 | 表現例 | コメント |
|---|---|---|
| 件名 | 新システム運用のいろはのいの共有 | 内容のレベル感がひと目で伝わる |
| 対外メール本文 | 本件につきまして、基本的な部分から順を追ってご説明いたします。 | フォーマル寄りの言い換え |
| 社内チャット | このツールのいろはのいだけ先に共有しておきます。 | ラフだが失礼になりにくい |
(出典:ビジネス文書参考資料)
※本内容は執筆時点。最新情報は公式サイト確認。
『いろはかるた』『いろは歌』に出てくる代表的なことわざ

『いろはのい』ということばの背後には、いろは歌やいろはかるたといった日本の文化があり、ことわざ表現とも深く結びついています。
江戸いろはかるた・上方いろはかるたの「い」の札の違い
いろはかるたには地域によって札の内容が異なる系統があり、代表的なのが江戸いろはかるたと上方いろはかるたです。
江戸いろはかるたの「い」は「犬も歩けば棒に当たる」、上方いろはかるたの「い」は「一寸先は闇」とされることが多いです。
どちらも日常でよく耳にすることわざですが、前向きなチャンスの側面と、先の見えなさへの注意という対照的な意味合いを持っています。
ちょっと深掘り:
同じ「い」の札でも地域によって意味合いが違うため、いろはかるたを話題にするときはどの系統かを軽く触れると丁寧。
『いろはにほへと』が伝える無常観と日本語の美意識
いろは歌の冒頭にあたる「いろはにほへと」は、華やかで美しいものもやがては色あせていくという無常観を表した一節として語られることがあります。
この歌全体には「うつりにけりな」「久ならむ」という言葉が続き、仏教的な考え方や人生観が織り込まれていると解釈されることが多いです。
『いろはのい』という言い回しは、そうした文化的背景から離れて日常的に使われていますが、背後にある歴史を知っていると日本語への理解が少し深まります。
要点まとめ:
いろは歌は単なる五十音の並び替えではなく、無常観や人生観を込めた作品として扱われてきたという背景を知っておくと語感の奥行きが増す。
現代でもよく使われる『いろは』由来のことわざ一覧
現代の日常会話やニュースで見かける『いろは』由来の表現には、「いろはのい」以外にも「いろはにほへと」「いろはが分かる」などがあります。
「いろはが分かる」は「その分野の基本的なところを理解している」という意味で、「いろはのい」とセットで覚えておくと表現の幅が広がります。
また「いろはかるた」という言葉自体を使って「ことわざのいろはかるたをなぞるように説明する」といえば、基礎的な格言をひと通り確認するニュアンスになります。
覚えておきたい:
「いろはのい」と「いろはが分かる」を対として覚えると、初心者と基礎を身につけた段階の違いを日本語で表現しやすくなる。
【地域別いろはかるたの「い」の札の違い一覧】
| 系統 | 「い」の札 | 主な意味 |
|---|---|---|
| 江戸いろはかるた | 犬も歩けば棒に当たる | 行動すれば思わぬ幸運に出会うこともあるが、災難に遭うこともあるというたとえ。 |
| 上方いろはかるた | 一寸先は闇 | 先のことは少し先でもどうなるかわからないという、人生の不確かさへの注意。 |
| その他の系統 | 地域独自のことわざ | 地域ごとの価値観や教訓を反映した表現。 |
(出典:ことわざ・いろはかるた解説資料)
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似た意味のことばとの違いと使い分けで迷わない

「いろはのい」と近い意味を持つことばはいくつもあるので、状況に合わせて言い分けられると表現の精度が上がります。
「基礎」「入門」「ABC」などとの違いを整理する
「基礎」は土台として必要な知識や技能そのものを指し、「入門」は学び始めの段階や導入としての位置づけを表すことが多いです。
「ABC」は英語由来で、特にビジネスやIT分野で「基本的なルールや考え方」というニュアンスで使われやすい表現です。
「いろはのい」はこれらに比べてやや柔らかく、少し文芸的な響きがあるため、会話やメールで和風のニュアンスを添えたいときに向いています。
一言まとめ:
具体的なスキルの土台なら「基礎」、講座のレベル感なら「入門」、カジュアルなビジネス表現なら「ABC」、やわらかい日本語表現なら「いろはのい」と考えると整理しやすい。
「一から十まで教える」とのニュアンスの差
「一から十まで教える」は、細部にわたってすべて説明するという意味で、時に「そこまで面倒を見ている」というニュアンスがにじむこともあります。
これに対して「いろはのいから説明する」は、初めの方の段階に限って整理するイメージで、すべてを細かく面倒見るというニュアンスまでは含みません。
部下への指導場面などでは、「一から十まで全部教えてしまうと自立の機会を奪う」という意味合いで使われることもあり、やや違った温度の表現になります。
迷ったらここ:
「どこまで手取り足取りか」という度合いを表したいなら「一から十まで」、スタート地点の共有なら「いろはのい」というイメージで使い分けるとよい。
「初心者」「ビギナー」と組み合わせた言い回し
「いろはのい」と「初心者」「ビギナー」を組み合わせると、「学び始めたばかりだが前向きに取り組んでいる」というニュアンスを丁寧に表現できます。
例えば「まだいろはのいのビギナーですが、勉強させてください」のように使うと、控えめな姿勢と意欲の両方が伝わります。
プロフィールや自己紹介では「デザインはいろはのいの初心者レベルです」と書くと、期待値を調整しつつ興味がある分野であることを明るく示せます。
アドバイス:
「初心者です」とだけ言うより「いろはのいの初心者」と言う方が、自分の立ち位置をやわらかく、かつ印象に残る形で伝えられる。
【『いろはのい』と似た表現の比較早見表】
| 表現 | 焦点となる意味 | フォーマル度の目安 |
|---|---|---|
| いろはのい | 物事の入り口や初歩の段階をやわらかく示す | ややくだけた日本語表現 |
| 基礎 | 土台となる知識・技能そのもの | ビジネスでも幅広く使える標準的表現 |
| 入門 | 学び始めのレベルや導入段階 | 書籍タイトルや講座名にもよく使われる |
| ABC | 基本的なルールや考え方の一式 | カジュアル寄りのビジネス表現 |
(出典:日本語表現辞典)
※本内容は執筆時点。最新情報は公式サイト確認。
シーン別・相手別のおすすめ『いろは』ことば早見表

最後に、誰に向けて話すかという視点で『いろは』ことばを選ぶと、場に合ったちょうどよい一言が見つかりやすくなります。
上司・目上に向けて使いやすいフレーズ
上司には「いろはのい」という言葉をそのまま使うより、「基本的なところから整理いたします」のような形にする方が無難な場面が多いです。
どうしても使いたいときは「本日は、この分野のいわばいろはのいにあたる部分を共有させていただきます」と、比喩として控えめに添えると上品な印象になります。
社外の役員クラスなど、よりフォーマルな相手には、『いろは』ことばは避けて他の表現に置き換えた方が安心です。
注意点:
目上には「いろはのい」を正面から投げるのではなく、比喩としてさらりと添えるか、よりフォーマルな別表現に置き換えるのが基本。
同僚・後輩・部下への声かけに合う表現
同僚には「このツールはまだチーム全体でいろはのいだから、一緒に試しながら慣れていこう」といった形で、仲間意識を示すフレーズが使いやすいです。
後輩や新入社員には「まずはいろはのいを押さえれば大丈夫だから、分からないところはいつでも聞いてね」と添えると、安心感を与えられます。
注意するときも「まだいろはのいの段階だから、焦らず基本を丁寧にやっていこう」というように、責めるより支えるトーンで使うとよいです。
要点:
仲間や部下には「一緒に」「焦らず」という言葉をそえることで、『いろは』ことばが励ましのニュアンスとして自然に機能する。
セミナー・講義・研修など人前で話すときの導入フレーズ
セミナーの最初に「今日はこのテーマのいろはのいからご一緒に整理していきます」と伝えると、参加者が気負わず内容に入っていきやすくなります。
研修では「前半は業務のいろはのいにあたる部分を確認し、後半でケーススタディに入ります」と流れを言葉で区切るのにも役立ちます。
講義資料の見出しに「第一章 いろはのい」とつけると、学習のステップが視覚的にもわかりやすくなります。
結論:
人前で話す場では「レベル感の宣言」として『いろは』ことばを使うと、聞き手が安心して内容に集中しやすくなる。
【シーン×相手別『いろは』ことばおすすめ早見表】
| シーン | 相手 | おすすめフレーズ例 |
|---|---|---|
| 定例会議 | 上司・先輩 | 本題に入る前に、基本的な部分から整理させていただきます。 |
| チーム打ち合わせ | 同僚 | このテーマはチームとしてまだいろはのいなので、前提から軽く合わせましょう。 |
| 研修・講義 | 参加者全体 | 今日はこの分野のいろはのいから一緒に押さえていきたいと思います。 |
(出典:ビジネスコミュニケーション研修資料)
※本内容は執筆時点。最新情報は公式サイト確認。
まとめ
「いろはのい」は、物事のごく初歩や入り口を表す、日本語らしいやわらかさのある表現です。
自分やチームのことに向けて使えば「まだ始めたばかりだけれど前向きに学んでいる」という姿勢を伝えることができます。
一方で、人を評価する形で使うと「初歩も分かっていない」という厳しいニュアンスになりやすいので、相手への向け方には注意が必要です。
ビジネスでは、会議やメールで「基本的なところから順に整理する」という意味を込めて、ていねい語と組み合わせると自然に使えます。
日常会話では、自己紹介や雑談の中で「いろはのい」という一言をそっと添えるだけで、学び始めたばかりの分野をほどよくアピールできます。
ことわざやいろはかるたの背景も合わせて知っておくと、言葉としての厚みも増していきます。
まずは自分の得意分野や勉強中の分野にひとつ、「いろはのい」を使った自己紹介フレーズを用意しておくと、さまざまな場面で役立ちますよ。
よくある質問(FAQ)
Q. 『いろはのい』はビジネスメールで使っても失礼になりませんか?
A. 相手との関係性によっては問題なく使えますが、目上や取引先には「基本的な部分からご説明いたします」といった言い換えの方が無難です。使う場合は主語を自分に置き、相手を評価する形になっていないかを意識すると安心です。
Q. 「いろはのいからご説明します」は上司や取引先にも使えますか?
A. 社内の上司には場面によっては使えますが、取引先にはややくだけた印象になることがあります。フォーマルな場では「前提条件の共有から入らせていただきます」などの表現の方が丁寧です。
Q. 『いろはのいの字も知らない』はどのくらい強い表現ですか?
A. かなり強く「基本すら分かっていない」と評価する言い方なので、相手に直接向けるのは避けた方がよい表現です。自分に対して冗談めかして使うか、一般論として語る程度にとどめると安全です。
Q. 日常会話でカジュアルに言い換えるならどんな表現がありますか?
A. 「始めたばかり」「まだまだこれから」「超初心者レベル」といった表現がカジュアルな言い換えになります。場面によっては「かじり始めたところ」「入門したばかり」なども使いやすいです。
Q. 子どもに『いろはのい』の意味をどう説明すると分かりやすいですか?
A. 「あいうえおの『あ』みたいに、一番最初のスタートの『い』なんだよ」というイメージで伝えると理解しやすくなります。九九やひらがななど、身近な学びの最初の部分と結びつけて話すとさらに分かりやすいです。
Q. 『いろはかるた』の「い」の札が地域で違うのはなぜですか?
A. いろはかるたは地域ごとに作られた歴史があり、その土地の教訓や価値観が札の内容に反映されているためです。江戸では「犬も歩けば棒に当たる」、上方では「一寸先は闇」が代表的な例として挙げられます。
Q. 英語で「いろはのい」に近い表現はありますか?
A. 文脈によって「the basics」「the ABCs」「from scratch」などが近い意味合いとして使われます。ビジネスメールでは「the basics of this project」などと英語表現をカッコ書きで添えると、二言語話者同士の場面ではイメージを共有しやすくなります。
参考文献・出典
- Keio University「hellog~英語史ブログ(いろはの『い』の字も知らない)」
- 仁和寺公式サイト「いろは歌」
- テレビ朝日アナウンサーズ「ことばのアレコレ|かるたで学ぶことわざ」
- 中央区観光協会特派員ブログ「日本橋かるた」
- 明治大学学術成果リポジトリ「ことわざ社会心理学の探究」







