色鉛筆で髪や木を塗るとき、「理想の茶色にならない」「同じブラウンしか出せない」と感じることが多いですよね。
手持ちの色鉛筆セットに入っている茶色だけでは、赤茶っぽくしたいときや、落ち着いた木の色を作りたいときに、微妙にイメージと違うこともあります。
実は、赤・黄・青など身近な色を薄く重ねるだけで、淡いブラウンからこげ茶までかなり自由に作れるんです。
この記事では、色鉛筆だけで茶色を作る基本レシピと、重ね塗りの順番や筆圧のコツを、明るさ別・モチーフ別に整理していきます。
12色セットしか持っていなくても応用しやすいように、できるだけシンプルな組み合わせにしつつ、失敗したときのリカバリー方法までまとめました。
【この結論まとめ】
- 茶色は「赤+黄+青」や「補色の組み合わせ」を薄く重ねれば、手持ちのセットでも十分作れる。
- 明るいブラウンは黄色多め+紙の白を残す、こげ茶は黒の前に青や紫で暗さを作ると濁りにくい。
- 髪・木・土・毛並みなどモチーフごとに、ベースブラウン+1〜2色の重ね方を変えると質感が出やすい。
- 重ね塗りは必ず「明るい色から暗い色へ」「薄く何度も」が基本で、筆圧のかけ方が仕上がりを大きく左右する。
- にごり・テカり・ムラが出たときは、原因ごとの対処を知っておけば、ある程度まで描き直しや調整ができる。
色鉛筆で茶色を作る一番簡単な考え方と基本レシピ

まず押さえたいのは、茶色を「赤寄り」「黄土寄り」「グレー寄り」のどれにしたいかを決め、そのイメージに合わせて三原色や補色を重ねていく考え方です。
色鉛筆では、絵の具のように一気に混ざらないぶん、薄く何度も重ねることで狙ったブラウンに近づけていく流れになります。
茶色のイメージを決める|赤茶系・黄土系・グレー系の違い
同じ茶色でも、赤みが強ければ温かく、黄土っぽければ明るく、グレー寄りなら落ち着いた印象になります。
人物の髪ならほんのり赤みがあった方が肌となじみやすく、木の幹なら黄土寄りのブラウンの方が自然に見えやすいです。
一方で、制服や革小物などを描くときは、グレー寄りのブラウンにすると、少し大人っぽく落ち着いた雰囲気になります。
描き始める前に「赤茶」「黄土」「グレー寄り」のどれでいくかを決めておくと、混色で迷いにくくなります。
ここがポイント:
茶色は「なんとなく茶色」で使うよりも、最初に赤寄り・黄土寄り・グレー寄りのどれかを決めると、必要な色の組み合わせがはっきりして混色が安定しやすくなります。
三原色で作る王道ブラウン|赤+黄+青の基本バランス
色鉛筆でも、赤・黄・青の三原色を重ねると、ほとんどの場合ブラウンになります。
ここでは、三原色で作る王道ブラウンのざっくりしたバランスを表で整理しておきます。
【茶色の基本混色レシピ早見表】
| 目指すブラウン | 主な組み合わせ | 配分の目安(ざっくり) |
|---|---|---|
| 黄土寄りの明るいブラウン | 黄+赤+青 | 黄>赤>青(青はごく少量) |
| 赤茶寄りのブラウン | 赤+黄+青 | 赤>黄>青(青は控えめ) |
| 標準的なブラウン | 赤+黄+青 | 赤≒黄、青は少なめ |
| グレー寄りの落ち着いたブラウン | 赤+黄+青 | 赤<黄、青をやや多め |
| こげ茶寄りのブラウン | 赤+黄+青+黒 | 赤≒黄、青を多め+黒を最後に少し |
(出典:日本色彩研究所)
※本内容は執筆時点。最新情報は公式サイト確認。
三原色で作るときは、必ず黄色や赤など「明るい色から塗る」ことと、青や黒は少しずつ様子を見ながら足すことが大事です。
青や黒をいきなり強く重ねると、一気に暗く濁った印象になるので、何度かに分けて徐々に暗くしていくイメージで塗ると安定します。
要点まとめ:
三原色でブラウンを作るときは黄と赤で大まかな色味を決め、青と黒は「最後に少しずつ」足していくと、狙った雰囲気を崩さずに深みだけをプラスしやすくなります。
補色で作る落ち着いたブラウン|赤+緑/黄+紫など
色の向かい合う関係(補色)を少し混ぜると、お互いの鮮やかさが打ち消し合って落ち着いたブラウンになります。
例えば、赤と緑、黄と紫、オレンジと青などを少しずつ重ねると、「くすんだ」「大人っぽい」ブラウンを作りやすいです。
このときも、一気に両方を同じくらいの量で塗るのではなく、どちらかをベースにして、もう一方を最後にうっすら重ねるイメージが安全です。
木や土など自然物を描くときは、この補色を使った落ち着いたブラウンが役に立ちます。
ちょっと深掘り:
補色を同量でぶつけると「灰色っぽくにごる」ので、必ずどちらかを主役に決めて、反対側の色は控えめに足すことで、落ち着きと色味の両方を残したブラウンを狙っていくのがコツです。
既製の茶色と混色ブラウンをどう使い分けるか
色鉛筆セットに元から入っている茶色は、そのまま広い面を塗るベースとしてとても便利です。
一方で、既製の茶色だけでは「髪には赤みを足したい」「木には黄土っぽさを足したい」など、微妙なニュアンスが足りない場面も出てきます。
基本的には、既製の茶色を下地や中間色として使い、上から赤や黄、青などを薄く重ねて、自分の狙うブラウンに寄せていく使い方がスムーズです。
逆に、三原色だけで最初からブラウンを作ろうとすると時間がかかるので、「茶色+補色で整える」「茶色+赤や黄で色味を調整する」くらいの感覚で混色を足していくと描きやすくなります。

結論:
既製の茶色は「ベースとして広く塗る色」、三原色や補色で作るブラウンは「仕上げにニュアンスを足す色」と考えると、それぞれの役割を分けやすくなり、混色を無理にゼロからやる必要もなくなります。
淡いブラウンからこげ茶まで|明るさ別の重ね塗りレシピ

ブラウンは明るさを変えるだけで雰囲気が大きく変わるので、「淡い」「ふつう」「こげ茶」の3段階を意識して塗り分けると表現の幅が一気に広がります。
ここでは、明るさ別に重ねる順番と、どこで止めればきれいに見えるかを整理していきます。
淡いブラウンは黄色+赤を薄く重ねて紙の白を活かす
淡いブラウンやベージュにしたいときは、まず黄色や黄土色系を薄く広めに敷き、その上に赤系をほんのり重ねるだけでも十分です。
このとき、紙の白を少し残しておくことで、全体がふんわり明るく見えてくれます。
さらに少し落ち着かせたいときだけ、ごく薄く青やグレーを重ねると、一気に大人っぽいベージュ寄りブラウンになります。
淡いブラウンは「塗りすぎない勇気」を持つ方がきれいに仕上がりやすい色です。
一言まとめ:
淡いブラウンは、黄色+赤を薄く重ねたところで一度止めて紙の白を活かし、暗くしたくなったら青やグレーを少しだけ足すと、透明感を残したまま落ち着かせることができます。
標準的なブラウンは補色を少しだけ足して落ち着かせる
いわゆる「ふつうの茶色」は、黄土系や既製のブラウンをベースにして、そこに補色をほんの少しだけ重ねると安定します。
例えば、黄土色+赤茶を広く塗ったあと、最後に反対側の色(緑や青紫)を薄く重ねると、派手さが抑えられて木や革のような落ち着いたブラウンになります。
このときも、補色は一気に塗るのではなく、「一往復で終わるくらいの薄さ」をイメージして軽くなじませる程度にとどめるのがポイントです。
注意点:
標準的なブラウンを作るときに補色を塗り込みすぎると一気に灰色っぽくにごるので、「最後に1〜2往復だけ」など、自分なりの上限を決めておくと色の鮮やかさを保ちやすくなります。
こげ茶・ダークブラウンは黒より先に紺や紫を足す
こげ茶を作ろうとすると、つい黒を重ねたくなりますが、最初から黒に頼ると一気にのっぺりした暗い色になりがちです。
ダークブラウンにしたいときは、まず赤茶や標準ブラウンを作ってから、青系(紺・群青)や紫を重ねて暗さと深みを出すと、色味を失わずに濃くできます。
十分に暗くなったあとで、どうしても締まりが足りない部分だけに黒を「仕上げの線」のように細く入れると、立体感も出やすくなります。
全体を黒で塗りつぶさず、影の部分だけ黒を選ぶイメージで使うと、「黒にしか見えないこげ茶」を避けやすくなります。
【明るさ別ブラウンづくりのステップ比較表】
| 明るさ | 下地の色 | 上に重ねる色 | 仕上げの暗さ調整 |
|---|---|---|---|
| 淡いブラウン | 黄・黄土系 | ごく薄い赤系 | 必要なら薄い青・グレーを少量 |
| 標準ブラウン | 黄土系+既製の茶色 | 補色(緑・青紫)をうっすら | 追加の補色は最小限にとどめる |
| こげ茶 | 赤茶+標準ブラウン | 紺・紫を重ねて暗くする | 影の一部だけ黒で締める |
(出典:DICカラーガイド)
※本内容は執筆時点。最新情報は公式サイト確認。
失敗しないコツ:
こげ茶を作るときは「黒は最後のひと押し」と決めておき、まず紺や紫で暗さを作ることで、色味を保ったまま深いブラウンにでき、のっぺりした黒っぽさを避けやすくなります。
髪・木・土・毛並みで迷わない|モチーフ別ブラウンレシピ

同じブラウンでも、髪・木・土・毛並みでは欲しい質感が違うので、モチーフごとにレシピを少し変えると描きやすくなります。
ここからは、よく使う4つのモチーフ別に、ベースブラウンと重ね方の考え方を整理していきます。
髪のブラウン|ツヤを残すための重ね順とハイライトの抜き方
髪のブラウンでは、まず黄系やベージュ系の薄い色を下地として広く敷き、ハイライトにしたい部分だけあえて塗らずに紙の白を残しておきます。
そのあと、赤茶系や標準ブラウンを髪の流れに沿って重ねていき、ツヤの入りそうな部分は少し色を控えめにすることで、立体感が出てきます。
最後に、こげ茶系や黒を「毛束の影」になるラインだけに細く入れると、柔らかさを残したまま引き締まったブラウンの髪になります。
要点:
髪のブラウンは、最初に「ハイライトを塗らずに残す」ことと、暗い色を面ではなく「毛束の線」に絞って入れることで、ツヤと立体感の両方を出しやすくなります。
木の幹・枝|木目を出すためのスジ塗りと色の選び方
木の幹や枝は、黄土色や標準ブラウンを下地に横方向へ薄く塗り、そのうえから縦方向の細いスジを重ねていくと木目らしさが出ます。
赤茶や暗めのブラウンで木目のスジを描き込み、影になる側だけ紺やこげ茶を重ねると、幹の丸みも自然に表現できます。
あまり色を混ぜすぎず、「黄土+赤茶+暗色」の3色くらいに絞って重ねると、にごりにくく木目が見やすくなります。
実践ポイント:
木のブラウンは、下地を広く塗るときは横方向、木目を描くときは縦方向とストロークを分けることで、同じブラウンでも立体感と質感を両立させやすくなります。
土・地面|粒感・ザラザラ感を出すブラウンの作り方
土の表現では、面をベタ塗りにするよりも、点や短い線を使って「粒感」を出した方がそれらしく見えます。
黄土色や薄いブラウンで全体を薄く塗ったあと、赤茶・こげ茶・グレーなどを小さな点や短い線でバラバラに置いていくと、砂利や土の不揃いな感じが出てきます。
最後に、影になる部分だけ暗いブラウンや紺を少し集めておくと、凸凹のある地面らしさが強まります。
覚えておきたい:
土のブラウンは「ベタ塗りにしない」ことが大事で、薄い下地+点や短い線の重ねで粒感を出すと、少ない色数でもザラザラした質感を表現しやすくなります。
動物の毛並み|柔らかさを残すぼかしと方向性のあるブラウン
動物の毛並みは、毛の流れに沿って短いストロークを重ねるのが基本で、ベースブラウン+少し明るい色+少し暗い色の3色構成が扱いやすいです。
まず、黄土系や明るいブラウンを毛流れに沿って広く塗り、その上から少し濃い赤茶や標準ブラウンで毛の流れを細かく描き込みます。
最後に、影になる部分と目の周りなどをこげ茶で締めつつ、必要であれば白い色鉛筆や練り消しでところどころ毛先を抜くと、ふわっとした柔らかさが出てきます。
【モチーフ別ブラウンレシピとおすすめ色の一覧】
| モチーフ | ベースになるブラウン | 特に意識したいポイント |
|---|---|---|
| 髪 | 黄系+赤茶系ブラウン | ハイライトを塗らずに残し、暗い色は毛束の線だけに使う |
| 木の幹・枝 | 黄土系+標準ブラウン | 下地は横方向、木目は縦方向のストロークで描き分ける |
| 土・地面 | 黄土系+赤茶+こげ茶 | ベタ塗りを避け、点や短い線で粒感を足す |
| 動物の毛並み | 明るいブラウン+赤茶+こげ茶 | 毛流れに沿った短い線と、明暗3色の組み合わせで立体感を出す |
(出典:トンボ鉛筆)
※本内容は執筆時点。最新情報は公式サイト確認。
判断の基準:
どのモチーフでも、ブラウンを「ベース」「中間」「影」の3段階に分けて色を決めておくと、必要な色数が整理され、同じセットの色鉛筆でも質感だけを描き分けやすくなります。
手持ちの色鉛筆セット別|12色・24色で組み立てる茶色づくり

色鉛筆の本数が少ないときは、「どのセットにもだいたい入っている色」をうまく組み合わせるのが近道になります。
ここでは、12色セットを基準に「最低限覚えておきたい茶色レシピ」を表にまとめ、24色以上あるときの広げ方も触れていきます。
12色セットでも作れる茶色レシピ|最低限おさえたい3パターン
一般的な12色セットには、赤・黄・青・緑・橙・紫・茶・黒・白など、基本色がひと通り揃っています。
この中から、「赤・黄・青・茶・黒」を中心に組み合わせれば、髪や木に使いやすいブラウンがいくつか作れます。
【12色セットで作る茶色レシピ一覧】
| 作りたい色味 | よくある色名の組み合わせ(12色) | 一言メモ |
|---|---|---|
| 明るい黄土寄りブラウン | 黄+少量の赤+ごく薄い青 | 紙の白を少し残してベージュ寄りに仕上げる |
| 標準的なブラウン | 既製の茶色+黄+少量の赤 | 茶色をベースに赤と黄で温かさを調整する |
| 赤茶寄りの髪色 | 赤+黄+既製の茶色 | 黄をやや多めにすると柔らかい髪色になる |
| こげ茶 | 既製の茶色+青+少量の黒 | 青で暗さを作ってから黒で影だけ締める |
(出典:ホルベイン工業)
※本内容は執筆時点。最新情報は公式サイト確認。
迷ったらここ:
12色セットでは、まず既製の茶色をベースにしつつ、黄と赤で色味、青と黒で暗さを調整するという「茶色+四天王」の考え方にすると、複雑なレシピを覚えなくても雰囲気の違うブラウンを作り分けやすくなります。
24色以上ならできるブラウンの微調整|赤茶・黄土・グレー寄り
24色以上になると、黄土色・赤茶色・オリーブ系など「中間色」が増えてくるので、混色よりも「既製色同士の少し足し」が中心になります。
赤茶系のブラウンを作りたいときは、赤茶色やバーントシェンナのような色をベースに、必要に応じて黄土色やオレンジを重ねて温かさを足します。
黄土寄りにしたいときは、オーカー系やナポリイエロー系をベースにし、赤茶や標準ブラウンをうっすら重ねて深みを出す程度にとどめると、にごりを避けやすいです。
グレー寄りのブラウンが欲しいときは、標準ブラウンにグレーや青みのある色を少量足し、最後にごく薄い黒で全体をなじませると、落ち着いた大人っぽいブラウンになります。
アドバイス:
24色以上では「混ぜて作る」より「既製の中間色を少し足す」方が色ムラも出にくいので、セットにある黄土色・赤茶色・グレーをうまくハブにしながら、ブラウンのバリエーションを作っていくと効率がよくなります。
ブランドが違っても応用できる色名の読み替え方
色鉛筆のブランドによって、同じような色でも名前が少しずつ違いますが、「黄土色=オーカー系」「赤茶色=シェンナ系」というように、ざっくりとした対応を知っておくと読み替えが楽になります。
例えば、「イエローオーカー」「オーカー」「ナポリイエロー」などは、どれも黄土〜ベージュ寄りのブラウンのベースとして考えられます。
「バーントシェンナ」「マホガニー」「レッドブラウン」などは、赤みのあるブラウンとして髪や木の幹に使いやすい色です。
ブランドが違っても、「黄土系」「赤茶系」「グレー寄り」という3つのグループに分けて考えれば、この記事のレシピを手持ちの色名に置き換えやすくなります。
補足:
色名に迷ったときは、必ず紙に小さく塗って「黄色寄りか赤寄りか」「明るいか暗いか」を目で確認し、自分なりに黄土系・赤茶系・グレー系のどこに入るかを決めてからレシピに当てはめると混乱しにくくなります。
重ね塗りをきれいに見せる塗り方・筆圧・順番のコツ

同じレシピで塗っても、筆圧や塗る順番が違うだけで仕上がりのなめらかさが大きく変わります。
ここでは、重ね塗りを前提にした「筆圧のコントロール」と「紙の目をつぶさない順番」「ストロークの使い分け」をまとめていきます。
薄く何度も重ねるための筆圧コントロールの練習法
きれいなブラウンを作るには、鉛筆を寝かせて軽い筆圧で何度も重ねる感覚を身につけるのが近道です。
練習としては、同じ色で「ほとんど力を入れない塗り」「普通の力」「強めの力」の3段階を横に並べて塗り比べてみると、自分の中の基準が作りやすくなります。
ブラウンを作るときの目安としては、最初の2〜3色までは「ほとんど力を入れない」レベルの筆圧で塗り、中間色から少しずつ力を上げていくイメージが扱いやすいです。
実践ポイント:
筆圧の練習は、まず1色だけで濃淡のグラデーションを作れるようにしておくと、混色するときも「この段階ではまだ薄め」「ここから少し力を強める」と感覚で調整しやすくなります。
紙の目をつぶさない順番|明るい色から暗い色へ
色鉛筆は、強い筆圧で塗ると紙の表面がツルツルになり、上から色が乗りにくくなってしまいます。
そのため、必ず「明るい色から暗い色へ」という順番で、最初は薄く、最後ほど少し強めの筆圧にするのが基本です。
特に、こげ茶や黒など硬めの芯を持つ色は、終盤に必要なところだけに使うようにすると、紙の目を長く保てます。
注意点:
暗い色を早い段階で強く塗り込んでしまうと、それ以降の重ね塗りがほとんど効かなくなるので、「暗い色は最後の1〜2段階だけ」と決めておくと失敗が減ります。
ハッチング・円塗り・塗りつぶし|塗り方の違いでブラウンの質感を変える
同じブラウンでも、ストロークの種類を変えるだけで、木目・髪・土などの質感が変わって見えます。
ハッチング(平行や交差する線)なら、木や布のような方向性のある質感が出やすく、円を描くような塗り方は、ムラをならしたいときや柔らかい面を表現したいときに向いています。
塗りつぶしに近い重ね塗りは、革小物や金属など、ツルっとした面にしたいときに部分的に使うと効果的です。
ブラウンは面積が広くなりやすいので、「どの部分をどのストロークで塗るか」を事前に決めておくと、仕上がりの統一感が出てきます。
【重ね塗りのステップと筆圧の目安一覧】
| 段階 | 筆圧の目安 | すること |
|---|---|---|
| 1段階目 | きわめて軽い | 明るい色で全体の下地を作る(紙の白を少し残す) |
| 2段階目 | やや軽い | 中間色で色味を整える(ストロークの方向を意識) |
| 3段階目 | 中くらい | 補色や暗めの色で落ち着きと深みを足す |
| 4段階目 | やや強め | 影や木目など、必要な部分だけを締める |
| 仕上げ | 中〜やや強め | 必要に応じてブレンダーや近い色でなじませる |
(出典:サクラクレパス)
※本内容は執筆時点。最新情報は公式サイト確認。
大事なところ:
重ね塗りは「最初の2段階はとにかく軽く」「暗い色と強い筆圧は最後だけ」と意識することで、紙の目をつぶさずになめらかなブラウンを作りやすくなり、ストロークの違いによる質感も出しやすくなります。
にごる・テカる・ムラになる|茶色で起こりがちな失敗と直し方

ブラウンは色数が多くなりやすいぶん、にごりやテカり、ムラなどの失敗も目立ちやすい色です。
ここでは、ありがちな3つの失敗パターンについて、原因と「今からでもできる対処」を整理します。
色がにごる|補色の入れすぎ・黒のかぶせすぎを減らす
ブラウンがにごってしまう原因の多くは、補色を入れすぎているか、黒や暗色を重ねすぎていることです。
一度にごってしまった部分は、近い色(例えば少し明るいブラウンや黄土色)を上から薄く重ねて、全体を少し明るく寄せると、多少マシに見えることがあります。
新しく塗るときには、「補色は最後に1〜2往復だけ」「黒は影にだけ」という目安を作っておくと、そもそものにごりを減らせます。
意外な落とし穴:
にごりを直そうとしてさらに色を足すと悪化しやすいので、「にごったら近い明るめの色で全体をならし、次からの塗りで補色と黒の量を減らす」という割り切り方も大事になります。
テカテカ・ツルツルしてこれ以上塗れないときの対処
表面がテカテカして色が乗らないのは、筆圧が強く、紙の目がつぶれてしまったサインです。
この場合、練り消しゴムや柔らかめの消しゴムで、テカっている部分を軽くなでるようにこすると、表面が少しだけマットに戻り、薄く色を足せることがあります。
ただし、一度強く塗り込んだ部分を完全に元に戻すのは難しいので、「仕上げに強く塗る部分を必要最小限にする」意識の方が根本的な解決になります。
注意点:
テカりを無理に消そうとしてゴシゴシこすると紙自体が傷んでしまうため、「軽くなでてみてダメなら無理をしない」という判断も含めて、次の作品での筆圧コントロールに活かすのがおすすめです。
ムラ・スジが目立つときのならし方
ブラウンの塗りムラが気になるときは、同系色の少し明るい色や無色ブレンダー(もしくは白い色鉛筆)を使って、円を描くように軽く重ねると、スジがなじみやすくなります。
それでも気になる場合は、影の位置を少し増やして「意図的な濃淡」に見せるのもひとつの方法です。
ムラが出やすいと感じたら、次からは「面を塗るときは円塗り」「最後に方向性のある線を足す」というように、ストロークの順番を意識して変えてみると改善しやすくなります。
【失敗パターン別・原因と対処まとめ表】
| よくある失敗 | 主な原因 | 試してみたい対処 |
|---|---|---|
| にごったブラウン | 補色や黒を塗りすぎた | 明るめブラウンを薄く重ねてならし、次回は補色と黒の量を減らす |
| テカテカして塗れない | 強い筆圧で紙の目がつぶれた | 練り消しで軽く表面をなで、今後は強い筆圧を仕上げだけに絞る |
| ムラ・スジが目立つ | ストロークの方向がバラバラ | 同系色や白で円塗りしてならし、影を少し増やして意図的な濃淡にする |
(出典:トンボ鉛筆)
※本内容は執筆時点。最新情報は公式サイト確認。
失敗しないコツ:
失敗を完全に消そうとするよりも、「なじませて目立たなくする」「次に同じことを繰り返さないための目安を作る」と考えると、ブラウンの重ね塗りに対する気持ちのハードルも下がり、どんどん試しやすくなります。
まとめ
この記事では、色鉛筆だけで茶色を作る考え方から、明るさ別・モチーフ別のレシピ、重ね塗りのコツや失敗の対処までを一気に整理しました。
茶色は「赤寄り」「黄土寄り」「グレー寄り」のどれにしたいかを決めたうえで、三原色や補色、既製の茶色を組み合わせていくと、無理なく自分好みのブラウンに寄せられます。
また、淡いブラウンでは紙の白を活かし、こげ茶では黒の前に紺や紫を使うなど、明るさをコントロールするポイントを押さえておくと、同じレシピでも幅広い変化がつけられます。
日常的によく描く髪・木・土・毛並みなどは、ベースブラウン+中間色+影色の3つに役割を分けておくと、少ない色数でも質感の違いが出しやすくなります。
最後に、にごり・テカり・ムラといった失敗は、原因ごとの「これ以上は足さないライン」を自分の中で決めておくことで、描くたびに徐々に減らしていくことができます。
まずは手持ちの12色や24色セットで、ここで紹介したレシピを1つずつ試し塗りしながら、自分の「使いやすいブラウン」を少しずつ増やしていってみてください。
よくある質問(FAQ)
Q. 色鉛筆で茶色を作るとき、まず覚えるべき基本レシピはどれですか?
A. 黄色+赤+少量の青で作る黄土寄りブラウンと、既製の茶色+黄+赤で整える標準ブラウンの2パターンを覚えておくと、多くの場面をカバーしやすいです。
Q. 黒を足すとすぐに濁ってしまいますが、こげ茶をきれいに作るコツはありますか?
A. こげ茶にしたいときは、先に赤茶や標準ブラウンに紺や紫を重ねて暗さを作り、どうしても締まりが足りない部分だけに細く黒を入れると、色味を残したまま深いブラウンにしやすいです。
Q. 12色セットしか持っていない場合でも、髪や木の自然なブラウンは作れますか?
A. 赤・黄・青・既製の茶色・黒を組み合わせれば、明るい黄土色からこげ茶まで一通りのブラウンが作れるので、髪や木に使う自然な色は十分表現できます。
Q. 茶色の重ね塗りをすると紙がテカテカして、それ以上色が乗らなくなります。どう対処すればいいですか?
A. 練り消しや柔らかい消しゴムでテカっている部分を軽くなでてから、ごく薄く同系色を重ねると多少はなじみますが、根本的には「強い筆圧は仕上げだけ」に絞る意識がいちばん効果的です。
Q. 茶色と肌色の違いがわかりません。人物を塗るときはどう使い分ければいいですか?
A. 肌色は黄色〜赤の範囲で彩度が高め、茶色はそこに青や補色が入って彩度が落ちた色なので、肌は黄〜赤を中心に、髪や影には青や補色を混ぜたブラウンを使うと自然な差がつきます。
Q. 色鉛筆のブランドが違っても、この記事のブラウンレシピはそのまま使えますか?
A. 黄土系・赤茶系・グレー寄りという3つのグループで色を見分けられれば、色名が多少違っても同じ考え方で置き換えられるので、ブランドが変わってもレシピ自体はそのまま応用できます。
Q. 茶色で塗った部分だけムラになりやすいのですが、塗り方を変えると改善できますか?
A. 面を塗るときは円を描くようなストロークで下地を作り、最後に方向性のある線や点を重ねる順番に変えると、ムラがならしやすくなり、ブラウン特有のスジも生かした質感にしやすいです。
参考文献・出典
- 日本色彩研究所「PCCSとは」
- 日本色彩研究所「ナチュラルな配色には2つのタイプがある」
- DICカラーガイド「PCCSとは | 色彩関連情報」
- トンボ鉛筆「IROJITEN アートスタジオ ベーシックレッスン」
- トンボ鉛筆「IROJITEN アートスタジオ レッスン1(塗り絵)」
- サクラクレパス「大人の塗り絵 ポイントとコツ クーピーペンシル編」
- ホルベイン工業「ホルベイン アーチスト色鉛筆」




